【社説】「黙示的な請託」 疑わしきは罰する司法判断は正義なのか(朝鮮日報)
裁判長は「面会の際、李被告が朴前大統領に明らかに請託を行った事実は認められない」との見方を示したものの、李被告には経営権継承という大きな課題があったことに加え、乗馬への支援がすなわち崔順実被告への支援になること、そしてそれは大統領への金品の提供にあたることを(李被告は)認識していたと裁判長は判断した。つまり朴前大統領と李被告の間で「以心伝心、すなわち黙示的な形の不正な請託」が行われたというのだ。李被告と朴前大統領の間で経営権継承に関するやりとりがなかったのは事実だが、李被告はこれについて朴前大統領が力を貸してくれることを期待して乗馬への支援に応じ、また朴前大統領も様々な形で経営権の継承を後押ししたというのだ。

 朴前大統領と李被告の心の中で互いに請託が行われたかどうかなど確認のしようがない。二人が本当に以心伝心の形でやりとりを行ったのか、あるいは朴前大統領の求めに李被告がやむなく応じたのかなど誰にもわからない。事実なら有罪で、そうでなければ無罪になるのだろうが、それは証拠に基づくものではなく、単に裁判長の個人的な判断にかかってくるのだ。 (中略)

 この事件は司法が法廷の外から加えられる有形無形の圧力に屈せず、法律と証拠のみに基づいた判断ができるかという点でも関心が集まった。大統領府は裁判中「大統領府のキャビネットからみつかった」として過去の様々な文書をわざわざ公表し、特別検事を通じて裁判所に提出した。現職の閣僚も法廷で被告に不利な証言を行った。(中略)

 「世紀の裁判」とまで言われた事件だ。国民の誰もが納得できる明確な判決を期待したが、結局はどこか後味の悪さが残ってしまった。政治による圧力や険しい世論の中で行われた裁判の判決理由は「以心伝心の黙示的請託」だった。上級審でこの後味の悪さが払拭されるか改めて注目したい。
(引用ここまで・太字引用者)

 昨日、書き切れなかったイ・ジェヨンの贈賄での有罪についてちょうど書いている朝鮮日報の社説があったのでピックアップ。
 まあ、ここから下の文章はそれを一切見ないで書いているのですけども。

 今回の「贈賄」認定のなにが無理筋かというと、パク・クネもチェ・スンシルも賄賂を受け取っていないというところなのです。イ・ジェヨンはもちろん、サムスン電子も直接の贈賄をしていない。
 イ・ジェヨンがやったことは「スポーツ振興のための寄付を頼む」と言われて、それまでもやってきた寄付をしたことだけなのですよ。
 サムスン電子は延々と乗馬協会をサポートしてきたし、平昌冬季オリンピックに向けて冬季種目の強化のためにといわれて英才センター設立もサポートした。
 チェ・スンシルの設立したKスポーツ財団、ミル財団にも寄付をした。
 それが「乗馬協会はチェ・スンシルに牛耳られてきた。英才センターはチェ・スンシルの姪が牛耳っている」といわれて贈賄認定。

 これまで韓国ではスポーツだの文化振興だのに財閥からの寄付がばんばん使われていたのですよ。もちろん、パク・クネ政権でも同様。
 たとえばパク・クネは青少年雇用ファンドなんてものを提唱して、サムスン電子の会長であるイ・ゴンヒは意識はないけど20億ウォンを寄付しています。その他の財閥からも寄付があったそうです。
 こういった政府からの寄付要請はすべて贈賄であると認定される可能性が出てきたのですね。

 他の財閥のトップも戦々恐々としているようです。

[イ・ジェヨン宣告]凍りついた財界「大統領が呼んでただけなのに...」(ニュース1・朝鮮語)

 チェ・スンシルが実質的に設立したKスポーツ財団、ミール財団にはサムスン以外にもSK、ヒュンダイ自動車、LG、ハンファ、ロッテといった財閥がほぼすべて寄付をしているのです。

 イ・ジェヨンの弁護士もそのあたりを突いていまして。
 「他の財閥も同じように寄付を依頼され、同じように寄付をしている。これらが贈賄にならないのに、なぜサムスン電子だけ、なぜイ・ジェヨンだけは罪になるのだ」と。

 まあ、ぶっちゃけていえばパク・クネを確実に有罪にするためには、贈賄・収賄の両方で有罪になる必要があるからですよね。
 寄付したほうが贈賄と認定され、有罪になった。
 だから、寄付を依頼したほうも収賄であり、有罪なのだと。

 加えてその他の財閥についても現政権に逆らうようであれば、同じように扱うぞという脅しでもあるわけですよ。
 「最低賃金が上がったから海外に工場を建設する? イ・ジェヨンと同じになりたいというわけか?」というような感じですかね。
 ムン・ジェインの独裁体制を固めるために裁判所も加担した、ということなのです。

む、徳富蘇峰の近世日本国民史が安くなっている……。
近世日本国民史 田沼時代 (講談社学術文庫)
徳富蘇峰 / 平泉澄
講談社
1983/7/10