【社説】文在寅氏は復讐するために韓国大統領の座を狙うのか(朝鮮日報)
【社説】国を分裂させて執権すれば後遺症に耐えられるだろうか=韓国(中央日報)
 進歩(革新)系政党・共に民主党から大統領選挙に立候補している文在寅(ムン・ジェイン)候補は30日にソウル市内で遊説を行い「崔順実(チェ・スンシル)などが国家権力を利用して不正に蓄財した財産は全て国家が環収する。李明博(イ・ミョンバク)政権による4大河川をめぐる不正、防衛産業をめぐる不正、資源外交における不正も全て改めて調査し、不正に蓄財された財産があれば環収する」などとした上で「大統領になれば積弊清算特別調査委員会を立ち上げる」と述べた。同党が28日に公表した公約集の中でも文氏は「李明博・朴槿恵(パク・クンヘ)両政権の9年間における積弊清算」をいわゆる「12大公約」の最初に明記し、これと関連した調査委員会の立ち上げにも直接言及している。

 選挙戦序盤で文氏は当初「積弊大掃除」という言葉を使っていたが、その後は一時「統合」に言及するなど、その主張にはどこか一貫性がみられなかったが、最近は当選を確信したのか、自らの本音を少しずつ出し始めた。さらに自らの当選を阻止する行為を「腐敗した既得権の延長でありキャンドル民心への裏切り」などと一方的に批判している。(中略)

 盧元大統領への捜査とその自殺後、韓国社会では「大統領経験者に対してここまで追及すべきか」という自省、さらには「政治的報復はもう終わりにしよう」といった声が高まった。しかしそれでも朴槿恵政権では李明博政権に対する報復が再び始まり、今も次に政権の座につきそうな勢力が再び報復をちらつかせはじめた。そうなると当然その次は彼ら自身が間違いなく報復を受けるだろう。韓国政治におけるこの報復の連鎖はやはりいつまで経っても終わらないのだろうか。

 「積弊清算特別調査委員会」の立ち上げを公言している文氏の言葉を聞いていると、2017年から大韓民国は再び過去に戻ろうとしているようだ。盧武鉉政権の「過去史委員会」のような過去への追求がまたも繰り返されるとなれば、この国は本当に前に進むのか、あるいは後ろに後退してしまうのではないか懸念ばかりが深まってしまう。 (中略)

今後どこまで激しい嵐が吹き荒れるだろうか。ただその嵐は当然、後にその強さに応じた逆風を受けるだろう。選挙によって社会が統合から分裂、協治から対決へと向かい、その結果、国全体がこれまで以上に混乱する様子が今から目に見えるようだ。
(引用ここまで)
選挙の最終段階に主要候補陣営の極端的な言動が度を越している。最近、問題になったのは文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党候補側の李海チャン(イ・ヘチャン)議員の発言だ。彼は忠清南道公州(チュンチョンナムド・コンジュ)での演説で「極右保守勢力を完全に壊滅させなければならない。二度とこの国を壟断できないように徹底して壊滅させなければならない」と強調した。「壊滅」は軍事用語だ。敵を再起不可能に押し倒して滅ぼすことを意味する。 (中略)

普段丁寧な話し方の文候補も遊説場で「またも『理念』をめぐる論争・従北攻勢が騒々しいが、もう国民もだまされない。こいつらよ」と叫んだ。執権に自信があふれていつのまにか傍若無人になったのだろうか。 (中略)

実際に、文候補側は選挙の初期には大統合を叫んだが、最近公約パンフレットに「積弊清算特別調査委の設置」を1番公約としてこっそりと載せている。

このような形で選挙戦が流れれば、大統領になっていくら舵を切ろうとしても、怨恨や憎しみ、分裂にとらわれた国民をリードすることが難しいだろう。国を分裂させて執権すればその後遺症はそのまま新たな大統領が体験することになる。候補らは、あまり残っていない選挙過程を統合する方へ舵を切ってほしい。
(引用ここまで)

 この場合の「復讐」は弁護士事務所で共同代表であり、政治的にも盟友であったノ・ムヒョンの自殺に対してのものだけではなく、2012年の選挙戦で勝利したパク・クネに対してのことでもありますかね。
 ずーっと以前から「韓国の政権交代は易姓革命そのものであり、同じ政党からの候補であったとしても前政権は全否定される」という話をしてきました。
 たとえばパク・クネはイ・ミョンバク政権に対して選挙中からすでに「政党は同じで人物はまったく違うのです」というアピールをしてきました。
 イ・ミョンバク政権は「経済政権」とされていましたが、国民が望むような結果を出せなかったのですね。
 そこでパク・クネは「イ・ミョンバクではない我々であれば成果を出すことができる」というようにして政権についたわけです。
 薄氷の勝利ではありましたが。
 その後、イ・ミョンバク政権の資源外交4大河川事業を片っ端から精査していきましたね。魚ロボットの芸術的なまでのダメさはその中で暴かれたものでした。

 今回の選挙ではすでにパク・クネは存在そのものを全否定されています。
 というわけで易姓革命を成立させるには、さらなる贄が必要になるのです。
 それがムン・ジェインのいうところの「積弊精算特別調査委の設置」なのです。
 ノ・ムヒョンが保守派の巣窟であったチニルパ(日本統治時代に韓国で一定以上の地位にいた人物)認定を血眼になって行ったように。
 あるいはそれ以上の苛烈さで「チニルパ精算」を宣言し、行わなければ政権の正統性が疑われてしまうのですね。
 3月のエントリでは「新しい身分制度を作るくらいの勢いで〜」と書きましたが、それに近しいことをやる可能性が大です。
 ……なんだ、北朝鮮の制度に近づくだけですね。

ポル・ポト〈革命〉史 虐殺と破壊の四年間 (講談社選書メチエ)
山田寛
講談社
2004/7/10