韓国自動車産業の弱点見抜いた英国「部品業者、来てください」(中央日報)
今月18日、ソウル・プラザホテルで開かれた「自動車は大英帝国(Automotive is GREAT)」キャンペーンにはこのような英国政府の認識がそのままあらわれた。英国輸出の44%を占める欧州連合(EU)からの離脱(Brexit)を決めて以来、英国政府は交易萎縮を懸念して製造業の育成に積極的だ。特に産業波及力と雇用創出効果が大きい自動車産業に全力を注いでいる。「自動車は大英帝国」というキャンペーンはそのような努力の一環だ。

チャールズ・ヘイ駐韓英国大使は「英国自動車産業について知らせ、韓国自動車企業にビジネスチャンスを提供するためにイベントを企画した」と話した。 (中略)

驚いたのは韓国の自動車部品企業を誘致するとして英国政府が提示した統計だった。英国は韓国自動車産業の弱点を正確に見抜いていた。例えば韓国の自動車部品業者は主に売り上げの大部分を1〜2種類の完成車に依存する。売上げ回収先が制限的という状況で完成車業者が崩れれば部品業者は衝撃を分散する方法がない。発表者はこれを意識したように英国の地図を広げてみせて「英国では18社の自動車ブランドが24カ所の工場を運営している」と強調した。韓国部品業者が英国に渡っていけば特定の納品先に命を預けなくても良いという意味だ。 (中略)

ネグレー氏は「英国は欧州で最も規制が進歩的(progressive regulatory)であり法人税が低い」とし、「候補地さえ選べば中央政府が地方政府の関係者を直接紹介する」と話した。

非効率的な韓国労働市場を念頭に置いたように英国政府は労働効率性の関連資料も持ってきた。もちろん人件費が安い東欧と比較すると英国の賃金の方が当然高い。これに対して英国政府は「最近10年間の人件費上昇率は最も低い水準だった。人件費が急激に上昇しないのが私たちの強み」と話した。

生産性さえ高ければ人件費は全く問題にならない。最近、韓国自動車労組の高額賃金が俎上に載せられたのも生産性が低いためだ。英国国際通商部によると英国の自動車産業の労働者1人が11万ポンド(約1630万円)の付加価値を創り出す。東欧国家はもちろんドイツ(10万ポンド)、イタリア(6万5000ポンド)など自動車強国より生産性が高い。

韓国自動車産業の弱点を掘り下げれば韓国部品社を英国に誘致する勝算は充分だという計算だった。イベント会場で会った韓国輸入車協会のユン・デソン副会長は「英国が自動車産業の再飛躍のために政府まで乗り出す姿を見て驚いた」と話した。
(引用ここまで)

 これはうまいプレゼンテーションだなぁ。
 韓国の部品産業には突出した製造力はないのですが、ちゃんと必要なものをそこそこのクオリティで作ってくることが知られています。
 この「そこそこのクオリティ」っていうのがけっこう大事なところで。
 そこまでのクオリティは必要ない。安いほうがいいというようなシーンは確実にあるのです。
 そういう部分では韓国製の部品を導入している日本の自動車企業もあるのですね。
 あとは系列の部品企業のキャパがいっぱいなときとか、けっこう便利に使ってるそうです。

 で、イギリスがその韓国部品製造会社に目をつけた、と。
 ヒュンダイ・キアだけに納入する形ではなく、イギリスに進出している各社に納入機会があります。甲乙葛藤(カプチル)に苦しめられずに済みますよ、という話ですね。
 圧巻は最後の労働生産性についてのアピール。
 要は「我々の労働者はサボらないし、無茶な賃上げも要求しない。給料が安いとは言わないが、それに見合った仕事をする」って話をしているのですよ。
 逆にいえば「英国人は韓国人のようなひどい労働者ではない」と宣言しているのですね。

 企業からしてみたら生産する場所なんてのはどこでもいいのです。
 製品がちゃんとしていて、かつ利益を上げるのであれば世界中のどこだって構わない。インターネット経由で打ち合わせもできるし、メールで書面のやりとりだってリアルタイム。
 もちろん、「すでに工場がある」というのはメリットですが、そのメリットを活かすことができるかどうかは働いている人間次第。
 ある日、唐突になにもかもなくなってしまうなんてことがこの時代にはあり得るのです。
 韓国GMなんて明日に消滅してても不思議じゃない。
 これは韓国だけでなく、全世界で同じことがいえるのですけどね。日本でも、です。

 韓国企業はいまのような労働争議と低生産性をいつまで耐えるのか、チキンレースの真っ最中ってところですね。
 ムン・ジェイン政権は韓国人の賃金を高めてくれていますが、それで韓国人の雇用が保障されるわけでもなし。
 ああいった政策をやったら企業はどう反応するか、というのが実地で実験できるのはすごく興味深いところですわ。

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