【コラム】WBC韓国惨敗、安全志向の芸能人野球が没落した日(朝鮮日報)
WBC:小学生からカーブ酷使、「国宝級投手」出れば奇跡(朝鮮日報)
 今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場した韓国代表が2大会連続で1次ラウンド敗退という悲惨な結果に終わったことで、ファンの間からは監督やコーチなどスタッフ陣による試合運びについて、そして選手に対しては「気合いが入っていなかった」といった、厳しい評価や非難が相次いでいる。 (中略)

 しかし今大会の惨敗を選手のせいだけにするわけにはいかない。まず韓国の野球界全体からいつしかダイナミックさが失われていることを指摘したい。 (中略)

韓国で初めてプロ野球の試合を見る人は、誰もが「コンサートに来たみたいだ」と語る。チアリーダーを中心とする整然とした声援が試合の最初から最後まで球場に鳴り響き、選手たちは実力に関係なくアイドルのようになっている。これはおそらく韓国だけの独特な応援文化なのだろう。しかし外見ばかりが派手な韓国のこの「芸能人野球」も、2006年のWBCでベスト4に進出してからは少しずつ低落傾向にある。
(引用ここまで)
 野球の韓国代表チームは今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で「高尺の惨事」(高尺=試合が行われた高尺スカイドーム)と言われるほど無気力な試合をしてベスト8進出に失敗した。さまざまな原因が取りざたされているが、野球関係者は「決定的な場面でチームを救う『エース投手』がいなかったのが一番痛かった」と口をそろえる。金寅植(キム・インシク)代表監督も9日の台湾戦終了後、「登板するだけで相手を震え上がらせるような投手が今はいない。柳賢振(リュ・ヒョンジン)や金広鉉(キム・グァンヒョン)の登場から10年たったが、そういう投手が出てこない」と語った。

 韓国野球界には「国宝級投手」の系譜があった。崔東原(チェ・ドンウォン)、宣銅烈(ソン・ドンヨル)、朴賛浩(パク・チャンホ)、柳賢振などだ。しかし、ここ10年間だけを見ると、この系譜が途絶えたと言っても過言ではない。この「大型投手不在」は韓国野球界の構造的な問題のせいだと専門家らは指摘する。

 韓国野球委員会(KBO)は今年1月、39校の高校生投手316人を対象に「アマチュア野球現況アンケート」を実施した。このアンケートの報告書によると、回答者の23%は「13歳からカーブを投げた」と答えた。これはスライダーなどほかの変化球は除いた数値だ。米国スポーツ医学研究所(ASMI)では14−16歳以降にカーブを練習するよう勧告している。関節に負担がかかるカーブを低年齢時からやたらに投げれば、けがのおそれが高くなるからだ。しかし、韓国では多くの投手が小学生のころから「勝つ野球」のため変化球を投げる。ハンファ・イーグルスの金星根(キム・ソングン)監督は「最近の小学生は10球のうち8球も変化球を投げることもある」と言った。

 いわゆる「酷使」も大物投手誕生の障害となっている。中学・高校野球ではエース1人が試合のほとんどを投げるケースが多い。これを防ぐため、2014年から高校野球の投球数制限(130球)の規定が設けられた。だが、ある野球解説者は「試合では規定に従っても、練習時に150−200球ずつ投げるのは止められない」と話す。

 事実、前述のKBO報告書によると、回答者の92%が「腕が疲れている状態で投球した経験がある」と答えている。こうした状況のため、高卒の有望投手がプロ入りと同時に故障を抱えることも少なくない。首都圏を本拠地とするプロ球団のスカウトは「有望投手だと思って入団させても、すぐに手術を受けたり、リハビリに入ったりするケースが必ずと言っていいほどある」と述べた。

 こうした構造の下で大型投手の登場を待ち望むのは奇跡と言っていいだろう。韓国野球関係者の間ではこの投手不足は当分続くものと予想されている。
(引用ここまで)

 WBCで2大会連続のファーストラウンド落ち、しかも今回はホームで敗退しているということは、それなりの実力であったということでしょう。
 野球という競技の性格上、短期決戦ではなにが起きてもおかしくはないですが。それでもコンスタントな成績を上げることもできるとは思うのですよ。
 これまでの韓国代表の戦績を並べてみましょうか。

●WBC
2006 ベスト4
2009 準優勝
2013 1R脱落
2017 1R脱落

●オリンピック
1992 アジア予選落ち
1996 本戦最下位
2000 銅メダル
2004 アジア予選落ち
2008 金メダル

 で、日本も並べてみます。

●WBC
2006 優勝
2009 優勝
2013 ベスト4
2017 ベスト4以上確定

●オリンピック
1992 銅メダル
1996 銀メダル
2000 4位
2004 銅メダル
2008 4位

 4回のWBCですべて準決勝以上に進出したのは日本だけ。
 5回あったオリンピックの野球ですべて決勝ラウンドに進んでいるのは日本とキューバだけ。
 近年のキューバの没落具合は、個人的には残念の一言ですが……。
 まあ、日本代表はコンスタントな成績を上げているといっても過言ではないでしょう。

 ちなみに小学生から変化球を投げるという話ですが、韓国独自の事情がありまして。
 韓国で野球部がある高校は50校以下なのです。
 つまり、子供の頃から勝ち進んで指導者の目に入らないと、そもそも高校に進んで野球をすることすらできないのです。
 ロサンゼルス・ドジャースに所属するリュ・ヒュンジンは高校の頃にすでにトミー・ジョン手術をやってますね。さらに今回は肩もやってしまって、20代なのに復帰できるかどうかの瀬戸際にいます。オ・スンファンも大学生時代のトミー・ジョン手術経験者。

 構造的に子供の頃から無理しないと野球が続けられないのですね。
 成長線も閉じていない子供が無理するのですから、そりゃ故障もしますわ。
 上原みたいに大学から頭角を現して……みたいなことが難しい。ちなみにサッカーも同様で、パク・チソンが日本にきたのはそれが原因のひとつ。

 とはいえ、子供の頃から投げさせすぎるというのは日米でも共通した問題ではあります。韓国にかぎった事情じゃない。
 原因は異なりますが、ロス出身の投手には故障が多いことが知られています。
 温暖で1年中投げられることから、どうしても投球数過多になってしまうのだそうです。
 最近、メジャーのスカウトはそのあたりも考慮に入れて指名をしているとか。

 今回の韓国代表戦はすべてで中継を見ていましたが、まあ……実力でした。
 イスラエルとはほぼ同等といったところ。オランダとは地力の差が確実にありました。
 前回大会で初戦のオランダに負けた時点で大会が終わっていたように、今回もイスラエルに負けた時点で韓国代表にとって実質的に大会終了していたのです。
 イスラエル戦こそが全力で戦う相手だったのですがね。

これを読んでみる。
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ジェフ・パッサン
ハーパーコリンズ・ジャパン
2017/2/23