「儒教式法治」を極める韓国(日経ビジネスオンライン)
──「宣告がおかしい」という意見は、韓国紙の日本語版には見当たりません。

鈴置:韓国語版も同じです。保守、左派を問わず韓国紙は「朴槿恵下野」を要求してきましたから、自分たちの主張に沿った宣告に疑義は挟みません。ただ瞬間的にですが、宣告に首を傾げる法曹関係者の姿が垣間見られました。

 TV朝鮮の「<ニュースを撃つ> 弾劾審判 憲法裁判所の要旨…「容認」決定の争点は?」(3月10日、韓国語の動画)で、です。

 座談会の焦点は、大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)氏による「国政壟断事件」に関し、朴大統領が罷免されるに足る憲法・法律違反をしたか、でした。

 国会がそれ以外の訴追事由としてあげた言論の自由の侵害や、旅客船「セゥオル号」沈没の際の行動に関し、憲法裁判所は宣告の中で罷免するには当たらない、との判断を示したからです。

 この座談会で、ヨ・サンウォン弁護士(前・ソウル地裁副所長)とイ・サンギョン弁護士(前・憲法裁判所裁判官)の2人が大略、以下のように述べました。

憲法裁判所は罷免の理由に、国政壟断を許した職権乱用に加え、大統領が検察や特別検察の事情聴取を拒否したことをあげた。しかし、後者は弾劾訴追案には入っていない。訴追されていないことまで罷免の理由とするのはおかしい(それぞれ動画開始後8分20秒後と11分48秒後)。

──裁判官が、検察官が訴えていないことまで裁いてしまった、ということですね。

鈴置:その通りです。朴大統領の弁護団との間でかなりの諍いがあったので、憲法裁判所が感情的になってこのくだりを入れたのだろうとヨ・サンウォン弁護士は解説しています。 (中略)

鈴置:今回の宣告はまさに「情理」――韓国人の気分にのっとったものでした。8割近い人が「大統領を罷免しろ」と考えている。だったら憲法裁判所もそれに従うだろう――という空気の中での宣告でした。

 憲法裁判所としては、訴追案になくても「国民をバカにした罪」かなにかで、とにかく大統領をやっつける必要に迫られたのです。
(引用ここまで)

 鈴置氏のいつものコラム。
 うちもパク・クネの弾劾が成立した際に主文を読んで、頭の上にはてなマークがいくつも出たのですよ。
 要約すれば「事情聴取に応じなかった。つまり、憲法に従う意思を見せようとしなかった態度は大統領として失格である」としか読めなかったのですね。
 そもそもそんな話が国会での弾劾訴追案にあったかな、と。
 ただ、それに言及している韓国マスコミがどこもなかったので「翻訳の問題かなぁー」くらいに思っていたのですが。

 弾劾成立した日の夜にシンシアリーさんが解説していて、「ああ、やっぱり妙な主文だったのだな」ということは理解したのですが。
 どうもうまくエントリにならなかったので放置していたのですね。なにか書くにしても、シンシアリーさんを丸写しして終わりになりそうだったので、若干の違和感を抱きつつスルーしていました。 
 今回、鈴置氏はその原因を「儒教的法治に先祖返りしたからだ」と指摘しています。

 そして、そんな儒教的法治を敷いている韓国は、日本から見ればもはやモンゴルよりも遠い国なのだ……との指摘でとりあえず今回のコラムは締められています。
 基本的価値を共有していない国なのだ、と。

 膝を叩きましたね。頭の上に浮いていたはてなマークが破裂した感じです。
 本来であればパク・クネの「罪状」は弾劾が成立するようなものではなかったということは、憲法裁判所の判決が出る前に楽韓Webでも重ねて指摘していました。
 それでも憲法裁判所は保身のために弾劾を成立させるであろうという話をしていましたね。

 なんのこたぁない、いつもの韓国なのです。
 その強度が国民情緒法によって強化されたというだけの話だったのですね。ただ、その強化のされかたがもはや日本人にとっては違和感を抱くしかない、気持ち悪さを感じるレベルのものになっていたということでした。
 まあ、韓国にとってはターニングポイントになったであろうことは間違いないでしょうけどね。

SAPIO (サピオ) 2017年 4月号 [雑誌]
SAPIO編集部
小学館
2017/03/04