自主国防路線の文在寅政権 原子力潜水艦建造の可能性は(聯合ニュース)
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、「自主国防」を旗印に軍の戦力強化を加速させる見通しだ。北朝鮮の核・ミサイル脅威に対しては、米国中心の巨大なミサイル防衛(MD)に組み込まれるよりも、独自の韓国型ミサイル防衛(KAMD)を構築することに力を入れるとみられる。

 文在寅大統領は選挙戦で、自主国防の一環として韓国軍が原子力潜水艦を保有する必要性に言及し、これに向け韓米原子力協定の改定に取り組む考えを示していた。原子力潜水艦を運用するには燃料として濃縮度20%以上の高濃縮ウランが必要だが、現行の同協定ではその生産が認められていない。 (中略)

 文大統領の原子力潜水艦保有論は単なる選挙用の発言ではなく、盟友だった故盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の自主国防路線を受け継いだものとの解釈もある。盧政権は韓国軍の戦力増強に積極的に予算を投じ、同政権下での国防予算増加率は年平均8%を上回っていた。原子力潜水艦の建造も検討していたが、初期段階で計画が外部に伝わり論争が起き、白紙化した。続く李明博(イ・ミョンバク)政権と朴槿恵(パク・クネ)政権下での国防予算増加率は4〜5%水準だった。

 文在寅政権も盧政権と同様に軍の戦力強化に力を入れる見通しで、韓国製新兵器の開発事業に拍車がかかるとの見方も出ている。文大統領は選挙戦で「任期中に国防予算を対GDP(国内総生産)比で2.4%から2.7〜2.8%に引き上げ、将来的には3%水準を目標とする」と表明していた。

 文在寅政権は、北朝鮮が発射した弾道ミサイルを空中で迎撃するKAMDの構築も加速させる見通しだ。KAMDは地対空誘導弾パトリオット、中距離地対空誘導弾(M−SAM)、長距離地対空誘導弾(L−SAM)、早期警戒レーダー、イージス艦などで構成され、2020年代初めに完成予定となっている。

 文大統領は選挙中、KAMDに加え、北朝鮮が弾道ミサイルを発射する兆候を探知して先制攻撃を加える「キルチェーン」を早期に戦力化すると繰り返し強調していた。文政権が海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の導入を積極的に検討するとの見方もある。

 ただ、米国は自国が主導する広範囲なミサイル防衛に韓国が加わることを望んでおり、独自のKAMDとどう調和をなすかが関心を集めている。米国は北朝鮮だけでなく中国の脅威も念頭に、北東アジアで韓米日3カ国の巨大なミサイル防衛を構築する考えで、韓国政府がKAMD構築という方針を維持できるかどうか疑問もある。
(引用ここまで)

 韓国では左派政権になると軍事費が増大傾向になります。
 これは左派政権は自主国防を標榜するからなのですね。記事中にもあるようにノ・ムヒョン政権下では軍事費の伸びはこの10年よりも高かったのです。
 保守政権はより現実的であるという言いかたもできるかもしれませんが。
 ノ・ムヒョンのアメリカに対する戦時統制権返還要求なんかもこの文脈から行われたものです。
 戦時統制権返還に関しては国内向けの公約であって、実現するとは本人も思っていなかった節があるのですけども。

 この自主国防路線は常日頃からハンギョレあたりも語っていることで、韓国左派にとっては念願のひとつなのです。
 日本のヒダリな人々みたいに「軍隊がなくなったら世界が平和になるのに」みたいな能天気なおとぎ話を語るよりはよっぽど現実的だって言えますか。
 韓国の左派の場合はどちらかというと、「自主国防」というよりは「アメリカとの軍事同盟の離脱」が究極的な目標になっているのですけどね。
 お笑い韓国軍の象徴的な存在であるKF-X計画なんかも大元を辿ってみると、最初の左派政権である金大中政権時に遡ることができます。
 2000年代初頭からF-4/F-5の代替には国産戦闘機で……という構想があったというわけです。

 さて、現在大宇造船海洋で製造されている3000トン級潜水艦であるチャン・ボゴIII(KSS-III)は以前から「エンジンを原子力推進にできるのではないか」という話が出ていまして。
 大型潜水艦も韓国の念願のひとつともいえるもの。
 記事中では北朝鮮云々が言われていますが、実際にはノ・ムヒョン政権下で計画されたこともあって、彼にとって「仮想敵国」である日本に対抗するのが目的であったのではないかと感じます。
 最初のKSS-IIIは2020年に戦力化予定となっています。
 ノ・ムヒョンの後継者たるムン・ジェインがKSS-III旗艦の就航に立ち会うというのもなかなか面白いところ。

 「自主国防路線」は大したものなのですが、韓国には実にありがちなことで夢を広げすぎなのですよね。
 なにしろ陸海空でそれぞれ「独自技術による3000トン潜水艦」に「独自技術による4.5世代戦闘機」に「独自技術によるレールガン搭載戦車」ですからね……。
 まあ、そういう路線であるからこそ「お笑い韓国軍」としての活躍ができるわけですが。
 個人的には自主国防路線をひた走ってもらいたいと考えています。ネタになるので。

知られざる潜水艦の秘密 海中に潜んで敵を待ち受ける海の一匹狼 (サイエンス・アイ新書)
柿谷 哲也
SBクリエイティブ
2016/10/14