THAAD・スト・賃金訴訟、危機に直面する韓国自動車業界(朝鮮日報)
 起亜自動車の通常賃金をめぐる訴訟の一審判決は自動車業界全体に衝撃を与えた。判決は定期ボーナスを通常賃金に含めるべきとの判断を示したものだ。通常賃金はさまざまな手当の算定基礎となるため、判決が確定すれば人件費の増大要因になる。

 韓国への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐる中国の報復措置による販売不振、輸出と内需の同時低迷、相次ぐストライキなど悪材料が山積する中、通常賃金訴訟でも期待を裏切られ、「潜在的悪材料」が現実となった格好だ。現在起亜自を含め、通常賃金訴訟が進行中の115社のうち、現代ウィア、現代モービス、韓国タイヤなど相当数が自動車業界だ。

裁判所は今回の判決で、「起亜自の現在の財務状況、売り上げなどは悪いとは言えない」とし、労使間の合意を尊重する「信義誠実の原則」(信義則)を認めなかった。これについて、自動車業界は「最悪に近い状況を直視していない」と反発した。韓国自動車産業学会の金秀旭(キム・スウク)会長は「今回の判決で現代・起亜自はもちろん、韓国の自動車産業がこれまでにない危機を迎えた」と指摘した。 (中略)

 今回の判決で直撃を受ける起亜自は深刻だ。今年上半期の中国での販売台数は前年同期比で55%減少し、全世界での営業利益は前年同期(1兆4045億ウォン)の半分の7868億ウォン(約769億円)にとどまった。起亜自は今回の敗訴で、遡及(そきゅう)分として1兆ウォンの引当金を計上しなければならない。会計上は2007年7−9月期以来10年ぶりに営業赤字に転落しかねない状況だ。

自動車業界は裁判所が「産業の危機」を認識していないとみている。危機状況を認識し、通常賃金の遡及適用を免除するだけでも十分なのだが、裁判所はそれを見逃した。起亜自は中国や米国での売り上げ状況に関する資料も提出したが、裁判所は受け入れなかった。

 今回の判決で平均年収が9600万ウォンの起亜自労組の組合員は通常賃金の遡及分として3670万ウォンを受け取ることになる。会社にとっては、ただでさえ頭痛の種の人件費がさらに膨らむことを意味する。このため、研究開発(R&D)などに充てる資金が減少し、長期的な競争力低下につながりかねない。

 起亜自の経営状況が悪化すれば、部品代金のスムーズな支払いもできなくなる。部品メーカーは巻き添えを食うしかない。韓国の自動車産業は完成車メーカー5社に一次下請けから三次下請けまでが垂直かつ従属的に絡み合っており、完成車メーカーの危機は下請け業界の崩壊につながる。

 それだけではない。起亜自に部品を供給する下請け会社の労組も今回の判決に鼓舞される形で、相次いで通常賃金関連訴訟に加わる可能性が高い。韓国自動車産業協同組合のコ・ムンス専務は「強硬な全国民主労働組合総連盟(民主労総)金属労組の傘下に自動車部品メーカー52社の労組が所属している。今回の判決を契機として、これら労組も訴訟を起こし、連鎖的に部品メーカーの営業利益が減少すれば、波紋は大きく広がりかねない」と指摘した。
(引用ここまで)

 よくこの話を取り上げる度に「労働者が正当な賃金を要求しているだけじゃないの?」というトンチンカンなコメントが書かれるのですが、違うのですよ。
 自動車産業の労組に所属する連中はすでに平均賃金で年に1000万円(1億ウォン)を稼ぐ、金匙論でいえば「銀の匙」階級の人間なのですよ。
 韓国で上位20パーセントの地位を占め、さらにその地位を世襲し、さらには正社員の売買しているような連中なのですね。
 ついでにいえば「ワールドカップが見たいから、その時間帯はラインを止めろ。だけども給料を寄越せ」と言っているような連中です。
 さらにいうなら、工場で製造する車種は労組が決定しています。なので、たとえば日本からヒュンダイに観光バスの大量オーダーがあってもラインを転換してそれに対応するというようなことをしない。車種変更は労働者にとって負担ですから。

 そんな連中が法律の編み目をかいくぐって「もっともっと寄越せ!」と叫んでいるのが、今回の通常賃金訴訟なのですよ。
 すでに韓国の自動車産業は人件費が投資適合とされる経費全体の10パーセントをはるかに超えて13パーセント。
 そんな状況ですから、もはやヒュンダイもキアも韓国国内の工場を新設しようとはしない。
 地方自治体は「給料半分でいいから!」って工場誘致をしようとしているのですが、けっきょく労組を恐れてそういった誘致にも反応しませんでした。

 海外企業を誘致する場合にも、韓国政府が「労働組合を作らせない」、もしくは「作らせても民主労総(ヒュンダイ等の上位労組)傘下にはしない」という条件を組み入れることもあるほど。
 本来だったら数人が雇用されるような条件をひとりが受け取っているような状況なのですね。
 もはや強欲、貪欲のレベル。
 労働組員にあらずんば人にあらずというくらいのことをやっているのです。
 ヒュンダイ労組のストライキが韓国国内ではまったく支持されていないのは、そんなところに原因があるのですね。

 デトロイトに学ぶことがゼロ、なのです。

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2017/10/25