大韓民国数学の崩壊、塾に通わないとついていけない(東亞日報)
昨年12月に発表されたPISA2015の結果は、史上最悪といえる。調査が始まった2000年以降、全領域で史上最低点に落ちた。その中でも特に目立った墜落は数学だ。この3年間、OECD加盟諸国は平均4点が下がったのに、韓国は30点も急落した。上位レベルの比率は過去最低、下位レベルの比率は最大となっている。学校や入試で他の科目より重視されているのに、崩壊の度合は最も急激と言える。

このような「数学崩壊」について、教育現場では、「来るべきものがきた」という反応を見せている。数学授業が行われる一般高校の教室で、10人中9人は居眠りをしたり、別のことをしている風景は、すでに日常となっている。中学はもとより、小学校でまで「数放者(数学を放棄した人)」が続出している。

専門家らは、韓国数学崩壊の根本的原因として、「学校教育や考える力だけでは決して『勝てるゲーム』ができない歪んだ評価構造」を取り上げている。教育当局はこの10年間、私教育を抑制し、生徒たちの負担を減らすと主張して、数学教育課程と学校授業のレベルを下方修正した。しかし、学校試験と大学修学能力試験などの「評価」は変わらなかった。その結果、私教育なしに学校教育だけを受けた生徒は、かえって良い点数を得るのがさらに難しくなったという分析が出ている。

経済的理由で数学において私教育を受けられない場合が多いが、その格差は,学力の差や入試結果の格差へとつながっている。東亜(トンア)日報が、昨年発表された2015年の統計庁資料を分析した結果、国内世帯の平均数学私教育参加率は42.5%で、所得が増えるほど参加率が増えており、所得間参加率の格差が最大で4.3倍に達した。

ソウル大学数理科学部の金明煥(キム・ミョンファン)教授は、「今の教育課程や評価方式は、完全に私教育を受ける金持ちの子供たちのための制度だ」と主張し、「教育システムが数放者を量産している」と批判した。
(引用ここまで)

 実際の問題として韓国では数学オリンピックではかなりの好成績を収めてきたのですよね。
 韓国メディアも「数学オリンピック(や科学オリンピックやブレイクダンス)で日本人よりも成績が上だから、人材競争力では韓国が明らかに勝っている」なんて言ってましたっけ。
 ただ、数学オリンピックの問題ってそれほど難しいものでもない。

 地上波でやってた頃のたけしのコマ大数学科が好きで見ていた時期があるのですが、ほとんどの場合は問題のとっかかりすら分からないのです。むしろ解説で「おお、そんなところから解を求めるのかぁ」って見るのが好きだったというか。
 そんな中で「え、これ簡単すぎるだろ」って回があったのですが、それが数学オリンピックで出題される問題を扱った回でした。
 ま、そんな1問やそこらで数学オリンピック全体の水準をどうこういうのは危険ですが、基本的に数学オリンピックは「解ける問題」であるのは間違いないのですよ。
 そんなんで次世代の人材云々って言われてもなぁ……ってことを、「次世代人材競争」のエントリを書いた当時も思ったことを記憶しています。

 数学オリンピックの件はその典型なのですが、要するに韓国では「数学ができる」子供に集中して私教育(要するに塾)を受けさせる。
 大学受験に向けて選別の必要性があるので問題の傾向は先鋭化していく。
 つまり、子供の大半がついていけなくなる。塾で教わることを前提として学校の問題が設定されればそうなりますわな。

 金がない家庭の子供は教育を受けられないという格差社会はすっかりグローバル化しているのですが、韓国ではそれが極端な形になっている。
 頂点のほんの数パーセントだけが特別な私教育を受けられる。
 さらに頂点を極めているのであれば、チョン・ユラのように実力がなくても周囲が環境を作り上げる。ま、彼女の場合はばれてしまったので本当の本物の頂点とはいえないのでしょう。

 こんな状況の中で出産率が上昇したら、むしろそっちのほうが異常だと思いますけどね。
 親として自分が経験してきたような地獄を我が子に再度経験させたいのかって話ですから。

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山本 俊郎
PHP研究所
2015/8/12