【コラム】塾街の私腹を肥やす21世紀の韓国の科学教育(中央日報)
「実際に、私も科学者だが、これは深刻な問題です。最初からなくすか、準備期間を十分に与えるべきでしょう。先行学習で夜遅くまで塾を転々とする子供たちはもちろん、そうではない子供までも5〜6週間で特定のテーマで討論大会のための実験や報告書を作成するのは不可能なことです」

毎年4月、科学の日を控えて韓国科学創意財団で小中高校生を対象に行っている「科学探求討論大会」を批判する話だ。実際、講師の意図は別のところにあった。「現実がこうだから子供に丸投げしてはならない。お金をかけて塾に任せろ」ということだった。科学探求討論大会や小論文発表などの経歴は、随時選考(高校の成績を反映する大学入試選考)の割合が大きくなっている大学入試で重要な「スペック」の一つになる。実際に、江南の塾街には英語・数学だけでなく、各種校内外の大会の参加を指導する塾に生徒が集まっている。ここまでくると、百薬が無効だ。21世紀に見合う創意性のある教育を行うために打ち出した対策の科学探求討論大会は塾街の私腹を肥やしている。

最高の秀才だけが集まるという全国英才高校・科学高校の現実はどうだろうか。中央日報の年中企画「リセットコリア第4次産業革命分科委員会」に参加したある英才教育専門家の証言は衝撃的だ。彼の話によると、韓国英才高校・科学高校は英才教育でない「先行学習機関」に転落した。本当に必要な創意性教育は事実上ないと釘を刺した。教員は生徒がすでに先行学習をしてきたという前提の下で授業を行う。平日は寮生活をして週末に家に戻る生徒たちは親と人の情を交わす時間もなく、塾に追い出される。このようにしなければ、学校の成績競争でついて行けないためだ。(中略)

このように勉強した優秀な生徒が行きたい大学は理工系大学ではなく、医科大学だ。「全国医大を一回りしてからソウル工業大学に入る」という言葉も聞こえる。だが、韓国最高の頭脳が集まった医科大学の研究能力は低い水準だ。医大生の目標が社会の付加価値を創り出す研究開発ではなく、整形外科・皮膚科の医師になることであるためだ。4月21日の科学の日が50周年を迎える大韓民国の科学教育の現実だ。
(引用ここまで)

 韓国では創意工夫の精神を育むために小中高生を対象として「科学探究討論大会」というものをやっているのですね。
 で、韓国の子供にはそんなものをやっている暇はないので、学習塾に「委託」しておきなさいと。
 入賞すれば大学入学に向けて有利になるので、お金をかけて委託するのはいい選択でしょうね。

 後半の「全国英才高校」というのは聞いたことがないのですが、KAIST付属の韓国科学英才高校をはじめとした科学高校の総称なのかなぁ。
 韓国では最高峰に位置づけられる高校です。
 ちなみにこれら科学高校・英才高校では上記の大会で入賞なりして得たスペックは採用されなかったりします。入試は内申と面接だけで行われるのですね。

 KAIST=科学技術人材を育てるための大学です。その付属高校であるからには本来、科学技術振興に携わる研究者を輩出する高校だったはずなのですが。
 そのオチとして医学部に入りたい学生しかいないというもの。
 まあ、韓国の学生だったら当然の選択ですね。

 ソウル大学の理系学部を受験させられて優先合格したとしても、他の大学の医学部に入りたいので合格を取り消してくれと主張する。ソウル大学の医学部は超難関なのでパスせざるをえないのです。
 一芸入試でTOEICで満点をとって入学できた学生も志望は医学部。

 物理学者は公務員になりたいと言ってゴミ収集人の募集に応募してしまうような世界で、誰が将来の道に科学を選ぶのかって話ですわ。
 美容整形でクリニックを開けば、それだけで未来は開けている。
 その選択をする彼らを糾弾するわけにもいかないでしょう。金銭的に報われる最適の道を選んでいるのですから。
 なにしろ30大財閥に就職できる確率は2015年で1.67%。10大財閥だったら確実に1%未満。不況のきわまった現在ならそれ以下なのは間違いない。
 医者になればそれと同等以上の社会的成功は約束されたも同然ですからね。

 ノーベル賞がほしいなら研究バカが報われる道を残しておいてほしいものです。
 ま、韓国の社会構成では無理なことでしょうけども。

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佐藤大介
新潮社
2012/6/15