トランプ大統領、北朝鮮ICBM開発関連で初めて「戦争」に言及(中央日報)
ティラーソン米国務長官、「ある時点で」北朝鮮との対話望むと表明(ロイター)
トランプ米大統領が韓半島(朝鮮半島)における北朝鮮との「戦争」も一つのオプション(選択肢)になるという発言をしたという主張があった。米共和党の重鎮のリンゼー・グラム上院議員は1日(現地時間)、NBCテレビ番組に出演し、「北朝鮮の(ミサイル)プログラムと北朝鮮自体を破壊するための軍事的オプションが存在する」とし「もし彼ら(金正恩委員長ら)を防ぐ戦争があるなら、それ(戦争)は向こう(韓半島)であるだろう」と強調した。

続いてグラム議員は「数千人が死亡するなら、それは向こう(韓半島)で死亡するはずであり(米本土で)死亡はないはずだと(トランプ大統領が)自ら私に伝えた」と話した。また「北朝鮮が(挑発を)続ければ(軍事オプションは)避けられない」と強調した。 (中略)

トランプ大統領は先月31日、ホワイトハウスに閣僚を呼び集めた後、「北朝鮮問題は解決されるだろう(will be handled)」と述べた。トランプ大統領はその後、記者らとの対話では「我々は北朝鮮をうまく扱う能力があり、すべてをうまく扱うだろう」とも話した。

トランプ大統領はこの日、それ以上の具体的な発言をしなかった。しかし現地では、対北朝鮮強硬措置が迫っていることを知らせる予告編と解釈されている。
(引用ここまで)
ティラーソン米国務長官は1日、米国は北朝鮮の政権交代を目指しておらず、ある時点で同国と対話することを望んでいるとの立場を表明した。ただ、北朝鮮が核保有国にはならないと理解することが前提になるとした。

長官は記者団に対し、米政府は平和的な圧力を通じて北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させることを目指しているとあらためて表明した。

「米国は(北朝鮮の)政権交代を目指さず、政権崩壊も求めない。朝鮮半島再統一の加速は求めず、北緯38度線の北に米軍を派遣する口実も求めていない」と述べた。

また「米国は北朝鮮の敵ではない。しかし、北朝鮮は米国を容認できない脅威にさらしており、米国は対応せざるを得ない。米国が対話を望んでいるということを北朝鮮がいつか理解することを望む」と付け加えた。

ただ「北朝鮮が核兵器を保有したり、そうした核兵器で周辺国、ましてや米国を攻撃する能力を持つような将来は存在しないということが、対話の条件になる」と強調した。
(引用ここまで)

 トランプが、というかリンゼー・グラム上院議員が「トランプ大統領はこう言っていた」という話ではありますが。
 「戦争」という言葉がついに出てきました。

 アメリカはかつてはあくまでも「すべてのオプションはテーブルの上にある」という言葉にこだわっていました。
 テレビのインタビューや会見等で「軍事的なオプション行使はありえるのか」と問われても、大統領から国務長官、国防長官以下の官僚まで揃って「すべてのオプションがテーブルにある」という言葉が出ていましたね。
 そのように答えるということで意思統一が図られていたのでしょう。
 軍事オプションは否定しないが、肯定しない。
 つまり、北朝鮮を追い詰めすぎないという前提の元で語られていたのは間違いありません。

 明らかに風向きが変わってきたのが、先月の1発目のICBM発射試験のあとからですかね。
 アメリカ政府関係者から「軍事的な行動」についての言及は出るようになりました。
 7月5日には国連大使のニッキー・ヘンリー氏からは北朝鮮に対する対応について「軍事力」があり得るというコメントが出ました

 そして、2発目のICBM発射試験のあとについに「戦争」という言葉がついに出てきたわけです。
 戦争になるのであれば、こんなまどろっこしいことをするわけがない。黙って空爆がはじまるはずだなんて意見もあるのですが、それは思い違いというものです。

 湾岸戦争当時、なんだかんだで8月のイラクによるクウェート侵攻から翌年1月の開戦まで半年近く交渉があったり、開戦寸前に当時の社会党党首の土井たか子がイラクに向かったりなんてことがありました。
 ついでにいうと開戦前日まで日本のマスコミ(と政府)は「開戦はあり得ない」という論調だったのですが、CNNをはじめとしたアメリカマスコミは年明けの時点で「もはや開戦は間違いない。問題はそれがいつかだ」という話をしていたのですよね。
 あれで子供心に「ああ、日本語ソースのニュースだけでは危険だ。英語をあるていど以上できるようにならなくては」という危機感を胸に抱いたものでした。

 閑話休題。
 4月以降、いくつかの分岐点を通過してアメリカが取り得るオプションは大きくふたつになったように思えます。
 すなわち……

A)北朝鮮の状況を現認して対話を行い、核保有国として二国間交渉を行う。
B)空爆以上の「戦争」を行い、北朝鮮の現政府を打倒する。

 中間点はありません。
 4〜7月のどこかであれば中国とともに圧力を加えて、自主的に核廃棄を行わせるというオプションもあったのでしょうが、これは中国とのすりあわせがうまく行えればという前提付きでした。
 中国は(そしてロシアも)なんらかの理由によって、そうはしたくない。
 あるいはそうできない。
 あるいは、そうできないことを隠したいがためにやろうとしていない。
 「やろうと思って本気出せばできるけど、本気出してないだけだから」ってヤツ。
 これからの未来でこのオプションが復活する可能性がなくはないですけどね。

 であっても、現状で取り得るオプションは上記A、Bのどちらか。
 アメリカがAのオプションを取るとは考えにくい。
 では、どうなるのか……ということですかね。
 Bをとるにしても地上軍を投入するのか、特殊作戦チームの投入で終わらせるのかとかいろいろ分岐はありますが、大きくは「戦争」という枠組みで語れます。

 そしてもっとも大事なのはイラク戦争でなくしてしまった「大義名分」を北朝鮮に対してはアメリカはすでに確保しているということです。
 北朝鮮のミサイル実験は国連安保理決議違反であり、さらに自国民のワームビア氏を北朝鮮当局に殺され、かつ自国民を不当に拘束されているという事実がある。
 イラク戦争とは異なっているのですよ。
 ICBMの発射実験でアメリカ国民も北朝鮮を現実的な脅威として認識しています。必要条件は揃っているように見えるのですけどね。
 久しぶりに長文エントリでしたわ。
 ついでに言うとティラーソン国務長官の言葉は対話ができるというように見せかけていますが、これは半ば以上最後通牒です。