米NBCが韓半島情勢を重視、大物アンカーを韓国へ派遣(朝鮮日報)
 「ここから非武装地帯(DMZ)までは、戦闘機に乗って数分です。北朝鮮によるさらなる核実験はいつでも起こり得るという状況で、ここでの米軍の備えを見てみたいと思います」

 米国の3大地上波テレビ局の一つ、NBCの「看板アンカー」、レスター・ホルト氏(58)は3日(現地時間)、米空軍烏山基地のA10攻撃機の前から夕方のメインニュースをスタートさせた。正装ではなく、黒いダウンを着ていた。リポーターを務めた記者は「トランプ政権は今、『北朝鮮先制打撃論も排除しない』と言っている」と伝えた。米国の情報当局者の話を引用して「北朝鮮の核の脅威を防ぐため、軍事攻撃も考えられる」と報じた。

 米国の主なテレビ局がアジア特派員を差し置いて大物アンカーを直接送り、在韓米軍基地や最前方地域を取材して現地から番組進行を行うのは異例。ホルト氏は昨年9月、米国大統領選挙で候補同士の初のテレビ討論を進めた人物だ。NBCの看板アンカーが韓国取材を行うのは、それだけ米国が現在の韓半島(朝鮮半島)情勢を重く見ているということを意味する。「北朝鮮核施設の先制攻撃」が検討された1994年にも、CNNテレビなど米国の主要メディアが看板クラスの記者を韓国へ急派した。 (中略)

 今月2日の最初の放送でホルト氏は、開城工業団地へと続く「自由路」終点の鉄条網の横でマイクを握った。ホルト氏は「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)が長距離ミサイル発射などを予告する中、韓国は朴槿恵(パク・クンへ)前大統領が不正の容疑で逮捕され、政治的不安が大きい。北朝鮮の核の脅威で、韓半島の緊張はかつてないほど高まっている」と伝えた。

 米国のレックス・ティラーソン国務長官が先月17日に韓国を訪問し「戦略的忍耐政策はもう終わった。北朝鮮が核兵器を放棄するよう、包括的な措置を取りたい」と語った場面も、詳細に伝えた。間もなく発表されるトランプ政権の北朝鮮政策は極めて強硬な路線であって、北朝鮮が6回目の核実験などの挑発を強行する場合、米国の北朝鮮制裁のレベルはこれまでとは異なるものになる、というメッセージを含んでいると解されている。 (中略)

 ホルト氏がインタビューした在韓米空軍の指揮官らは、水も漏らさぬ備えを強調した。第51戦闘航空団のアンドリュー・ハンセン大佐は「北朝鮮の化学攻撃に対する備えも常に行っている」と語った。第621航空管制飛行隊のマイク・スウォード中佐は「われわれの第一の任務は、北朝鮮の武力挑発を抑止することにあるが、必要ならばアクション(行動)を取る。北朝鮮の打撃に十分対応できる」と語った。

 NBCニュースは「北朝鮮の核問題は、韓半島だけでなく米国にとっても重要」と伝えた。コンピューターグラフィックを動員して、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発に成功したら、最悪の場合シアトルなど米国西海岸も北朝鮮のミサイルの射程に入ると警告した。ホルト氏と共に韓半島の状況を取材したエンゲル首席特派員は「北朝鮮問題はトランプ政権にとって最初のグローバル危機になるかもしれない」と語った。
(引用ここまで)

 1994年以来、はじめて三大ネットワークやCNNが看板アンカーを韓国に派遣してきた。
 1994年はカーター元大統領が北朝鮮に特使として飛んで、米朝枠組み合意に持ち込んだときのアレですね。あのときも第二次朝鮮戦争勃発かとされていました。
 実際にアメリカは北爆の用意をしていたともされています。カーターが特使として北朝鮮入りしたことで回避された……というか、回避されてしまったわけですが。

 いまにしてみれば1994年に強硬策に出ていれば、現在のような危機はなかったのかもしれませんね。
 と、あとになってからであればいくらでも言えるのですが。
 あのときは金日成が亡くなってすぐだったので、未来予見が極端に難しい局面だったということも影響しています。
 攻撃がなかったのはクリントンが大統領だったから、カーター元大統領が特使だったからというだけではないですね。
 複合的な原因で戦争を避けてしまった。

 翻って現在。
 少なくともアメリカのメディアはすでに強硬措置があるのではないかという臭いを嗅ぎつけて、アンカーを朝鮮半島へと派遣している。
 より近くで見てみなければ、というマスコミの本能でしょう。
 楽韓さんをはじめとした韓国ウォッチャーも異常事態の可能性を感じている(という人もいる)。
 当然、日本政府もよりナマの情報に接しているであろうと思われます。
 今回の長嶺駐韓大使帰任がそこに結びつくのかどうか。

 だからといって、確実に有事になるというわけではないのですが。先日も「20%よりも低い」と書きましたが、それよりも低いかもしれません。
 でも、1d10(10面サイコロを1回振る)で1が出るなんてことは充分にある話。
 1994年のように回避されるかもしれない。そもそも、そこまで緊張状態が高いものにならないかもしれない。
 なんともいえないところではあります。
 ただ、少なくともアメリカの報道を見ているかぎりでは、あっても不思議はない。
 事態はそこまで来ているのは確かなのですよ。
 ここに至っていまだに「陰謀論ガー」とか振り回しているのは、ちゃんちゃらおかしいですね。

戦争前夜 米朝交渉から見えた日本有事 (文春e-book)
牧野愛博
文藝春秋
2015/10/30