南北会談提案、韓国「米に説明」米国「確認できない」(朝鮮日報)
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21日の南北軍事会談が事実上不可能に 北朝鮮の反応なし(聯合ニュース)
 文在寅(ムン・ジェイン)政権が「南北会談提案に先立ち、米国側に事前説明して理解を求めた」と明らかにしたことに関連して、米国務省は18日(現地時間)、「確認(confirm)できない」と明言を避けた。

 米国務省のヘザー・ナウアート報道官は同日の定例記者会見で、「韓国政府が米政府と南北会談について事前協議したことを確認してほしい」という記者の要求に対し、「私はその点に関しては、いかなる外交的対話内容も確認できない」と答えた。

 同報道官はさらに、「我々は少し前、文大統領の素晴らしい訪問を受けた。韓国は米国の素晴らしいパートナーだ。(南北対話)提案問題については韓国政府に聞いてほしい」「我々は韓半島(朝鮮半島)非核化という同じ目標を共有している」「我々は完全で、検証可能で、不可逆的な韓半島非核化が実現されればと望んでいる」と述べた。

 米国側のこうした反応に関しては、「トランプ政権は文在寅政権の南北対話提案を対北朝鮮制裁共助からの離脱と見なし、不快感を示したのではないか」との懸念が出ている。

 これについて、韓国外交部(省に相当)当局者は「米国務省報道官の『確認できない』という発言は、事前協議がなかったのではなく、事前協議の事実を公表しないという意味だ」と述べた。
(引用ここまで)
韓国政府は17日、北朝鮮に対し南北軍事境界線付近での敵対行為の停止に向けた軍事当局者会談を21日に実施することを提案したが、20日現在、北朝鮮は何の反応も示しておらず、21日の会談開催は事実上不可能となった。
(引用ここまで)

 ふむ、これは興味深い。
 ムン・ジェインは両親が北朝鮮出身であり、朝鮮戦争時に逃げてきたという個人のプロフィール、かつノ・ムヒョンの後継者であるということもあり、北朝鮮に対して宥和政策を掲げて当選しました。
 ただ、当選時期が5月。
 トランプ大統領が北朝鮮に対して「独自の制裁措置もあり得る」と語ったのが4月。どうあがいても独自の対北外交戦略は執りづらい状況であったのです。
 実際にアメリカは「対話よりも圧力」が基本方針。これは日米に共通した見解です。

 にも関わらず、ムン・ジェインは「朝鮮半島情勢の主導権を韓国が握ることで米韓は合意した」と大見得を切っていたのですよ。
 「大見得を切る」といえば格好もつきますが、ただ単に韓国国内向けに嘘をついているだけなのですけどね。
 それでも、こうして対話のきっかけを掴むことさえできれば、大元が嘘だろうとなんだろうと主導権を握ることはできる、という考えがあったのでしょう。

 アメリカから不興を買うというリスクを賭けて、対話の可能性に賭けたのです。
 そして、敗れ去ったということなのですよ。

 ただ、興味深いのはタイミングです。
 ムン・ジェインは就任してまだ2ヶ月ちょっとです。残り任期は4年10ヶ月。
 こんな米韓関係をオールインするほどのリスクを賭ける必要があるとは思えない。北朝鮮問題は課題としては任期の5年をフルに使ってもいいものであって、なにもこんな任期初期からフルアクセルで進めるような問題ではないはずなのです。
 内政でもやることはいくらでもありますしね。

 という視点からすれば、もしかしたらタイミングが今しかなかった……ということなのかもしれません。
 ムン・ジェインとしてはかなりのリスクを賭けて、行われたものと思わざるを得ません。
 この「南北対話の呼びかけ」があったのは17日でした。

韓国、北朝鮮に異例の軍当局者会談を提案(BBCニュース)

 米中首脳会談であったとされる「対北朝鮮圧力に関して中国がアメリカに求めた100日の猶予」が終わるのが7月16日。
 その翌日にこの「南北軍事会談の呼びかけ」は行われたのでした。
 であるとするならば、ものすごくいろいろなことが符合するのですが。
 まあ、すべてを偶然であるとしてしまうこともできますし、ムン・ジェインには他の意図もあったのかもしれません。
 なんともいえませんが、タイミング的にはこういう視点を持つこともできますよね、というお話。