朝鮮有事想定、米軍核搭載爆撃機26年ぶりの臨戦態勢へ準備(ニューズウィーク)
ドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩党委員長との間の緊張が高まる中、米空軍は、核爆弾を搭載したB-52戦略爆撃機を24時間の臨戦態勢に置く準備を進めている。もしそうなれば26年ぶりのことだ。

米空軍のデービッド・ゴールドファイン参謀総長は10月22日、防衛・外交専門サイト「ディフェンス・ワン」のインタビューに応え、「特定の事態に備えるというより、アメリカが置かれている世界情勢の現実と今後のために、万全の準備を整えることを考えている」と述べた。

米戦略軍司令部や北方軍から臨戦態勢の命令が出たわけではない。しかし、米統合参謀本部のメンバーであるゴールドファインは、現在の政治情勢なら、臨戦態勢命令が下る可能性はあると述べた。「これは、われわれが準備万端であることを確実にするもう1つのステップだ」

前回、B-52が24時間の臨戦態勢に置かれたのは冷戦時だ。世界11カ所に置かれていた米空軍の戦略航空軍団(当時)の基地で、核爆弾を搭載した約40機のB-52が常時、大統領から命令があれば即離陸できるよう待機していた。しかし、冷戦終了後の1991年、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領が臨戦態勢を解いた。

24時間の臨戦態勢に戻る可能性は、元外交官らを懸念させている。モスクワ駐在の外交官経験を持ち、元ウクライナ大使を務めたスティーブン・パイファーはツイッターで、「B-52を再び臨戦態勢に置くのはコストが高くつくが、その正当性はきわめて理解しがたい」と述べた。

かつて米国防長官の広報戦略アドバイザーを務めたアダム・ブリックスタインもツイッターで、「何かが起ころうとしている感じで不安だ」と述べ、トランプが10月20日金曜日(現地時間)、空軍パイロット1000人の現役復帰を認める大統領令に署名したことを指摘した。 (中略)

トランプは10月22日、フォックス・ビジネス・ネットワークのインタビューの中で、北朝鮮に対する軍事行動に向けて「信じられないくらいに十分な準備ができている」と語った。「(軍事行動を)起こさないほうがいいかと問われれば、それはそうだ。だが、そうなるかどうかは誰にもわからない」
(引用ここまで)

 「は、マジで?」という声を挙げそうになったニュースです。
 戦略爆撃機であるB-52を24時間、いつでも動かすことができるような体制を取り戻す。
 警戒の強度が冷戦時代のそれへ戻るという宣言ですね。

 これまで多くの場合、アメリカ軍はB-1Bを北朝鮮に対して警戒活動に使用してきました。稀にB-2も韓国に持ってきたりもしていますけどね。
 大きな要因としてB-1Bであればアフターバーナーを焚けば最大速度がマッハ1.2まで出せるということもあり、北朝鮮が迎撃態勢を取ったとしても逃げ切れるであろうということが挙げられます。
 ただ、それよりもなによりもB-1Bには核兵器は搭載できないようになっているのです。
 ロシアとの核協定であるSTART IIでそのように規定され、B-1Bは全機核兵器搭載能力を喪失しています。
 B-1Bが戦術爆撃機と呼ばれる所以ですね。

 つまり、B-1Bを使っている段階では核兵器を使用するつもりはない、という意思表示でもあるのです。
 まあ、その一方でバンカーバスターのGBU-28や、精密爆撃のできるGBU-31なんかは搭載できるので、B-1Bを飛ばしているということは「通常兵器でぼっこぼこにするぞ、ごるぁ」くらいの威圧はしているということなのです。
 ですが、B-52は戦略核を搭載できる戦略爆撃機です。

 B-52の用意をする、それも24時間体制でということは「なんかやったらおまえの国は蒸発する」というサインなのですね。
 そして、単純に「対応準備をしているだけ」であれば、B-52の24時間臨戦態勢というのは明白にオーバーコストなのです。たかが示威行為にここまでかけないだろってくらいの費用がかかるはずです。
 先日のネルソンリポートで「アメリカ政府高官から『韓国に個人資産があるのなら退去させるべきだ』という警告」があったという話がありました。
 ……いろいろと符合するのですよ。符合してしまう、というべきか。

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エドワード・ルトワック
文藝春秋
2017/4/20