青瓦台が発表した文大統領の訪中…中国の発表には見られず(中央日報)
韓中会談でのTHAAD言及、真逆の中国報道に青瓦台は…(朝鮮日報)
THAAD封印のはずが…習主席、韓中会談で問題蒸し返す(朝鮮日報)
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と中国の習近平国家主席による11日のベトナム・ダナン首脳会談は、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備で冷え込んだ韓中関係の「公式解氷」宣言と見ることができる。 

両首脳は未来志向的な両国関係の構築に合意した。文大統領が来月中国を訪問することにし、習主席は韓国側の来年2月の平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)訪問要請に「訪韓のために努力する。事情があって行けなくても高官級代表団を派遣する」と明らかにした。しかし会談では北朝鮮核問題の解決法や中国のTHAAD報復解除が具体的に扱われなかった。「文在寅−習近平」会談に対する韓国の期待と中国の計算が一致しなかったのだ。 (中略)

また「文大統領は『韓国は中国のTHAAD問題に対する懸念を認識し、中国の戦略的安保利益を害する意図はない』と述べた」と公開した。中国国営の新華社通信と人民日報の速報はこの部分を強調した。

青瓦台はTHAAD問題に関してこのように詳細な内容を明らかにしなかった。首脳会談で習主席はTHAAD配備の問題点を取り上げたが、文大統領はTHAAD報復の問題点を指摘しなかったという。
(引用ここまで)
中国側の発表によると、習主席はかなり長い時間をかけてTHAAD問題についてこと細かに話し、これに対し文大統領が「THAADは中国を狙ったものではない」と釈明する羽目になったとしている。このため青瓦台がTHAAD問題に対する習主席の発言を取捨選択し、都合のよい発言だけを選んで記者会見で発表したのではないかとの指摘が出ている。
(引用ここまで)
 文大統領は、公開された会談内容で「韓国には雨降って地固まるということわざがある。中国にも『梅経寒苦』といって、梅の花が冬の寒さに打ち勝って春を告げるという四字成語がある」と述べた上で「韓中間の失われた時間を取り戻せるよう努力しよう」と呼び掛けた。これに対し習主席は「中韓関係と韓半島(朝鮮半島)情勢にはカギとなる時期がある。今日の我々の会談は今後の両国関係発展と韓半島問題において、双方の協力、そしてリーダーシップの発揮という点で重大な契機になると信じている」と応じた。 (中略)

 しかし会談でTHAAD問題を「封印」するとしていた青瓦台の説明とは異なり、この日の習主席はTHAAD問題に再び言及した。習主席は文大統領に対し、THAADに対する「責任ある姿勢」を求めた。これに対し、文大統領は「中国を狙ったものではない」と述べた。
(引用ここまで)

 韓国側は今回のAPECにおける中韓首脳会談の様子を「THAAD問題は手打ちになった。もう圧迫されることはない」という意図で発表を行った。
 それに対して中国側は「THAAD問題に対して韓国側の釈明があった」と発表した。
 韓国マスコミはそのすれ違いをもって「韓国大統領府は都合のいい部分だけをピックアップして発表したのでは?」という疑惑を持っているということですね。
 疑惑というか、それが実際のことなのでしょう。そして、韓国政府による都合のいい発表はいつものことではあるのですが。

 中韓双方から同じような発表があればマスコミも納得したでしょうし、その細かな差異までは気にしなかったでしょう。少なくともAPEC取材中に「発表内容が違いすぎる、どうなってんだ!」みたいな糾弾はされずに済んだはずです。
 でも、実際には韓国政府は「THAAD圧迫は終わり、中韓関係は新しい時代を迎えた」と発表し、中国政府は「韓国は中国のTHAAD問題に対する懸念を認識し、中国の戦略的安保利益を害する意図はない」とムン・ジェインが釈明を行ったという発表をしている。
 その後、韓国政府関係者が「THAAD問題に対する言及はあった」と言葉を濁しながら認める、というみっともない事態になったわけですね。

 ここに韓国マスコミは注目していないのですが、さらなる問題点があります。
 もはや中韓関係は政府の発表内容をすりあわせることすらできない状況である、ということです。
 まあ、中国からの視点では「三不の誓い」でもはや主権すら放り投げた冊封国にそこまでの気を遣う必要はないということになるのでしょう。
 その一方で韓国政府、ムン・ジェイン政権としては「三不は主権放棄などではない」「ただの立場表明だ」っていう気分があるので「新しい中韓関係の幕開けです!」と華々しく語ってしまう。
 そして釈明に追われる。

 中国に対して三跪九叩頭するということはこういうことなのですよ。
 あと残っているのは「自国民を解放される」ことくらいですが、中国の歴代王朝による方針は「朝鮮半島は放置」でした。その歴史的経緯からもこれ以上の手出しはないんじゃないかなぁ……と感じます。
 例外として元は徹底して高麗を隷下に置きましたが、元は「中国王朝」とするにはちょっと異端ですからね。

 まあ、どちらにせよ「三不の誓い」は決定的だった、ということなのでしょう。鈴置さんのやっている米中星取り表も終わるくらいの威力があると思いますよ。

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