【レーダーPファクトチェッカー】ホン・ジュンピョ 「執権と慰安婦の合意破棄、協議なしに可能」(毎日経済新聞・朝鮮語)
Q:自由韓国党のホン・ジュンピョ慶南知事は昨今の議論と会見などを通じて、現政府による12・28慰安婦の合意を「裏取引」に例えて「再交渉することもなく、協議対象ではない。私が大統領になれば合意を破棄するだろう」と言いました。果たして慰安婦の合意破棄は協議なしに破棄することができますか?

A:本題から話すと慰安婦の合意は、直ちに破棄が可能です。破棄した後、国際社会で韓国政府が受ける不利益を含めてひとつずつ見てみましょう。

国家間の合意の種類はさまざまです。大きな枠組みでこれをすべて「条約」といいます。その種類と格式に応じて条約(treaty)、憲章(charter)、協定(agreement)、協約(convention)、議定書(​​protocol)、覚書(Memorandum of Understanding)といった形で表現することができます。

この中で最も格式が高く、拘束力も強いのが両者の間の政治的、外交的基本関係や地位に関する包括的な協議を記録する「条約(treaty)」です。通常国会の批准を必要とする慰安婦合意の根であり、それらの問題の出発点と見ることができる日韓間の基本的関係に関する条約(1965年)がその代表的な事例です。少し混乱するでしょうか? 条約の中に条約があるから。国際法によって規律される両国間の国際的合意を広い範囲ですべて「条約」と考えてください。そのほうが楽です。

次に、一昨年の2015年12月28日、日韓両国外相が共同で発表した「慰安婦の合意」も条約と見ることができるでしょうか? 外交部によると、そうではありません。外交部の関係者は「韓日慰安婦の合意は、両国間の法的拘束力のある条約とは考えられない」と言いました。政治的合意あるいは宣言に近いのです。

実際に両国外相は一昨年、共同記者会見を開いて「宣言文(statement)」を読むことで合意としています。公式合意文を作成していないことです。 「条約法に関するウィーン条約」第2条によると、国際法上の条約とは「文書の名称にかかわらず、書面の形式で関連文書によって実装される」と明らかにしています。合意文書がない場合は、合意があったとしても条約ではないようです。

パク・チャンウン漢陽大法学専門大学院教授は、「法的に見たとき、慰安婦合意は国際法上拘束を受ける条約ではなく、政治的な宣言に近い」とし「合意破棄はいつでも可能であり、相手国からの非難があったとしても国際法的に制約を受けたり、訴訟を受ける心配はない」と述べました。

続いてパク教授は「過去にも、各国の政治的状況に応じて約束が履行されない国家間の合意は多数存在しました」としました。朴教授は政府が慰安婦の合意を「条約」の形で作られていない理由について、国会批准あるいは閣議決定手続きが必要となるような政治的負担を回避しようとする目的と、将来の合意破棄という「出口」が必要になることができるという考慮が作用したのではないかと分析しています。

しかし、技術的には破棄が可能であっても現実的に慰安婦の合意を破棄することはできないのが、韓国が直面している政治的現実です。イ・ウォンドク国民大国際学部教授は、「慰安婦合意を破棄した場合、韓国の国際信頼度と信頼性にかなりの打撃があるかもしれない」とし「破棄を叫ぶ大統領候補が合意破棄後に慰安婦問題と日韓関係をどのように展開していくのか適当な代案も出せずにいる」と評価した。

シン・ガクス前駐日大使も「慰安婦合意は完璧なものではない」と言いながらも「国家間の合意を一方的に破棄した場合、後遺症が少なくない」と、かなりの懸念を表している。

両国外相が全世界に向けて共同で発表した合意を政権交代したのだからと一気に覆すならどの国が韓国と国家間の合意をするのかということが専門家たちの懸念です。

もちろん慰安婦合意自体に否定的な専門家もいます。キム・チャンロク慶北大法学専門大学院教授は、「合意を破棄する場合、国家の信頼性に大きな影響を与えることは事実」としながらも「慰安婦の合意は見直すべきだ。これは政府が監修して決断しなければならない問題」と言いました。

慰安婦合意に基づいて、日本政府が予備費から拠出した10億円は既に多数の慰安婦被害者おばあさんとその遺族に支給されたのも問題です。外交部関係者は「合意を破棄した場合、この10億円を日本にどのように返さなければならないのか、私たちが返したとしても日本が受け取るかどうかすらはっきりしていない」と言いました。
(引用ここまで)

 比較的、冷静な論評ですかね。
 今のところ、ほぼすべての大統領候補が慰安婦合意について「一方的破棄」、もしくは「再交渉」を唱えています。
 最有力候補のムン・ジェインはもちろん、与党候補のホン・ジュンピョまで。慰安婦合意については政治的背景にかかわらず全員。

 しかし、そもそも実際に再交渉や破棄ができるのか。
 法的根拠から考察したものはなかったのですよ。
 この記事によると一方的に合意を破棄することもできるし、再交渉要求もできる。
 それによって国際裁判になることもない。法的なペナルティを負うこともない。

 しかし、それによってなにが起きるのか。そこまで書いた記事ははじめてじゃないですかね。
 いくつか保守派メディアからは「政権交代に伴って再交渉要求や破棄をしたら韓国の国際的体面は地に落ちる」というようなコラムや社説は出ていましたが。
 あれだけ大々的に慰安婦合意を発表しておいて、それをたかだか1年半で「政権交代したから」という理由で覆せばもはや韓国と約束を交わそうと考える国はいなくなる。

 これが「官房長官談話を出してくれれば慰安婦に関してすべて終了する」という裏取引であった河野談話との大きな違いですね。
 「最終的かつ不可逆的に解決した」と宣言しておいたからこそ、「たったの1年半でちゃぶ台返しをしようとする」韓国の姿勢そのものを問うことができる。
 各国の衆人環視の下で合意があったからこそできることなのですよ。
 ついでにいえば、日本から見た日韓関係はもはや慰安婦合意なしには成り立たないようになっています。

 韓国側としては防戦一方だったはずの日本が「慰安婦合意」という外交カードを得て、攻守逆転していることが気に入らないのでしょうけども。
 だからこそ手放すわけがないですよね。
 あと再交渉要求や一方的破棄をして、そこからどうするつもりなのかって話もまったくできていませんが、大統領候補にこのあたりを質問する韓国メディアもいないもんかなー。

思えばシンシアリーさんも室谷さんも、そしてうちでも「合意を蒸し返す」という認識では一致してましたね。
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2016/03/01