【コラム】中国が帰ってきたのがそんなにうれしいのか(朝鮮日報)
 韓国メディアは今年、中国の「独身の日」(光棍節、11月11日)を大きく報じた。中国のインターネット・ショッピング割引合戦をこのように大きく報じたのは、韓国製品が期待以上によく売れたからだ。韓流スターの女優チョン・ジヒョンが再び中国の広告に登場したのも話題だった。今回の「独身の日」を「終末高高度防衛ミサイル(THAAD)報復措置解除」の始まりだと見る報道もあった。中国人観光客が頻繁に訪れるソウル・明洞のショッピング街ではテナント料が再び動いている。(中略)

 韓中間の「THAAD確執」が1年4カ月で終わった。日中の「東シナ海確執」が終わるのには3年かかった。言い換えれば、韓国は1年4カ月耐え、日本は3年耐えた。どちらが賢明なのかは分からない。しかし、どちらが正しいのかは分かる。韓国は妥協するために「THAAD追加配備を検討せず、米国ミサイル防衛(MD)システム不参加の立場に変わりはなく、韓米日安保協力が軍事同盟に変わらないだろう」という政策を明らかにした。同盟国ではない相手のため、安保主権に足かせをはめる国はない。日本も主権を担保に、中国と妥協することはなかった。だから3年もかかった。 (中略)

韓国経済は中国に対する耐性を確認している最中だった。持ちこたえることができたら、構造改革を急いで韓国経済の中国依存度を下げようという主張もあった。もちろん、一部企業の被害は甘受しなければならない。日本は耐えながらもこの道を進んだ。正道だ。(中略)

 韓国と中国のこうした態度は遠い昔に由来がある。丙子の乱(1636−37年、清が朝鮮を制圧した戦争)と言えば、仁祖が3回膝を突き9回頭を地面に付けさせられた「三田渡の恥辱」を思い出す。しかし、長らく国を苦しめたのは、当時強制的に結ばされた11項目の丁丑約條だった。国防に関する項目は次の通りだ。「新旧の城壁を修理したり、伸縮したりすることを許さない」。攻城戦が基本だった時代なので、国防放棄宣言と同じだ。中国の執着は大変なものだった。清の太宗(ホンタイジ)は「使者を延々と送り、朝鮮が(国防に)手をつけられないようにせよ」と遺言を残した。

 あきれた場面が68年後の実録に登場する。崩れた都城の塀を築くのに、中国の許可を得なければならないのかをめぐり、宮廷は騒がしくなった。右議政(現代の副首相に相当)は「築いた後で発覚したらどうするのか」と心配する。すると、左議政(同)が「ゆっくり築けば気付かれずにできている」と小細工しろという。兵曹判書(現代の国防長官に相当)は「他の意見をあまねく聞いてから決めよう」と手を引く。戦闘に必要な山城もなく、宮廷警備や都を警備する塀を修理するため言った言葉だ。(中略)

 核武装を完成させた北朝鮮が、韓国の首都圏を脅かす日は遠くない。THAAD追加配備問題は避けられない。この時、政府は312年前の朝鮮時代の宮廷のように騒がしくなるだろう。「ひとまず中国に知らせて説得しよう」「反対するのがオチだから、こっそり持ち込もう」「公論調査を通じて広く聞いてから決めよう」「追加配備をあきらめ、中国に仲裁を要請しよう」。今の政府なら、こうした言葉が行き交うだろう。もちろんこれは想像だ。朝鮮は生きるために安保の主権を放棄した。今は北朝鮮の核が危機だ。ところが、韓国政府は北朝鮮の核を防ぐのに必要な安保主権を留保した。

 中国人観光客が大勢やって来て、人民元が街にあふれたら、人々は「安保の代償」をすぐに忘れるだろう。お金はすべての憂いを覆い隠す。「良いことが好き」という大衆心理はあらゆる批判を地中に埋めて隠してしまう。経済万能主義がこのように強大な力を振るう国はあまりない。さらに、現政権は一部国民のこうした傾向を利用するのにたけている。すべてが絡み合い、この国はどこかへ転がっていこうとしている。
(引用ここまで)

 今度は社会部部長になったソンウ・ジョンが泣き言を書いてますね。
 まあ、韓国保守系紙はどこも今回の主権放棄に頭を抱えているのですが。
 その中でも日本をよく知るソンウ・ジョンの嘆きはひときわ深いのでしょう。
 以前に韓国の中国傾倒は統一のためだと信じていた、あれは間違いだったって告解をしていましたが。
 もうなにもかもが遅かった、ということです。

 韓国でも「日本は反日デモを起こされ、レアメタル輸出を止められ、漁船に体当たりされても原則を崩さなかった。あの対応を見習おう」なんて話もあったのです。
 一応は。
 でも、けっきょくは主権を放棄してしまった。「三不の誓い」を立てて我々は中国様の属国でございます、と世界に向けて宣言してしまったのですよ。
 三不の誓いというか、三不の盟約というか。
 やっぱりあれを三田渡の屈辱と同等のものと感じる韓国人もいましたね。


 日米側は当初は「このままだと中国に取り込まれるぞ」と警告をしていましたが、もはや中国側に行くであろうことを前提に戦略を整える段階に来ています。
 日米韓での軍事演習を断られても「ああ、はいはい」で終わらせているところなんかもその象徴といえるでしょうね。
 ルトワックは中国4.0で「韓国は独立したくない国」「アメリカ傘下から中国傘下に乗り換えようとしているだけ」と看破していましたが、そのシフトが最終段階に来ているということなのでしょう。
 中国が「主権を放棄しろ」といえば放棄せざるを得ないところにまできている。
 それでも「シフト期間中」であるので、米韓同盟はまだ数年、具体的には次の大統領任期までは維持されるとは思いますが。

 現在になって「主権放棄」という現象が出ているのですが、それはここ数年の動きの帰結として当然の結果でしかない。そして主権を売り渡したからには、将来はもっとひどいことになるのは間違いないのです。
 ソンウ・ジョンも韓国に骨を埋めるつもりなら、もう覚悟を決めるべきだと思いますよ。中国の狗として生きる覚悟をね。

中国4.0 暴発する中華帝国 (文春新書)
エドワード・ルトワック
文藝春秋
2016/3/18