韓米首脳会談:夕食会直前、米財務省が中国企業に制裁発表(朝鮮日報)
韓米首脳会談:文大統領の目の前で中国を叩いて踏み絵を迫ったトランプ大統領(朝鮮日報)
 米財務省が6月29日(現地時間)、韓米首脳の初顔合わせとなる公式夕食会の4時間前に、北朝鮮を支援した丹東銀行など2つの中国企業および2人の中国人に対する独自制裁を電撃発表した。 (中略)

 米財務省は29日、「中国・丹東銀行は、北朝鮮の核・ミサイル開発関連企業による数百万ドル規模の金融取引を支援した」として、マネーロンダリングのおそれがある機関に指定。米国と同行の間の取引を全面禁止した。国際金融秩序が米国中心で組み上げられていることを考慮すると、丹東銀行は外貨取引が妨げられ、事実上国際金融市場から締め出されたといえる。
(引用ここまで)
 今回の制裁は、妙なタイミングで行われた。米財務省は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と米国のドナルド・トランプ大統領の初顔合わせとなる公式夕食会の4時間前にこの制裁を電撃発表した。発表の場所も、夕食会が開かれるホワイトハウスだった。文大統領をワシントンに呼んでおいて、中国を圧迫する制裁を発表し、まるでトランプ大統領が文大統領に対し、北朝鮮問題関連で米国と中国のどちらを選ぶべきかはっきり見せてやろうとするかのような場面を演出したのだ。

 この措置をめぐって、外交消息筋は「今回の制裁は米国と事前協議がなされたもの。発表の時期についても、米国が前もって韓国側に了解を求めた」と語った。しかしこの言葉の通りだとしても、米国が発表の時期を決めて通知してきたのは間違いない。また、別の外交消息筋は「トランプ大統領は、来月初めに開かれるG20(主要20カ国・地域)サミットで中国の習近平国家主席と会う前に、北朝鮮制裁を発表することを望んだ」と語った。習主席と会う前に、北朝鮮問題に関して中国を圧迫するカードを切り、交渉の「てこ」として使おうと考えたという。
(引用ここまで)
 米中首脳会談のときに「さて、今日のシリアにはトマホークの雨が降っております」なんてことをやってのけたトランプ政権なので、なんらかの仕掛けはやってくるのだろうなとは思っていたのですが。
 北朝鮮と取引が多いとされている中国の銀行をマネーロンダリングの嫌疑でアメリカ企業との取引を禁止。
 夕食会直前でのタイミングで、しかも韓国側に発表のタイミングについて了解をもらっていたというおまけつき。

 韓国に対しては「おまえらが対話するっていうなら、それはそれでいい。だけども、うちらのやりかたはこうだ」と見せつける。ムン・ジェインの眼前で。
 中国に対しては「北朝鮮に圧力をかけるって言ったよな、まだまだ足りてない」と宣言。
 もちろん、北朝鮮に対しては大きな圧力になることは間違いない。

 ひとつのアクションで大きく3つの成果を得ることに成功したわけですね。
 最大の効果を得られるタイミングはどこかをじっくりと見定めて発表するところなんか、本当にビジネスマンライクです。

 今回の米韓首脳会談では決定的な亀裂を見ることはありませんでしたが、その実情はすべての問題を先送りにしているに過ぎないと見ました。
 米韓FTAについては「まず検証してみよう」という先送り。トランプからは「再交渉する」って断言されちゃいましたけどね。
 THAAD配備問題についても同様。
 北朝鮮核問題についても、なんら明確な宣言はありませんでした。
 全体的に捉えどころのない、「米韓関係は良好で〜す」というていどの話しか出ていないのですよね。
 詳細部分「に突っこまれないように共同記者会見での質疑応答なしという方針だったのでしょうが。

 その後、韓国では「ムン・ジェイン政権の対北朝鮮対話方針が認められた」みたいな記事がいくつか出ているのですが、そうであればそもそも丹東銀行への取引禁止処分の発表なんて必要ないわけで。
 杉山外務事務次官がサリバン国務副長官との会談で「対話ではなく、必要なのは圧力」なんて述べる必要もないのです。
 なにも決めることができなかった米韓首脳会談となったわけですが、とりあえず戦時統制権返還については弾みがついた模様です。もう一本、これについてのエントリを書く予定。

100日の猶予まであと2週間弱か……。
週刊ニューズウィーク日本版 「特集:トランプ vs 北朝鮮」〈2017年4月25日号〉 [雑誌]
ニューズウィーク日本版編集部
CCCメディアハウス
2017/4/18