【コラム】韓国大統領選、土壇場で逆転はあるのか(朝鮮日報) 
 日本で徳川幕府打倒のきっかけとなった薩摩と長州による薩長同盟(1886年)は、勢力が弱い2つの陣営が連合し、強者を倒した代表的な事例として挙げられる。薩長同盟は不可能と思われた両勢力の連帯を実現した交渉の結果だ。両陣営の対立は韓国で言うと、嶺南(慶尚道)と湖南(全羅道)の不和を上回る水準だったという。幕府も両藩の連帯は「あり得ない」として、状況を楽観していた。

 しかし、両藩は積年のわだかまりを洗い流し、力を合わせた。不可能とされた合意を引き出した人物が日本の近代を切り開いた英雄として慕われる坂本龍馬だ。彼が双方を行き交い語った「まずはもう一度会ってほしい。そして、半歩だけ譲歩してほしい。後は自分が引き受ける」という言葉が印象的だ。 (中略)

 大統領選は果たしてこのまま終わるのか。中道・保守陣営は唯一逆転できるシナリオとして、民主党以外の候補・政党の連帯を描いている。自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏、国民の党の安哲秀(アン・チョルス)氏、正しい政党のユ・スンミン氏が有力となっている3党候補が劇的に手を結び、文氏との一騎打ちの構図を形づくれば、土壇場での逆転もあり得るとの考えだ。各党有力者が水面下で調整に入ったとのうわさもある。

 さまざまな状況からみて、3党の連帯が実現するには険しい峠を越えなければならない。2陣営の連携でさえ難しいのに、考えが異なる3つ以上の陣営をまとめなければならないからだ。時間が足りない上に考慮すべき不確定要素だらけだ。各陣営は利害関係が食い違い、支持層の考えも異なる。 (中略)

 無論そうした悲観的な見通しは劇的な交渉の可能性もはらんでいる。ただ、そのためには「名分」と「譲歩」が求められる。主な政治家は故障した大統領制を修正するため、分権型憲法改正、反覇権の名分を掲げ、各陣営を説得できなければならない。また、連帯なき大統領選以降は共倒れになると説得し、半歩ずつ譲歩を引き出すことができなければ、連帯を期待するはできない。国民の党の朴智元(パク・チウォン)代表が言うように、「政治は生き物」であり、洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏が言うように「不可能を可能にするのが政治」でもある。しかし、それが可能となるためには少なくとも「半歩の譲歩」が必要だが、それが可能かどうかは動向を見守るしかない。
(引用ここまで)

 先日のソンウ・ジョンのコラムもそうですが、韓国国内の保守派からは悲鳴にも似た叫びが連日上がっています。
 現状のままでムン・ジェインが大統領となった場合、怖ろしい事態になるのは間違いないですからね。
 シンシアリーさんによると、すでにテレビ朝鮮は停波されるのではないかとされているとのこと。
 こういった有形無形の圧力はこれからも続くでしょう。
 最低で5年。長いと13年。
 さらに長ければ今世紀中はそのままなんて可能性すらあります。その場合の国名は「大韓民国」ではないかもしれませんが。

 パン・ギムンが出馬宣言を撤回し、ファン・ギョアンが不出馬宣言をしてしまった現状では保守派の受け皿そのものが存在しないのです。
 「保守側の気持ちを汲もう」と発言している共に民主党からの候補であるアン・ヒジョンに最後の望みをかけているような状況。

 そのアン・ヒジョンですら支持率調査では20%に達することすらない。
 そして現状ではアン・ヒジョンは共に民主党内の予備選挙で落選すること間違いなし。

 旧セヌリ党の自由韓国党、正しい政党に加えて国民の党を合流させて統一候補を立候補させることで対抗軸にさせようというのが、この記事の目論見なのです。
 この記事の目論見、というか保守派に残された最後の望みとでもいうべきでしょうかね。
 そのために日本の維新前夜の薩長同盟のような「それぞれが半歩だけ譲歩してほしい」という精神を持ち寄れば可能になるのでないかという話ですが。

 無理ですね。
 薩長同盟はどちらにも「このままじゃ日本がダメになる」という認識があって、そのための手段を探していたところに坂本龍馬というカリスマが介在したからこそうまくいったわけで。
 まあ、その他にもいろいろと重なってはいるけども、登場人物の全員に「日本をどうにかする」という意識があったのですよね。
 廃藩置県で中央集権制度になったときも、島津久光が一晩中花火を打ち上げて抗議したくらいなもので、そうせざるを得ないという共通意識があったからこそできた。

 果たして韓国にそんな意識があるのかどうか。
 そもそもこの話をしている保守のほうも「韓国のために」というよりは、自己保身のためなんじゃないのって気がしてならないのですよね。
 そもそも論としてムン・ジェインにならなかったとして、アン・チョルスなり旧セヌリ党の重鎮が統一大統領候補になったところで、韓国のためになるのかってことなのですが……。

 どっちにしても現状では保守派=パク・クネという図式になっていて、かつパク・クネに対してのアレルギーが強すぎて、対抗軸にはなり得ないと思います。

風雲児たち 幕末編 28巻
みなもと太郎
リイド社
2016/11/30