「トランプ氏、日本だけに行きたかった…訪韓の最大の目的は」(中央日報)
米国の韓半島(朝鮮半島)専門家、マイケル・グリーン・ジョージタウン大教授は「ドナルド・トランプ米国大統領が訪韓期間中に先制攻撃や予防的戦争のような強硬発言をする可能性は排除し難い」とし「これは進歩的な文在寅(ムン・ジェイン)政府と韓米同盟で葛藤を起こしかねず懸念される」と述べた。

ジョージ・Wブ・ッシュ大統領当時、ホワイトハウス国家安保会議(NSC)アジア担当上級補佐官を務めたグリーン氏は、現在、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級副所長(アジア)と日本部長を兼任している。 (中略)

−−トランプ大統領の今回の訪韓の本当の目的は何だと考えるか。

「ホワイトハウスは初めは訪韓はなく日本だけに行きたかったものと考える。しかし、多くの専門家が韓米同盟で強力な連帯を示さない場合、北朝鮮を抑えることはできないと説得して訪韓日程も含まれることになったと聞いた。結局、訪韓の第一目的は北朝鮮であることが明らかだ。第二の目的は米国国民のための経済イシューである韓米自由貿易協定(FTA)改正問題だ。両国がFTA改正交渉に進展があるというラインで話せるなら両国にとって最善だろう。そうではなく、訪韓期間、トランプ大統領がFTA脱退発言をするようなことがあれば、韓米同盟はより大きな危機に直面することになる」

−−今回のアジア歴訪の真の目的は訪日という意味か。

「私の言いたいことは、トランプ大統領は安倍首相が好きだという意味だ。安倍首相は理念的にトランプ大統領と近く、北朝鮮問題に対してはるかに強硬だ。私は文大統領が個人的に好きで尊敬しているが、彼は非常に温和な性分だ。トランプ大統領はこれを弱気と見ている。日本の場合、トランプ大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)脱退を宣言した後、韓国のようにFTAのような再協議や大きな摩擦を起こすような事案がない」

−−文大統領に首脳会談に対して助言をするなら。

「トランプ大統領に北朝鮮を包容するべきだとか北朝鮮と首脳会談をするべきだというような説得しないでほしいと言いたい。米国はミサイル試験を凍結する代わりに韓米連合訓練を中断するいわゆる双中断(Freeze for Freeze)交渉をしないことだ。行政府はもちろん、議会も反対する。米国が北朝鮮と実務級接触をする時まで静かに待つほうがいい。その代わり、私は文大統領がトランプ大統領と一緒にDMZを訪問して『私は特殊戦司令部出身だ』と言って韓米連合訓練や米国の戦略資産の配備やロケット技術の移転などをテーマに話をして『一緒にやっていこう』と話すべきだと考える」
(引用ここまで)

 マイケル・グリーン氏は日本の安保政策についての専門家。CSISの副理事長でもあり、政府に強い発言力を持つ人物です。小ブッシュ政権ではアジア担当の大統領補佐官に就任していたこともありましたね。
 アーミテージの弟子筋にあたります。
 ニューズウィーク等に執筆することもあり、韓国ウォッチャーにとっては駐韓アメリカ大使に内定したビクター・チャと同じくらいに馴染み深い名前でしょう。
 慰安婦合意について影で主導していたのではないかなー、と思える節のある人物でもありますね。個人的には確実にそうだと睨んでいます。

 そのマイケル・グリーン氏が「トランプ大統領は日本訪問だけをしたかったのだけども、周囲に説得されて韓国も訪問することになったと聞いている」と語っている。
 「〜と考える」と入っているものの、彼が話したという影響力も含めて考えれば実際にそうであったとしか捉えられません。
 まあ、日本だけを訪問するのでは韓国に対して、そして北朝鮮に対して刺激が強すぎるという周囲の説得もまっとうではありますけども。

 ただ、訪韓した際にどんな会話が為されるか……ということなのですよね。
 記事中にあるように「北朝鮮の核開発を凍結する代わりに、米韓軍事訓練も凍結する」なんて話をムン・ジェインがしなければいいのですが。
 これ、ムン・ジェイン政権の統一・外交・安保特別補佐官であり、ムン・ジェインの外交関連政策におけるメンターであるムン・ジョンインの提言そのままなのです。

 ムン・ジョンインはその他にもいろいろと出過ぎた話をしていて、ソン・ヨンム国防長官と言い争いになったこともあってその際にソン・ヨンムが大統領府から厳重注意を受けたということがあります。
 つまり、ムン・ジェインはムン・ジョンインの言葉を重く見ている、ということなのですよ。

 米韓首脳会談でこれ幸いにとばかりに、この「freeze for freeze」の提言をするのではないかという恐れがあるのです。
 この提言をしたら、トランプがどう対応するか……ちょっと想像できませんね。米韓FTAに続いて軍事同盟の破棄くらい言いかねない。
 ムン・ジェインの対北融和姿勢は政権の根幹ですから、こちらはこちらで引かないでしょう。
 言い出したが最後、どうにもできない状況に陥るのは間違いないので最初から言わないというのが最良の方策なのですが。

 逆にそういう意味では楽しみな部分が多い米韓首脳会談といえるでしょう。訪韓してくれてよかった。ネタ数的な意味で。

トランプ政権の米国と日本をつなぐもの (青林堂ビジュアル)
ロバート・D・エルドリッヂ / トニー・マラーノ
青林堂
2017/7/15