韓経:4大リスクで「内憂外患」…世界的景気回復に韓国だけ取り残されるのか(中央日報)
景気回復動向を押さえ付ける代表的外部要因はTHAAD葛藤にともなう中国の経済報復だ。現代自動車の上半期の中国内販売台数は前年同期に比べて半減した。LG化学などは中国内の電気自動車補助金支給対象から除外された。新世界など10年以上中国事業に力を入れてきた企業も相次いで事業撤退を考慮している。韓流ブームに乗り急成長した化粧品など消費財輸出まで直撃弾を受けている。現代経済研究院は中国に進出した韓国企業の被害規模が年末までに8兆5000億ウォンに達すると推定した。

6回目の核実験など北朝鮮の地政学的リスクはTHAAD問題とかみ合わさり経済不確実性を拡大させている。韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は「北朝鮮の核リスクにともなう影響が単発で終わるものではない上に、北朝鮮の核衝撃が大きければ実体経済に転移する可能性がある」と懸念を繰り返し明らかにした。

韓国国内の状況も侮れない。新政権発足後に非正規職の正規職化推進に続き法人税と最低賃金引き上げなど企業の経営費用を拡大する政策が相次ぎ予告されている。延世(ヨンセ)大学経済学部のソン・テユン教授は「第4次産業革命など企業が適当な成長動力を見つけられない状況で大型の政府政策がほとんど福祉と分配に集中し、企業の利益を減らして費用を増やす方向で推進されている。こうなると企業活力度が低くなり成長率を高めるには否定的だ」と話す。

輸出とともに成長の大きな軸だった建設投資まで萎縮している。建設受注増加率は4月だけでも34.2%を記録していた。7月にはマイナス30.8%に急落した。建築がマイナス29.3%、土木がマイナス37.0%とともに急減した。住宅許認可はマイナス18.3%、着工はマイナス25.4%とくっきりと落ち込んだ。現代経済研究院は「8・2不動産対策の余波で来年のインフラ投資の大幅減少などで建設景気急冷の可能性を排除することはできない」と診断した。

新政権発足に対する期待などから高止まりしてきた消費者心理指数は先月7カ月ぶりに下落に転じた。韓国銀行が発表した8月の消費者心理指数を見れば109.9で前月比1.3ポイント下がった。

小売り販売も振るわない。これは流通業の業績悪化として現れている。中国のTHAAD報復に政府の規制強化まで重なった流通企業と化粧品企業は下半期に大幅の利益減少が懸念される。流通業界1位ロッテの打撃は深刻だ。ロッテショッピングは7−9月期の営業利益が1300億〜1400億ウォンで前年同期比20〜30%減少すると予測される。新世界イーマートの7−9月期営業利益も前年同期比5〜10%減少するだろうと予想される。

韓国政府が複合ショッピングモールとアウトレットに対する営業規制を計画していることも流通事業者の業績に悪影響を与える見通しだ。
(引用ここまで)

 1-3月期は経済成長率が1.1%(年率換算4.4%)というポジティブサプライズがあったのですが。
 あれはムン・ジェイン政権に対する期待のご祝儀相場だったのですよ。
 「これから韓国は黄金時代を迎えるのだ」「なにもかもムン・ジェインが解決してくれる」というような期待感ですかね。
 パク・クネが弾劾されたのが3月。それ以前にほぼ弾劾は決定的で、次の大統領が生まれるであろう。そしてそれはムン・ジェインであろうという前提の元で不動産開発が行われていたのです。
 ムン・ジェイン政権になれば不動産もなにもかも成長していく、これまでの韓国を取り戻してくれるはずなのだ。経済が疲弊していたのはチェ・スンシルとパク・クネの責任であって韓国はまだまだ輝かしいはずなのだ、という前提で。
 実際に建設関連による経済成長の寄与率は100%。見事なまでに不動産だけで成長していたのでした。

 ところが意に反してムン・ジェインは不動産融資規制をけっこう厳しいレベルでかけてきたのです。
 まず7月に第1波の不動産融資規制。これはとりあえずのものであって、8月にも大きな規制をかけてきました。
 これまでひとり一件まで認められてきた不動産融資が、1世帯につき一件となったのですね。
 よく韓国の政治家の身体検査で「子供が不動産を持っている」ことが問題になっていたのはこれが原因だったのです。もちろん、子供が返済するわけではなく親がするのですが。
 これまでは認められてきたこういった融資がバブル激しい都心部で禁じられるようになったわけです。

 ついでムン・ジェイン政権は財閥を縛り、中小企業が成長できるようにと大規模店舗への営業規制を再度かけようとしています。
 財閥絶対殺すマンが公取委員長をしていることからも、さらなる規制が複数かけられることでしょう。これまでのような財閥への特恵もなくなることでしょうね。

 さらにこれまで韓国企業は中国に絶対額でも日本以上の投資をしてきた(相対額なら数倍以上)も関わらず、THAAD問題で圧力を加えられて撤退を強いられている。
 Eマートは撤退、ロッテマートは半数売却、クムホタイヤは工場売却、ヒュンダイ自動車も絶不調で北京汽車との合併解消かと騒がれています。
 中国というひとつのバスケットの中に卵を詰めこみすぎてきたのですよ。あー、怖い。

 好調なのは半導体関連企業だけ。
 半導体はほとんどの企業で最低限のエンジニアくらいしか必要としない、経済波及効果の低い業界で韓国経済全体に影響を及ぼすようなことはない。

 経済的に四面楚歌。不動産を急激に縛ってしまったのは本当にやばい。
 この状態で最低賃金を15%上げる、それも3年連続で上昇させる。さらには払えない中小企業には税金で補填払わない企業には懲罰的損害賠償制度とか正気の沙汰ではないのですが……。
 非正規でも雇われているだけよかった、なんて時代にならないことを祈っておきますよ。なにせ、それでなくても日本企業に目が向いている状態ですから。

 どうもムン・ジェイン政権は経済のことを観念的にしか把握していないんじゃないか……もっといえばなにも理解していないんじゃないかという気がしますね。理解していないのは経済だけじゃないかもしれませんが。

経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ 増補改訂版
池上彰
海竜社
2009/12/28