【社説】意思疎通を図ると言いつつ、反対意見を怒号で退ける文政権(朝鮮日報)
 文在寅(ムン・ジェイン)政権で事実上の大統領職引き継ぎ委員会の役割を果たす「国政企画諮問委員会」が6日、未来創造科学部(省に相当)の業務報告受け入れを拒否した。 「(通信費引き下げについて)同部が誠意ある態度を見せていない」として報告を受け入れないことを表明したのだ。「基本料1万1000ウォン(約1000円)廃止」など個人通信費の引き下げは大統領選挙での公約だった。このため、「何としてでも基本料廃止案を用意して持って来い」と同部に圧力を加えているのだ。このけんまくに押された同部は、今週末までに通信料引き下げ案を報告することに決めた。

 政府部処(省庁)の公務員で、消費者が望む値下げを嫌がる人はいないだろう。しかし、通信業界では「基本料が一括廃止されれば、通信3社の年間収益が7兆−8兆ウォン(約6830億−7800億円)減る」と主張している。基本料廃止が低料金でサービスを提供する格安携帯業界に打撃を与えるという見方もある。すべての政策はもろ刃の剣だ。それを片一方だけ見て、ものすごいけんまくで押し通せば、結局はどこかにしわ寄せが来る。

 国政企画諮問委員会の金振杓(キム・ジンピョ)委員長は先月22日、発足後初の会議で、「腕章を付けた占領軍のように見えてはならない」と言った。しかし、その言葉と実際の行動はあまりにもかけ離れている。同委員会では、まず「前政権の推進政策評価と新政権基調による改善案」を提出することにした。部処側では、「前政権の政策に対する『反省文』を出せ、ということだ」と言った。
(引用ここまで)

 ムン・ジェインの公約のひとつとして、携帯電話の基本使用料撤廃というものがあったのですね。
 原則としてムン・ジェインの公約は「弱者を守る」という方向性で、この基本使用料撤廃も「低所得者層にとって負担になる」という理由で掲げられたものなのです。

 ですが、まず基本使用料を選択しているユーザーは全体の3.5%にしかならず、ほとんどが定額料金制度を使用しているのです。
 じゃあ、定額使用料のうちの基本使用料相当分を計算して、それを割り引けという話になっているのですが、どこまでを基本料金相当とするのか根拠が不明。
 ついでに大統領府からは「LTEはもう開発投資が終了したから基本料なんて取らなくてもいいだろ」とか言ってるレベル。メンテナンスはしなくてもいいんかい。
 かつ、韓国政府の担当省庁である未来創造科学部には値下げを命令する権限がない。
 おまけに、基本料撤廃をやってしまうとようやく立ち上がってきた韓国版「格安SIM」業者が確実に死ぬ。

 つまり、「おまえらは悪事で金を儲けている」「その悪事を自分で規定して自分でキレイにしろ」「ただし、法的権限はないからお願いするだけだ」と、言っているわけで。またぞろ自己批判しろ、ですよ。
 その矛盾のすべてを「大統領様のありがたい公約であるぞ」という上意下達で片付けようとしている風景がなかなかのサヨク風味で面白いところ。

 そしてこれに関してのNAVERでのユーザーコメントは「未来創造科学部撤廃しちゃえ!」みたいなものが大半。まあ、月々で1000円も違うとなればけっこうな額ですからね。そこは理解できなくもないですが。
 ……しかし、ムン・ジェインは本当に大企業が嫌いなんだなぁ。

携帯電話事業者の砦 SIMの秘密10(日経BP Next ICT選書) 日経コミュニケーション専門記者Report
堀越功
日経BP社
2015/4/1