【社説】朴大統領側弁護士の野蛮発言、破局に向かう韓国の法治(朝鮮日報)
 もう一つ懸念すべきことは、今後大統領選挙が前倒しで行われた場合、政権を取る可能性の高い最大野党「共に民主党」の大統領候補者らが、誰も憲法裁判所の決定への承服を明言しないことだ。「陣営による政治を乗り越えたい」という新鮮な言葉で支持率が高まっている安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事もそうだ。安知事は報道関係者の親睦団体「寛勲クラブ」で行われた討論会で「(弾劾が棄却されたときの)国民の喪失感を考えると、たとえ憲法に基づいた決定であってもこれを尊重するとは明言しがたい」と発言した。大統領を目指す人物が法律に基づいた決定を尊重できないとはどういうことか。これではこの国は今後いったいどこに向かうのだろうか。

 安知事の発言は「憲法裁判所の決定に対する承服」を明言すれば、共に民主党の支持者が離れかねないとの懸念があるから出たものだという。共に民主党は弾劾の成立を確信しているそうだが、それでも「承服」という当然の言葉は党内で一言も口にできない雰囲気のようだ。このような政党が政権を取れば、この社会はいったいどうなるのだろうか。文在寅(ムン・ジェイン)前代表も「私は承服するが」とは言いつつ「民心と懸け離れた決定が下されれば、国民は容認できないだろう」などと述べ、承服しないことも一方でにじませている。

 朴大統領の弾劾を求める「キャンドル勢力」は堂々と「弾劾が棄却されれば革命」と主張しており、弾劾に反対する「太極旗勢力」は「弾劾が成立すればアスファルトを血が覆う」とためらいもなく口にしている。このように破局が少しずつ近づいているにもかかわらず、政治家たちは誰もリーダーシップを発揮できず、皆どちらかに迎合するばかりだ。この国の現状は本当に深刻だ。
(引用ここまで)

 アン・ヒジョンは最近になってぐっと支持率を上げてきた共に民主党の大統領候補のひとり。
 保守派にも響く政策や公約を挙げていて、パン・ギムンが大統領選を辞退したためにぽっかりと空いてしまった保守派の支持を大きく受けていることが影響しています。
 左派ではあるけども、「保守の気持ちも分かりますよ」というような話をしている人物です。

 ムン・ジェインが「不正に対して怒りを持って正義を貫くのだ」とぶち上げたときに「国家指導者の怒りは惨事をもたらす」と発言したということから、単純にろうそくデモに乗っかっている候補ではないことが分かります。
 保守派の支持もあり、一気に20%台にまで支持率を乗せてきて、あっという間にムン・ジェインの対抗馬として名乗りを上げたといったところでしょうか。

 だけども、その人物であってですら「弾劾が棄却されたらこれを尊重できるとは言い切れない」と言ってしまう。
 まあ、左派からの票を失わないためにもそういう発言も必要なんですかね。
 ちなみにムン・ジェインは「弾劾棄却時には私自身は受け入れるけど、国民がどう動くか分かりませんよー」みたいな言い方をしています。
 左に身を置いている以上、「革命」を欲してやまないというのは本音でしょうからね。
 政権を手に入れる際に、前政権を倒したという「正統性」を欲しがるのは儒教の影響だけではないのでしょう。
 左の根本的な思想として「革命無罪」があって、革命のためであれば暴力も無法も肯定されるというのが彼らの気分ですから。
 韓国人の「法治は自分には及ばない」という考えにこれが加えられると、民主労総のような暴力デモに陥るわけです。ムン・ジェインの「国民がどうするかなー」という発言は、この暴力デモが全土に広がることを期待している……と見るのは穿ちすぎですかね。

 世界における社会情勢のトレンドとして「同一国民同士の格差や思想によるデバイド(デバイドに相当する日本語が今ひとつ思い浮かばない。格差ではないのですよね、この場合)」がありますが、その最先端の形が韓国で見られると思いますよ。
 弾劾の可否を問わず。

 で、その弾劾裁判は27日に最終弁論で3月10日か13日に判決。最終弁論は24日の予定でしたが、パク・クネ陣営からの抗議で少し伸びました。
 弾劾棄却になったら韓国は際限のない混沌に叩きこまれることでしょう。
 そのあたりの事情もこみで弾劾が認められ、罷免されるとは思いますが……次のエントリに続く(予定)。

講談社現代新書がいろいろ安いような……。
文化大革命 (講談社現代新書)
矢吹晋

講談社
1989/10/20