韓中THAAD協議が安保に足かせとなる3つの理由(中央日報)
【社説】「約束」であれ「立場表明」であれ韓国の主権は損なわれた(朝鮮日報)
韓国政府が中国との高高度防衛ミサイル(THAAD)問題を終えるために先月31日に発表した協議文は安保の足かせとなる危険性をはらんでいる。有事の際、韓国の潜在的な敵となる可能性がある国に我々の安保と軍事的活動を制限する約束をしたのは初めてだ。 (中略)

協議文で提示された核心内容は▼米国のミサイル防衛(MD)システムに加わらない▼THAAD追加配備を検討しない▼韓日米軍事同盟には発展しない−−というものだ。この3つのうち最も問題になる点はTHAAD追加配備を検討しないという部分だ。(中略)

今回の協議文に基づきTHAAD追加配備を検討しないというのは、韓米相互防衛条約と韓米駐屯軍地位協定(SOFA)の違反でもある。韓米相互防衛条約は、米国が韓半島防衛のために軍事力を配備でき、韓国は許容することになっている。ところが今回の協議文は、韓半島防衛の責任を負う韓米連合司令官が軍事的な必要によりTHAADを追加で配備しなければならない場合に足かせとなる。結果的に今回の韓中協議は韓半島での韓米連合作戦計画を深刻に毀損し、安保の脆弱性を高めた。北朝鮮が韓国に向かって弾道ミサイルを発射することができる機会を提供したのだ。 (中略)

今回の協議は北朝鮮が有事の際に発射する弾道ミサイルに対する迎撃も制限する。北朝鮮のミサイルは韓国と日本、米軍までも狙う。現在、韓日米は北朝鮮のミサイルを探知した情報は共有することになっている。これは昨年11月に締結した韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に基づく。しかし迎撃を効果的にするには3カ国は北朝鮮が撃ったミサイルに分けて対応しなければならない。そのためには3カ国の軍事協力が必須となる。ところが中国は韓日米が協力して北朝鮮ミサイルを迎撃することに反対する。3カ国の軍事協力を事実上の軍事同盟と見なす可能性があるからだ。また、中国は韓日米の北朝鮮弾道ミサイル共同対応作戦を韓国の米MDシステム参加と見なす可能性もあると、この関係者は指摘した。 (中略)

まず今回の協議過程には問題が多い。実質的な協議は青瓦台(チョンワデ、大統領府)の南官杓(ナム・グァンピョ)国家安保室第2次長が主導し、国防部と外交部は事実上排除された状況だ。(中略)

結局、今回の協議文を出した過程と結果を見ると、中国に一方的に重要な安保事案を譲った姿だ。今後、中国との摩擦が避けられない火種ばかりを作った。今後の再発防止のためにも、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の判断力を曇らせて韓中協議を推進した担当者に対する問責と真相調査が避けられないとみられる。
(引用ここまで)
 韓国政府が中国と終末高高度防衛ミサイル(THAAD)関連で合意を発表し、THAAD追加配備・ミサイル防衛(MD)・韓米日同盟に否定的な立場を表明したことが問題になっている。中国外務省がこの「三不」政策を「韓国が『約束』した」と表現したことに対して韓国外交部(省に相当)が問題提起すると、中国側は「立場表明」という表現に変えたと発表された。だが、「約束」であれ「立場表明」であれ、その形式が重要なのではない。韓国の主権事項、それも最も敏感な軍事主権に第三国が影響を与えたこと自体、既に主権が損なわれいるということだし、国益を損なう先例として長らく残ることになるだろう。 (中略)

 米国の動きも尋常でない。国家安全保障問題担当の大統領補佐官は「韓国が主権を放棄するとは思わない」と、遠回しに懸念を表明した。在韓米軍司令官が「既存の首都圏防衛システムに防衛資産や能力を追加する」と言及したことも、韓国政府の「THAAD追加配備を検討しない」とは異なる見解として受け止められている。韓米同盟と北朝鮮の核問題への取り組みに重要な意味を持つトランプ米大統領の訪韓直前に、このような問題が浮上しているのも不吉だ。 (中略)

 中国によるTHAAD報復措置で韓国が受けた経済的被害は重要な問題だ。しかし、安保よりも優先すべきことはできない。(中略)

 外交で主権を守るのは基本中の基本だ。韓国の主権を守るための戦略的あいまいさは、強国・大国と渡り合うことができる基本的な手法だ。依然として北朝鮮と友好関係を維持している国を前に、韓国が自らの主権を損なってまで身動きが取れなくすることが、将来どんな逆風となってやって来るか心配でならない。それでも大統領府はこの交渉を自画自賛している様子だという。
(引用ここまで・太字引用者)

 今回の「三不」宣言で韓国の保守派は一斉に頭を抱えてしまいましたね。
 「約束」であろうと「立場表明」であろうと、中国によって韓国の国防は枷をはめられたも同然です。
 いくらTHAAD配備に伴う中国からの圧力が厳しいものであったとしても、これはないでしょってレベルで。
 それどころか、主権侵害されて嬉々としている状況ですよ。
 中国による主権侵害というよりは、むしろ韓国の主権放棄というか。それも無理矢理やられたわけでもなくて、自ら差し出しているっていう。
 大韓帝国が外交権を差し出して保護国化した乙巳条約ってこんな感じだったんだろうなぁ……。

 ムン・ジェイン、そしてカン・ギョンファの外交センスをまざまざと見せつけてくれました。
 武藤正敏元駐韓大使が著書の「韓国人に生まれなくてよかった」の中でムン・ジェインのことを「北朝鮮情勢以外になんの興味も持っていない」と評していましたっけ。
 2012年の大統領選で、関係構築のためにムン・ジェイン事務所に行って民間レベルの日韓経済協力について「政府レベルでもバックアップを」と話しても帰ってくるのは沈黙だけ。
 最後に「日本は統一についてどう考えるのか?」ってだけ質問してきたっていうエピソードを書いていました。

 今回の三不を自画自賛しているって……最初「いくらなんでもそりゃない」と思ったのですが、これまでの政策を見るに充分にあり得ますね。
 カン・ギョンファも「対日外交最終兵器」だの「日本人が嫌がる最強の外交家」だの言われてましたが……まあ最後の外交部長官になるかもしれませんね。

赤い韓国 危機を招く半島の真実 (産経セレクト)
櫻井よしこ / 呉善花
産経新聞出版
2017/5/9