米爆撃機「死の白鳥」派遣、韓国が拒否 8月の演習(朝日新聞)
 8月下旬に韓国各地で展開された米韓合同軍事演習「乙支フリーダムガーディアン」で、韓国側が、米国が提案した戦略爆撃機の派遣を断っていたことがわかった。北朝鮮の軍事挑発を受けて韓国は方針を変更したが、米国側には不信感が残ったという。

 複数の米韓関係筋によれば、米側は8月21日から同31日までの演習期間中、グアムの米軍基地からB1B戦略爆撃機を韓国上空に派遣することを提案した。北朝鮮の軍事挑発を強く牽制(けんせい)する狙いがあったという。

 B1B戦略爆撃機は、核攻撃などで大きな影響を与えられる戦略兵器の一つ。グアムの米軍基地から約2時間で朝鮮半島に飛来できる。搭載した爆弾の破壊力から「死の白鳥」とも呼ばれる。北朝鮮の官営メディアはB1Bの飛来をたびたび報道するなど、敏感な反応を示している。

 だが、韓国政府は当時、北朝鮮が言及した弾道ミサイルによるグアム周辺への包囲射撃を巡る緊張状態を考慮し、北朝鮮の強い反発が予想される戦略兵器の演習参加を拒んだという。

 北朝鮮は8月26日、短距離弾道ミサイル3発を日本海に向けて発射。同29日には中距離弾道ミサイル「火星12」(射程4500〜5千キロ)を襟裳岬東方の太平洋上に向けて発射した。米韓は対応を協議し、同31日、米国は2機のB1Bと在日米軍のF35Bステルス戦闘機4機を韓国上空に派遣し、韓国空軍のF15K4機と演習を行った。

 この演習についての米軍の31日付報道資料によれば、ブルックス在韓米軍司令官は「米国は北朝鮮と地域国家に肯定的なメッセージを送るために爆撃機を派遣しなかった」と説明。「北朝鮮は、日本上空を越える弾道ミサイル発射などで応えた。結果的に爆撃機が出撃しなくても変化はなかった」と語り、間接的に韓国の対応を批判した。

 韓国側は8月30日の米韓国防相会談で、米戦術核の韓国再配備に言及したほか、米軍戦略兵器の配備増強も求めた。米韓関係筋の一人は韓国の迷走する対応について「南北対話など、自分たちの希望と現実を混同している」と語った。
(引用ここまで)

 どうも朝日新聞のソウル支局は韓国大統領府に情報提供者がいるっぽいなぁ……。ちらっと前に「シャノン国務次官からTHAADミサイルのフル配備を完了すべき」と韓国政府が言われたという記事の時に、そんなことを書きましたが。
 その際に大統領府から「日本のマスコミが虚偽を書いている」って糾弾されていましたし。その後の経緯を見ても、おそらく本当のことを書いているということなのでしょう。
 しっかりとした情報提供者、それもかなりの深奥部にいる提供者っぽい感じです。

 さて、今回のB-1Bの爆撃訓練を当初拒絶していたというのは「北朝鮮を刺激したくない」ということからでしょうね。
 精密爆撃が可能な1トンクラスのJDAM(Mk.84)を24発、バンカーバスターのGBU-28もサイズ的には搭載可能。
 超音速、かつ低空飛行で北朝鮮に侵入し、平壌を爆撃可能な最適の戦術爆撃機です。
 であるからこそ、米軍としてはB-1Bを使って訓練していることを見せつけたいし、韓国……というかムン・ジェインとしてはそれをやめてほしかった、ということでしょう。

 その拒絶に対して「アメリカ側が不信感を残している」というのがこの記事の目玉。
 ICBMの発射試験を行っているからこそ、北朝鮮に対して最適解であるB-1Bを誇示して圧力をかけたかったのに、それを韓国政府が拒絶するとはどういうことなのか、と。
 まあ、中立宣言をしてしまったムン・ジェインであればなんの不思議もないのですが。
 けっきょくは30日のIRBM発射に対して、最終日にグアムから2機のB-1B、在日米軍からF-35Bを派遣して、韓国空軍のF-15Kとともに共同演習を行ったということですが。
 そもそも拒絶したということが少なからぬ不信感を残したはずです。
 こういった不信感はひとつひとつは大きなものでなくとも、積み重なっていくことでしょうよ。
 米韓関係がどうなっていくか、ひとつのポイントだったかもしれませんね。

 ちなみにB-1Bに「死の白鳥」という愛称はありません。これは勝手に韓国メディアが言っているものなので注意(とJSF氏が書いてました)。

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Jウイング編集部 / 青木謙知
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2016/3/5