料金引き下げだけにあわせた政府の刃、市場の秩序の侵害か正すか(ソウル新聞・朝鮮語)
移動通信業界「台風の目」普遍料金プラン、基本料廃止効果出そう(韓国日報・朝鮮語)
国政企画諮問委員会が通信費と実損保険料、カード手数料率引き下げを相次いで断行しようとしている。資本主義の中、政府の役割論が衝突している。業界は「政府の市場介入が行き過ぎ」と訴訟を準備したり、他の顧客の利益を減らすと対立している。通信と金融市場は寡占構造と情報非対称性に起因して市場価格が歪曲されただけに、政府の介入が避けられないという主張も少なくない。 (中略)

実際に国政企画委が出した値下げの必要性と効果は疑問を残す。去る22日に発表した通信費対策を通じて年間最大4兆6000億ウォンの削減効果があると明らかにしたが、こうなるとキャリアは、大規模な赤字が避けられない。昨年における通信3社の営業利益は3兆7000億ウォンである。赤字を降りて運営する企業はあり得ないのだから、設備投資や端末支援金などのマーケティングコストを削減するしかない。

去る21日に発表した実損保険料の引き下げ対策も重要な保険会社の損害率が120%を超える状況では、副作用だけが生まれるとの懸念が出ている。損害率が100%を超えるのは、保険会社が受け取った保険料よりも支給した保険金が多いことを意味している。保険料の引き下げが実現されると、一部の保険会社は実損保険から撤退する可能性がある。実際AIG損害保険は実損保険損害率が220%に迫ると、4月に販売を停止した。 (中略)

先週零細・中小加盟店手数料率引き下げが決定されたカード業界は、すでにポイントの獲得やキャッシュバックなど、顧客の利益を減らすに乗り出した。 (中略)

キム・ジョンシク延世大経済学部教授は「価格は供給と需要はもちろん、コストの一部である賃金など、さまざまな要因によって決定される」とし「過度に価格を制約すると、品質が低下したり、賃金が低くなるなどの副作用があらわれることがある」とと述べた。
(引用ここまで)
国政企画諮問委員会が通信費を削減対策を打ち出し、導入すると発表した「普遍プラン」が移動通信市場台風の目に浮上した。ユニバーサル料金制は既存月3万ウォン台に相当する「通話200分及びデータ1ギガバイト(GB)」を2万ウォンで提供する料金プランだ。政府は、これによって庶民層の負担をすぐに下げることができ、中長期的には料金体系全体を改めることで使用者全員に通信費引き下げの恩恵を受けられるようになるという構想だ。しかし、移動通信社は基本料廃止ほど損失が大きいと難色を示している。 (中略)

ユニバーサル料金プランの利用者だけが恩恵を得るわけではない。政府は普遍的料金制発売でデータプラン下限が3万ウォン台から2万ウォンに下がると、それ以上の料金制度データ提供量が連鎖的に増えるしかないだろうと期待する。現在のデータ2GBを与える4万ウォン台料金制は3〜4GBの容量となりで、3〜6GBを与える5万ウォン台は4〜8GBの容量が提供されていくだろうという予想だ。その結果、3万ウォン台以上の料金プラン加入者も月1万1,000ウォン以上の料金削減となるという予想だ。年間1兆2000億ウォンが追加削減されると見ている。(中略)

移動通信会社がデータ提供量を増やす代わりに、補助金や会員などの他の利点を減らし、全体的に消費者利便性が後退することもできる。

移動通信3社はユニバーサルプラン導入に強く反対しており、導入自体が失敗に終わる可能性もなくはない。ユニバーサル料金制の導入に伴う予想削減は年間最大2兆2,000億ウォンで、選択約定割引上方(20%→25%)による1兆ウォンの2倍を超える。それだけ移動通信3社の売上高に打撃が大きい。ある移動通信会社の関係者は「政府が移動通信3社の料金談合を助長し、競争を防ぐ脱市場主義的な動き」と述べた。移動通信社は、国会の議論の過程で、政府と国会に業界の懸念を伝達する方案と憲法訴訟や行政訴訟など法的対応をする案などを検討中である。
(引用ここまで)
 以前の「携帯電話の基本料廃止」は法令的にどうにもならなかったので取りやめになったそうです。
 その代わりに「選択約定割引」を20%から25%に上方修正することで決着を見た……はずだったのですが、「超でっかい政府」を標榜するムン・ジェイン政権はまだまだ満足していなかったようです。

 ちなみに選択約定割引という制度は端末購入時に助成金が受けられない代替手段として、料金の割引を受けられるという制度。これを上方修正するということで基本料金廃止を免れた、というはずだったのです。
 ただし、この制度変更によって削減されるのは通信企業全体で1兆ウォンほど。
 ムン・ジェインの「聖公約」であったはずの基本料廃止を実現した場合には7兆ウォン以上の料金削減ができたはずなので、ムン・ジェイン政権は満足しなかった。
 むしろ、恨がたまったという感じですかね。

 今度はMVNOとかじゃなくて、いわゆる「大手移動体通信会社」の店頭サポートやらなんやらのサービスは維持したままで通話200分とデータ1GB保証のプランを2万ウォン、今日のレートで1960円で提供しなさいとのお達し。
 これによって今度は2兆2000億ウォンの料金削減ができるはず。選択約定割引の引き上げとあわせて3兆2000億ウォンの料金削減となるとのこと。
 ちなみに去年の韓国における大手通信3社の営業利益はKTが1兆4400億ウォン、SKテレコムが1兆5350億ウォン、LGユープラスが7460億ウォン。計3兆7210億ウォン。
 ここから3兆2000億ウォンの料金削減されたら、営業利益の86%が持っていかれる計算です。
 どれだけ通信各社に恨みがあるのやら……。

 その他、ムン・ジェイン政権は損害保険料引き下げやクレジットカード引き下げを画策している模様。
 「庶民の苦しい暮らしを救う」だの「上下格差を解消する」っていうのがムン・ジェイン政権が唱え続けているお題目なのですが、どちらかというと気に入らない企業を締め上げて溜飲を下げているようにしか見えませんね。

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日経コミュニケーション / テレコムインサイド
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2015/12/23