【コラム】引退した孫延在に石を投げる人たち(朝鮮日報)
「五輪金メダリストでもないくせに何で記者会見するんだ」

 新体操の孫延在(ソン・ヨンジェ、22)=延世大学=が17年間にわたる選手生活を終えた4日の引退記者会見。このニュースを取り上げた記事の下に書き込まれたコメントには孫延在に対するねぎらいではなく、非難の声が驚くほど多かった。(中略)書き込みだけで数万件に達しているようだった。

 単に誰かのことが嫌いで非難するならどうしようもないことだ。(中略)しかし、とんでもないデマを事実であるかのように流布し、さらに大きな誤解を生じさせて非難しているとしたら、話が違う。孫延在のケースがそうだ。孫延在は「崔順実(チェ・スンシル)国政介入疑惑」の主役の一人チャ・ウンテク被告が主導した国民体操「ヌルプム体操」のデモンストレーションに参加していたことが昨年11月に伝えられ、あっという間に「政権からの特別待遇」を象徴する人物になってしまった。「新体操選手としての善意からデモンストレーションに参加した」という釈明は聞き入れられなかった。デモンストレーションが行われた2014年は「崔順実」という名前すら誰も知らない時期だった。孫延在がそのデモンストレーションの背景をどうやって知って参加したのか説明している人もいない。同じデモンストレーションに参加して非難を浴びた2012年ロンドン五輪体操男子跳馬金メダリストの梁鶴善(ヤン・ハクソン、24)は「私も大韓体操協会の要請で参加したが、私にどんな恩恵があったのか自分自身、考えている」と言った。

 孫延在が朴槿恵(パク・クネ)大統領の処方せん疑惑にかかわったチャウム病院に通っていたことも非難の的となった。このため、「崔順実寄り」というレッテルが貼られた。けがや故障が付きものという種目の特性上、孫延在はチャウム病院のほかにも複数のリハビリ・漢方病院に通っていた。チャウム病院では主に食事メニュー構成の指導を受け、治療費も正しく支払っていた。同じ病院に通ったことが問題ならば、チャウム病院の患者は全員、「特別待遇リスト」に入れなければならないだろう。孫延在の引退宣言に対しても、一部には「今となってはひも(崔順実被告の人脈)が切れたので、逃げるように引退したのでは」と荒唐無稽(むけい)なことを言う人もいる。孫延在は五輪前から引退の意向を表明してきたという「ファクト(事実)」は無視しているのだ。

 世界の新体操界において、韓国は存在すらしない国だった。孫延在はそうした国で生まれた「突然変異のパイオニア(開拓者)」だった。7年間にわたり異国・ロシアで一日10時間というハードな練習をした結果が、韓国初のアジア大会新体操金メダルと五輪4位という成果だった。韓国人の誰も成し遂げられなかったことであり、五輪のメダルと同じくらい価値があることだ。

 孫延在はこのように屈辱的なレッテルを貼られたまま引退した。韓国の新体操界は再び不毛の地に戻った。開拓者を励まし、「孫延在キッズ」を育てるため力を入れても不十分だろう。こんなことをして私たち韓国人が何を得られるのか問いたい。
(引用ここまで)

 穢れの思想、ですね。
 このソン・ヨンジェという選手は元々、毀誉褒貶の激しい人物なのだそうですね。リオオリンピックで4位に入賞し、引退を表明。
 韓国では唐突に現れたキム・ヨナ、パク・テファンのような「突然変異」タイプのアスリートだったそうです。

 さて、チェ・スンシルの操り人形であった(愛人であったともされている)チャ・ウンテクの肝いりではじまったヌルプム体操というものがありまして。
 韓国のラジオ体操的なものとして浸透させようという話だったのですね。
 そのプロモーションにパク・クネも参加していて、ソン・ヨンジェら韓国の著名な体操選手もプロモーションに参加させられた、とのことです。
 それが2014年の末頃の話。
 この一連の動きの中に、文化事業利権をあさるチェ・スンシルの陰があったのではないかとされています。
 いわゆるチェ・スンシルによる国策介入事件が明らかになる2年以上前の話です。

 けっきょく、件のヌルプム体操なんて誰もやっていないというオチになったようですが、そのプロモーションに参加した体操選手は悪の烙印を貼られている、というのが今回の記事。
 なぜならチャ・ウンテクが主導した事業に参加したから。
 パク・クネやチェ・スンシルと袖すり合うようなことがあれば、すなわち悪。
 そして悪即斬。

 日本でもまだまだ「穢れ」や「言霊」に操られている部分が少なからずありますが、韓国のそれはウリとナム意識によって強化されているので質がなおのこと悪い……。
 ナムとして位置づけられた人物はそれを覆すことができず、パク・クネとその一党として扱われ続けるということでしょう。
 親日派(チニルパ)としてレッテル貼りされたらそれで人生終わり、という構造とダブって見えますね。

井沢元彦の最高作はこれではないかと思う。
穢れと茶碗 日本人は、なぜ軍隊が嫌いか (祥伝社黄金文庫)
井沢元彦
祥伝社
1999/2/20