韓経:【社説】韓米FTA5周年、反対扇動者はどこへ行ったのか(中央日報・韓国経済新聞)
【社説】韓米FTAを「売国」呼ばわりした文在寅氏に政権を執る資格はあるのか(朝鮮日報)
振り返ってみると怪談と扇動は深刻だった。経済専門家という人たちの無知または曲学阿世がよく表れた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時の柳時敏(ユ・シミン)議員は「効力停止特別法を作ろう」と主張した。経済秘書官を務めたチョン・テイン氏も「FTAがIMFのような危機10個はもたらす」と述べた。いい加減な経済専門家という非難されても返す言葉がなくなった。

メディアも批判から自由でない。国営放送というKBS(韓国放送公社)はメキシコ経済がNAFTA締結後に破綻状況という歪曲報道で反対世論を扇動した。現地を訪ねて制作したシリーズ放送を週末のゴールデンタイムに流した。南米に散在していた反市場主義性向の政治家と学者を選んでインタビューした歪曲だった。大衆の付和雷同は恥ずかしいほどだ。盲腸の手術費が900万ウォン(約90万円)まで上がる、水道料金が暴騰して雨水を使わなければいけないという扇動が乱舞した。そのような扇動に乗せられてFTAをやめていればどうなっていたか考えるだけでもぞっとする。
(引用ここまで)
 5年間の成果を見ると、かつてFTAをめぐり繰り広げられた修羅場は何だったのだろうかと問わざるを得ない。2008年にFTA批准同意案を処理した国会常任委員会では、野党が金づちやチェーンソーまで持ち出して物理的に阻止した。11年11月に批准案が本会議に上程されると、野党は壇上を占拠して実力阻止に乗り出し、催涙弾を打って全世界の新聞の1面に掲載された。批准案が通過すると、野党は街頭に飛び出して場外乱闘を繰り広げた。

 FTA反対デモの現場では、「水道料金が急騰して雨水を集めて使わなければならなくなる」「お金がない人は病気になっても病院に行けない」「盲腸の手術代が900万ウォン(約90万円)になる」という叫び声が飛び交った。自称「専門家」は米国産輸入牛のせいで韓国全土が「狂牛病」(牛海綿状脳症〈BSE〉)だらけになると脅した。国会に催涙弾を打ち込んだ野党政治家は「(独立運動家で伊藤博文を暗殺した)安重根(アン・ジュングン)と同じ心情からやった」と言った。

 当時の野党・民主党は「韓米FTAは『乙巳条約(日本名:日韓保護条約)』だ」としてFTAを売国行為だと責め立てた。デマは決して真実に勝てない。ところが、韓米FTAを売国行為だと扇動していた人々は、真実が明らかになっても一人として「あの時、私は間違っていた」と言わない。謝る代わりに韓国海軍哨戒艦「天安」沈没に関するデマや、貨客船「セウォル号」沈没事故に関するデマなど、あの手この手で世間を騒がせている。

 2012年の大統領選挙に出馬した文在寅(ムン・ジェイン)氏は、韓米FTAが間違いだとして再交渉を公約に掲げた。韓米FTAは盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が推進したもので、当時の政権の中核にいた人物が間違っていたと言ったのだから、国民は困惑するしかなかった。この重大な国家問題でこのように大きな判断ミスをしたというなら、何かしら説明がなければならない。国の滅亡だと言わんばかりに決死の反対運動を繰り広げていた民主党と文在寅氏が韓米FTA 5年間の成果について口をつぐんだまま政権を執ろうとしている。本当に政権を執る資格があるのだろうか。
(引用ここまで)

 いや、当時はとんでもない反米デモも起きてましたね。
 記事中にあるように、そもそもの締結・署名はノ・ムヒョン政権下の2007年だったのです。
 あれには韓国ウォッチャーも唖然としたというか……。
 「え、なんであの反米主義者(ノ・ムヒョン)が米韓FTAに署名してるの?」って感じでした。
 楽韓さんの中では「要するになにも考えていないんじゃないか」って結論になったのですが。
 いま考えていると、本人の中では「韓国バランサー論」の発現だったつもりなのかもしれませんね。あとは翌年にノ・ムヒョン退任が控えていたこともあって、レガシー作りの一環だったともいえるでしょう。 

 韓国国内での歓迎ぶりも大したもので「これで韓国の経済領土は一気に広がってなにもかも解決したも同然」みたいなメディアからの大絶賛を受けていました。
 韓国人も同様で、当時は「アメリカと韓国は血盟なのだ。見たか日本!」ってなって「え、なんでこっち見るの?」となったものでした。

 で、追加交渉が2010年に行われて、アメリカ議会では2011年10月に、韓国国会では11月に可決されたのですが。
 韓国では国会にデモ隊が乱入するだの、国会議員もチェーンソウや催涙弾を持ち込んでの大騒ぎだったのですよ。数千人規模の割と大きな反対デモも開催されていましたね。
 当時から記事にあるような扇動が語られていて、「米韓FTAが結ばれたら韓国はおしまいだ!」って騒いでいました。
 テレビ番組ひとつで韓国全土を巻き込んだ狂牛病騒ぎでもそうだったのですが、韓国人は異常なくらいに扇動に弱いのです。
 政府の公式コメントは全部嘘で、扇動で語られていることがすべて正しいというように認識されてしまうのですね。

 5年前にはなに言ってたんだよって話なのですが。
 さらにあきれることに2007年のノ・ムヒョン政権中枢にいて、2011年には野党代表となっていたムン・ジェインは「米韓FTAハンターイ」と叫んで、再交渉を大統領選挙の公約のひとつとしていたのです。
 ……どこかで見た光景ですね(笑)。

 朝鮮日報と韓国経済新聞は保守派のメディアとして知られているので、こういった社説を出しているのでしょう。「おまえら5年前になにがあったか覚えているか? ムン・ジェインはどういった人物なのか忘れたのか?」ということで。
 まあ、覚えていたら支持率が30%超なんてダントツになるわけないのですけどね。

 ノ・ムヒョン政権下は平均経済成長率が約4.5%であったこともあって、「最後の韓国経済がよかった時代」として記憶している人も少なくないんじゃないですかね。
 それをムン・ジェインに重ね合わせている人もいるのかもしれません。
 実際にはあそこで内需を伸ばさなかったからこそ、いまの韓国があるのですが。

マスコミが報じないトランプ台頭の秘密 (青林堂ビジュアル)
江崎道朗
青林堂
2016/10/8