【現場から】「強制徴用少女」の失われた73年…時間がない(中央日報)
原告一部勝訴判決を引き出した訴訟代理人も安堵のため息を吐いたが、表情はそれほど明るくなかった。キムさんが生前に三菱重工業と日本政府から賠償と謝罪を受けることができるかどうか保障できないからだ。

大韓民国で行われている日帝強制占領期に強制徴用被害者の日本企業を対象にした損害賠償訴訟は計14件。この中で3件は最高裁判所上告審、または再上告審が進行中だ。残りの11件は1審や2審段階だ。このような訴訟は2000年5月に始まったが、完全に結論が出た事例はない。

最高裁判所は強制徴用被害者が訴訟を起こして相次ぎ敗訴すると、2012年5月の破棄差し戻しで事件を差し戻した。被害者が賠償を受けることが求められるという趣旨だ。これと同時に行われた破棄控訴審では被害者が相次ぎ勝訴判決を受けた。

だが、そこまでだった。最高裁判所は再上告審に対する結論を下していない。初訴訟に対する再上告が行われた2013年7月以降、4年が過ぎても再上告審が終わっていない。司法府の事実上職務放棄のために当初訴訟を提起した原告の中で4人が確定判決を受けないまま息をひきとった。
(引用ここまで)

 この地裁判決も含めてなのですが、徴用工に関する賠償金要求裁判はここのところ原告の勝利が続いています。
 もう地裁、高裁レベルでは何連勝してるんだか分からないレベルで勝ち続けています。
 そりゃまあそうで。
 昨日も書いたように韓国の大法院(日本の最高裁に相当)は「日韓基本条約があっても個人請求権は消滅しない」と宣言した上で、1次訴訟を高裁に差し戻したのです。
 もともとの高裁判決は「日韓基本条約ですべて解決済みである」として原告敗訴だったのですけどね。

 で、「おまえの出した判決間違ってるからな」って言われた高裁は、当然のように原告勝利の判決を出しました。出さざるを得ない。
 法秩序を守るために下級審としてはそうするしかないのですよ。
 最高裁(ここでは韓国大法院)の出した判決、判断を下級審が覆すというのは、けっこうとんでもないことなのです。
 時代が変わって判断基準が以前とは異なっている状況でないとできないことなのですね。
 件の大法院による判断が出てからまだ5年ちょっと。さすがに覆すわけにはいかないでしょう。

 で、その1次訴訟の差し戻し命令が出てから5年2ヶ月。
 高裁で原告勝訴の判決が出て、再上告がなされてからちょうど4年。
 大法院はなにもしてこなかったのですね。
 どう見ても「あの差し戻し判決はやりすぎた。だけどももう戻れない」って逡巡している状況。
 原告が全員死ぬのを待ってるんじゃないのって言われているほどです。
 実際に待っているのかもしれません。で、「原告死亡で判決なし」にすれば角が立たない。

 いまさら原告敗訴にはできませんしね。
 そんなことをしたら比喩としてではなく、具体的に吊されます。「現代の安重根」が出てきても不思議じゃないくらい。
 でも原告勝訴にして日本政府からハーグのICJに持ちこまれたら敗訴確実。
 それはそれで「韓国の法的最高権威」である大法院としてはメンツが立たない。
 おまけに日韓関係は大破綻を迎えます。
 けっきょく、2012年の差し戻し判決が最悪の判断だったということなのですよね。
 とんでもない時限爆弾を背負わされている状況なのです。
 さーて、どうするつもりなのやら。

死ねばいいのに (講談社文庫)
京極夏彦
講談社
2012/11/15