韓経:【コラム】ウォン高、これ以上は譲れない(中央日報)
輸出が前年同月比で3カ月連続で増え、最悪から抜け出す流れだ。しかし韓国ウォンが急激に値上がりしていて輸出増加傾向が弱まらないか懸念される。時差を考慮すると、下半期の景気にマイナス要因として表れる見込みだ。年初から始まったウォン高はトランプ米大統領のドル高懸念発言と関係がある。選挙の過程で公言したように米国が為替操作国を指定するという見方が強まり、該当通貨が値上がりしている。 (中略)

 さらに大きな問題は為替操作国指定が現実になる場合、相対的にウォン高が目立つ可能性が高いという点だ。これは実効為替レートの側面で韓国ウォンを大幅に値上がりさせ、輸出に負担を与えることになる。(中略)しかし韓国は為替制裁とともに米国の貿易制裁を受ける場合、経済的な打撃が大きいうえ、内需市場が狭く貿易問題に対応できる余力が小さいため、為替レート調整に動く可能性が高い。対米軍事依存度が高いうえ、防衛費分担金増額要求など経済外的な側面でも対米交渉力が高くない。過去の経験によると、韓国ウォンは1988年の為替操作国指定後7カ月間に8%値上がりし、指定が解除されてから以前の水準を回復した。台湾ドルも為替操作国指定後の1年間に12.3%値上がりしている。

 ファンダメンタルズの改善がない通貨高は経済に相当な負担と後遺症を残す。実質実効為替レート基準でみると、現水準は2007年当時のウォン高ピークに近接していて、さらなるウォン高は非常に負担となる状況だ。過去の通貨危機とグローバル金融危機当時、韓国経済は韓国ウォン評価調整過程で相当な費用を支払っている。現在は外貨部門の安定性が大幅に改善されたため金融市場への衝撃の可能性は低いが、輸出を中心に実物部門がかなり厳しくなる可能性がある。
(引用ここまで)

 譲れなければどうだというのだろう。
 為替操作国の話題では何度か書いているのですが、アメリカにとって韓国の国内事情とかどうでもいいのですよね。
 ちょっと詳しくこの件について解説しましょうか。
 BHC改正法案では──

 1)対米貿易黒字を200億ドル以上積み上げている
 2)経常収支黒字額が当該国のGDPの3%以上である
 3)持続的な為替介入が認められる(外貨購入額が対GDP比での2%以上)

 という3点を同時に満たした国を為替操作国として認定する条件に挙げています。
 監視国として中国、日本、韓国、台湾、ドイツの5カ国をリストに入れたのが去年の4月でしたね。10月には監視国リストにスイスが仲間入り。

 2016年10月の為替政策報告書においてはいまのところこの3つを満たした国がない。
 ふたつの条件を満たした国は監視リスト入りした6カ国。

 そのうち、フィナンシャルタイムズ紙で指摘された韓国、台湾は2016年10月の報告書時点でこんな感じになっています。ついでに日本も。

   貿易収支  経常収支 為替介入(対GDP比外貨購入額)
韓国 302億ドル   7.9%  -1.8%
台湾 136億ドル  14.8%   2.5%
日本 676億ドル   3.7%   0.0%

 韓国は貿易収支と経常収支で。
 台湾は経常収支と為替介入で。
 日本は貿易収支と経常収支でそれぞれこの条件に触れています。というわけで為替操作監視国リスト入りしているわけです。

 これは2015年の3Qから2016年の2Qまでの数字なので、ちょうど韓国の外貨準備高がマイナスになっている時期にあたるのです。
 でも、次の4月の報告書は2016年の1Qから4Qまで。
 この時期をみると韓国の外貨準備高が上昇の時期に当たっているのですね。
 つまり、3アウトになるというのは韓国である、という話なのです。対米貿易黒字の額によっては台湾も。

 純粋にアメリカの報告書に記載される当該時期(今回は2016年)における数字の問題であって、韓国メディア(そして韓国政府)がいうように、その内訳がどうであろうと知ったこっちゃない。
 この話を出しているのが「日経に企業買収された」フィナンシャルタイムズであろうと、ブルームバーグであろうと事実、数字そのものに変わりはないのです。
 韓国の貿易黒字が「不況黒字」なのかどうかなんてどうでもいい。
 アメリカ政府は「自国の景気が悪いからといって、通貨を不当に安くしてそのツケをアメリカに回すような真似は許さない」って話をしているのですね。

 まあ、「フィナンシャルタイムズは日経に買収された!!!」って言っていれば気持ちよくなれるのでしょうから、それを続けているのがいいと思います。

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2013/10/21