THAAD:報復被害に何も言えず追加配備放棄を明言した韓国政府(朝鮮日報)
 韓中両国は10月31日に発表した「韓中関係改善に関する両国間協議の結果」という共同合意文により、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に伴う確執を一段落させた。しかし、この合意文に対しては「内容・形式面で両国間の利益が釣り合っていない」という指摘もある。中国側は「THAADに反対することをあらためて明言する」とし、韓国側に「適切な処理」を要求した。だがその一方で、韓国側に10兆ウォン(約1兆円)を上回る被害を与えたTHAAD報復問題については言及していない。また、THAAD追加配備や韓米日軍事同盟の可能性など、将来の安保主権的決定事項を康京和(カン・ギョンファ)外交部(省に相当)長官の公の発言という形で放棄したのも問題視されている。

 韓中共同合意文には、「中国はミサイル防衛(MD)システム・THAAD追加配備・韓米日軍事協力について中国の見解と懸念を表明した。韓国は韓国政府が公にしてきた見解をあらためて説明した」という内容がある。韓国政府筋は「交渉の過程で、中国側がミサイル防衛(MD)システム参加・THAAD追加配備・韓米日軍事協力の3つをするなと要求してきた。文書化する事案ではないので、別の機会に公に言及することにし、これに基づいて30日に国会外交通商委員会の国政監査で康京和長官が政府の見解を明らかにした」と述べた。

 30日の国政監査で、文在寅(ムン・ジェイン)政権初の訪中代表団団長を務めた与党「共に民主党」の朴炳錫(パク・ピョンソク)議員が3つの問題に対する政府見解を尋ね、康京和長官が「政府はTHAAD追加配備を検討していない」と答えたのが一種の「裏合意」履行だったということだ。 (中略)

 しかし、北朝鮮の核・ミサイルの脅威が高まれば、THAAD砲台の追加配備が必要になる可能性もある。31日の国会国防委員会国政監査で、野党「自由韓国党」の白承周(ペク・スンジュ)議員は国防部の宋永武(ソン・ヨンム)長官に「THAAD追加導入に関して国家安保会議(NSC)などで外交部長官と協議したことがあるか」と質問したが、宋永武長官は「まだ(協議したことは)ない」と答えた。つまり、国防部長官を排除したまま、THAAD追加配備という切り札を捨てたのだ。(中略)

 今回の共同合意文で、中国の安保に対する懸念は事細かく言及されているが、韓国側が受けたTHAAD報復の被害に関する言及は一言もなかった。最後の段落に「韓中間の交流協力強化が両国の共通利益に合致することで一致し、すべての分野の交流協力を正常な発展軌道に乗せ、速やかに回復させていくことで合意した」とあるだけだ。大統領府が先月27日に明らかにしたように「両国の国益が正確に保障」されるには、THAAD報復の遺憾表明と再発防止の文言も必要なはずだった。

 これについて、大統領府関係者は「(THAAD報復は)中国国民のTHAADに対する不満・反発によるもので、中国政府が行った政策ではないという見解だ。(中国は)合意以降、『韓中関係に温かいムードを感じることができるだろう』と言った」と述べた。中国は「THAADとは無関係だ」とすることにより、一部の措置を解除しない余地や、いつかまた報復を再開できる余地を残した形だ。合意文で「韓国側が関連する問題を適切に処理」し、「軍事当局間のチャンネルを通じて、中国側が懸念しているTHAAD関連問題に対し意思疎通を図っていくことで合意」したという文言も、中国が今後THAAD問題をあらためて取りざたし、無理な要求をしてくる可能性を残してしまった。
(引用ここまで)

 これ以外にも朝鮮日報、中央日報ともに「これでいいのか」という社説、記事を連発しています。
 特に朝鮮日報。

THAAD:報復に何も言えず追加配備放棄を明言した韓国(朝鮮日報)
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 実質的には中国はなんの約束もすることなく、韓国から「これ以上のTHAADミサイル配備はしない」「日米韓の三国軍事同盟を結ぶことはない」「アメリカのミサイル防衛システムに参加しない」という約束を取り付けてしまった。
 韓国政府は「中国はTHAAD配備からの圧迫を終わらせるだろう」と言ってはいるのですが。
 中国政府はあくまでも「あれは韓国の所業に怒った民間が自主的にやっていること」という立場。

 社会主義国家でそんなわけがないのですが、建前としてそう言われてしまえば韓国にやれることはなにもない。
 つまり、「民間がまた怒ってきた」ということでいくらでも再開できてしまうのですよ。
 そもそも本当にやめるかどうかも分からない。
 どこにも中国政府からの保障がない。でも、韓国政府は上記の「三不」を約束させられてしまい、国会監査の場で外相が宣言してしまった。

 この交渉の中で中国政府は韓国政府に対して「THAAD配備について謝罪しろ」って言ってきたそうですが、さすがにそれは拒絶したとのこと。
 どうもそれを誇らしげに語っているのですが。
 でもそんなの「最初に強い条件をつきつけて、それを拒絶されたら渋々引いたように見せてから、本当の望みを出す」なんていう交渉の初歩の初歩ですわ。
 どことなく慰安婦合意の経緯を思い出しますね。
 要は韓国って強く言われれば引くんじゃねっていう。

 得点的には中国97:韓国3ってとこでしょうか。ちょっろいなぁ……。

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2017/1/18