文大統領、日米首脳の面前で「日本は韓国の同盟ではない」(中央日報)
文大統領「日本は同盟でない」 9月の韓米日首脳会談で(聯合ニュース)
青瓦台(チョンワデ、大統領府)高位関係者は5日に聯合ニュースとの通話で「文大統領が韓日米首脳会談で『米国は韓国の同盟だが日本は同盟ではない』と断固として話した」と伝えた。

同関係者は「文大統領の話にトランプ米大統領は『理解する』と答えた」と説明した。

文大統領がこのように韓日関係をめぐり「同盟ではない」と確実に線を引いたのは、韓米同盟を超え日本が要求する韓日米軍事同盟は受け入れられないという意向を強調したものとみられる。 (中略)

文大統領の発言は韓日米軍事同盟発展の可能性に対する中国側の懸念を払拭させると同時に、軍事同盟が可能なほど韓日関係が整理されたものではないとの判断を示したとみることができる。

日本が慰安婦被害者問題に責任を全うしない状況を含め国民一般の感情を考えると同盟は考慮できないとの意向を明らかにしたのだ。

特に軍事同盟の核心である合同軍事訓練をする場合、自衛隊が韓国の領海と領空に入ってこなければならないが、これは韓国民がすんなりと容認しにくい上に、有事の際に日本軍が韓半島(朝鮮半島)に入る根拠になりかねないという点を懸念する側面もあるとみられる。
(引用ここまで)

 あくまでも日米韓の三国軍事同盟を対北朝鮮包囲網だけではなく、対中国包囲網の最初のオプションとして使用したいというのはアメリカの意向なのですよ。
 広域での封じこめという面においては日米豪印のダイヤモンド構想も有効でしょうが、地域安定という面で見れば日米韓で行うのがより効果的であるというのはここ10年来のアメリカの意向でした。
 それを韓国は中国への「バランス外交」意識から「歴史認識ガー」「慰安婦ガー」とのらりくらりかわしてきた。
 業を煮やしたアメリカが主導したのが日韓の慰安婦合意でした。
 これで歴史問題は解決され、晴れて日米韓の三国同盟、もしくはアメリカを頂点としての疑似三国同盟を有効活用できる状況になった……はずだったのですが。

 そのアメリカ主導の慰安婦合意をなかったことにしようとしているのがムン・ジェイン政権というわけですね。
 反日政治家だから、ポピュリストだからという面も大きいのでしょうが。
 対中国外交で得点を稼ぎたいからという側面が見逃せないのでしょう。政治家としての師である盟友ノ・ムヒョンの提唱した「韓国バランサー外交」を自分でも行うつもりなのでしょうね。
 そのためには日米韓の三国軍事同盟に組み入れられるわけにはいかないというのは……まあ理解できなくもないかな。

 で、聯合ニュースの韓国版でも当然、このニュースは伝わっています。

文大統領、トランプ・安倍の目の前で「アメリカとは同盟...日本はない」(聯合ニュース・朝鮮語)

 なんと驚きのネチズンコメント数10000オーバー。
 よっぽどの大事件でないと10000コメントはつきません。そのほとんどが「そうだ、言ってやれ!」「さすが我々の大統領!」「痛快だ」みたいなもの。
 韓国には「日本が軍事同盟を狙い、それをきっかけにして韓国への領土的野心を本格的に燃やすのだ」みたいな認識があって苦笑するしかないのですが。

 中国封じこめという観点に立てば、日米韓の三国同盟は地政学的には正しい同盟です。
 利点だけ見るのであれば、実に理にかなっている。不沈空母である南北東西に長い日本列島と、黄海を封じる形の韓国。
 中国の太平洋への覇権を封じ込めるのであれば、理想にほぼ近い陣容です。

 ですが、韓国を同盟として引き入れることは日本にとってリスクでしかない。
 情報漏洩等ではなく、単純に「こちら側である」という認識の薄い国を同盟に引き入れるのは原則的にリスク要因でしかないのですよ。
 韓国は常に中国の顔色をうかがいながらでしか外交ができない国であるのは、「三不」やこのムン・ジェインの「日本は同盟国ではない」という言葉からも理解できるはず。

 アメリカもノ・ムヒョン政権からこっち、ずっと同じことをされているのですから理解すべきだし、本当のところでは理解しているのでしょうけども。
 地政学的にほぼ100点の組み合わせをそう簡単には諦められないのでしょうね。

 ま、実際のところ、韓国からこういってもらえるのは日本にとっても助かることなのですが。
 「同盟を組んでやるから○○しろ」とか言われるより、最初から同盟なんてないほうがよほどマシってものです。同盟することで外交的得点があっても、その他の面での外交的減点が大きすぎます。

 ネチズンが熱狂して指示してくれているのは実はとてもありがたいのですよね。
 ポピュリストであるムン・ジェインはそこから動けなくなるということを意味していますから。
 賢くて度胸のある政治家なら、ここでどんなに不興を買ったとしても一気に日米韓三国同盟へなんてこともやりかねませんが、ムン・ジェインだったら大丈夫。太鼓判を押せます。
 いまという時期にムン・ジェインが大統領でいてくれてホントに助かりますわ。
 がんばれ、ムン・ジェイン!

戦略の地政学 ランドパワー VS シーパワー
秋元 千明
株式会社ウェッジ
2017/8/31