【萬物相】中国の「観光報復」、日本はいかに克服したか(朝鮮日報)
中国のTHAAD報復、日本のように耐え忍べるだろうか?(ハンギョレ)
 尖閣諸島の領有権問題を受け、中国が日本に対して最初に行った報復措置は日本向けの旅行規制だった。一般の日本人がその影響を肌で感じることができるからだ。それから3カ月間、日本の航空会社では中国を行き来する路線で5万2000席以上の予約キャンセルが出た。当時は13億人の中国人が全世界に観光に出始めた時で、韓国でも中国人観光客が爆発的な勢いで増加していた。このように世界各地が「中国人特需」に沸いていた頃、日本だけはその恩恵にあずかることができなかったのだ。日本にやって来た中国人観光客の数は最初の制裁で26%、2回目ではさらに7%減った。ちなみに当時、日本における中国人観光客の減少を埋め合わせたのが韓国からの観光客だった。日本を訪れた韓国人観光客も当時は毎年20−30%の高い割合で増加していたのだ。(中略)

 その後、中国は日本向け観光の規制を緩和したが、その理由は明らかではない。両国の首脳会談を前に、特に発表もないままいつしか規制は緩和された。しかも尖閣諸島の領有権問題で日本は何も譲歩していない。米国との同盟を強化することで、中国に対しては逆に強硬姿勢を強めている。また南シナ海の人工島問題でも米国と連携して中国に対抗している。1つ言えることは、日本は清潔さ、礼儀、親切、正直さに加え、豊富な観光資源によってその力を発揮してきたという事実だ。一般の中国人たちは誰もがそのような日本と日本の文化を楽しみたかったのだろう。そう考えるとわれわれはどのような強みを持っているのだろうか。われわれも今改めてその点を考えてみるべきだろう。
(引用ここまで)
 当時日本は、無音の反撃に出た。日本企業が反日デモを契機に「チャイナ・リスク」を再評価し、その後の対中国直接投資が急減した。2012年以後、日本の対中国直接投資は20〜30%ずつ急減し、2015年には全盛期の半分水準の32億1000万ドルまで減った。中国を訪れる日本人観光客数も急減した。中国と日本の観光客が相互に減って、代替地として韓国が急浮上し、中国と日本の観光客で韓国が観光特需を享受したのがこの頃からだった。

 関係悪化が両国経済に少なくない被害をもたらすという事実を認識した中国と日本は関係の回復を試みた。両国は2014年11月「4項目合意」を発表した。この合意により両国は「尖閣諸島など東シナ海海域で発生中の緊張状態に対し、それぞれ異なる見解がある」として、領土問題の葛藤を縫合し、「政治的相互信頼関係の構築のために努力しよう」と宣言した。

 しかし、余波は依然残っている。昨年日本を訪問した中国人観光客は、2012年に比べて5倍も急増(637万3000人)したが、中国を訪問した日本人観光客は未だ2012年以前の水準を回復できていない。韓国は日本のように中国の攻勢を耐え忍ぶ体力と規模、反撃手段、そして外交力が相対的に弱く、さらに北朝鮮問題というまた別の弱点も持っているため、今回の事態を当時の日本のように解決できるかは不透明だ。
(引用ここまで)

 韓国がTHAAD配備を決めたことに対して、中国政府は制裁を予告していました
 まず韓国への渡航をほぼ禁止するという制裁措置に出たそうです。もちろん、これまでの輸出入に対する各種いやがらせも絶賛継続中。
 で、韓国国内では「日本がロールモデルになる」というような感じで日本の中国対策を見習おうという記事がいくつも出ています。
 このエントリでは2本の日本語版だけを紹介していますが、韓国メディアがほぼ一斉に「日本を見習おう」みたいに言い出していて若干気持ち悪くすらありますね(笑)。
 いわく「日本は尖閣諸島国有化に対して中国が課してきたレアアース禁輸や中国観光客の激減に対して耐えてみせた。そのうち、中国側がしびれを切らせて再開したのだ」というようなことを一様に言っているのですが。

 さて、そんなにうまく行くんですかね。
 いくつか数字を出して考えてみましょうか。
 まずは観光客から見てみましょう。
 訪韓外国人は約1700万人。そのうち中国人は800万人。半分まではいきませんが、ほぼ半分までが中国人。
 日本の場合は訪日外国人が約2400万人。中国人は約640万人。1/4をちょっと越えるくらい。
 尖閣諸島国有化のころはまた違っていたでしょうけど、現在であったらということでの比較。

 次に韓国の持つ唯一の経済エンジンである輸出を見てみましょうか。
 ダントツで輸出先のトップは中国で26%。この数字は2位と3位であるアメリカ(11.1%)と日本(6.2%)を足した数字よりも大きかったりするのです。
 日本は同じ3位まででアメリカ、中国、韓国で数字は20.1%、17.5%、7.1%。韓国よりEU全体のほうが大きいですけどね。
 中国への依存度が韓国のそれと大きく異なるのです。

 中国への投資額を見てみましょうか。
 大規模な反日デモが起きたことから、日本企業はチャイナリスクに対して投資を減らすという方向性で一貫してきました。もはや人件費から見たら中国に旨みはありませんしね。ただ、熟練度はそこそこ上がってきているので、ゼロから投資するのに比べたら見逃しがたい利点ではありますが。
 その一方で韓国はいけいけドンドンで中国への投資を増やし続けてきました。
 2015年には日本(32.1億ドル)と韓国(40.4億ドル)の対中投資額が逆転しているほどです。
 経済規模を考慮すると日本の5倍ほども投資していることになるのですよ。

 そして、日本はレアアースが禁輸になったところで「じゃあ、レアアースを減らしてみよう」とか「代替物質を探してみよう」という方向性が取れる。
 それによって実際にレアアースの需要が減ってしまって価格も大暴落。大規模投資をした中国企業が倒産したほどです。
 いまだに中国人は「生意気な日本人を制裁するのにレアアースを禁輸しろ」とか言っているのですけどね。
 そういった対抗策が韓国の実力で取れるのか。

 パク・クネが中国の抗日戦勝パレードに参加したのは、それだけ中国への依存が高まっていたことも原因のひとつといえる状況だったから。
 もはや韓国は生殺与奪権を中国に握られていると言っても過言ではないのです。

 まあ……無理なのですよ。
 実は今回ピックアップしている記事はふたつともそんな感じで、結論としてはうっすらと「韓国には無理だわ」と書いているものだったりするのですけどね。
 朝鮮日報の記事はソンウ・ジョンのもので、もはや彼は「諦韓」の域に近づいているのではないかと思われるほど。
 こうして実際の数字を出して考えてみると、李氏朝鮮にかぎらず朝鮮半島の国が貫いてきた事大主義というものは、それほど間違った方策でもなかったんじゃないかったかなーと感じますね。

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