元IMFアジア太平洋局長「韓国は製造業以外が弱すぎる」(朝鮮日報)
 「20年前のアジア通貨危機と現在の非正規雇用・格差問題を結び付けないでほしい。関連はない。ほかの先進国もすべて直面する問題だ。アジア通貨危機がなくても韓国には(こうした問題が)発生していだだろう」

 今月15日、企画財政部(省に相当)と韓国開発研究院(KDI)が共催した「アジア通貨危機20年カンファレンス」で、アヌープ・シン米ジョージタウン大学教授(67)=写真=が「世界は急速に変化している」とした上で語った言葉だ。この前日、KDIは「韓国人の10人中9人はアジア通貨危機が現在の非正規雇用・格差問題に悪影響を及ぼしたと考えている」というアンケート調査結果を発表したが、シン教授の考えは違った。

 シン教授は1997年のアジア通貨危機時、国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局で実務に当たり、その後IMFアジア太平洋局長(2008−13年)を務めた人物だ。

 シン教授は韓国経済について、半導体などの製造業と輸出依存度が高すぎることが問題だと指摘した。同教授は「製造業以外の分野があまりにも弱すぎる。サービス業の生産性を引き上げ、内需と家計消費を中心に経済成長のパラダイムを切り替えなければならない」と述べた。 (中略)

 シン教授は最後に、「最近、韓国で『ヘル朝鮮(地獄のような韓国)』という言葉が流行しているそうだが」と尋ね、「ヘル朝鮮になった原因は高い青年失業率にある。正規雇用と非正規雇用、労働組合がある企業と労働組合がない企業の格差が大きく、移動もほとんど不可能だ。このように硬直した状況では、青年失業問題を解決できない。サービス業を育成すると同時に、労働市場を柔軟に改革する必要すべきだ」と自身が考える解決策を提示した。
(引用ここまで)

 「ヘル朝鮮」だの「パルパル(88)万ウォン世代」とか呼ばれながらも、なんとかなっているのは選り好みさえしなければなんとかなるような物価のものがあるからなのですよ。
 それでなくても低い最低賃金すら払われないような状況でも、とりあえず生きていくのであればなんとかなる。
 中国産食品だったり、屋台で売っているような魚で「大丈夫かよ、これ」みたいなものがあったりするのですが。
 そういうものを食べるのであれば、なんとか生きていくことだけはできる。
 もちろん、「恋愛」「結婚」「出産」「マイホーム」「人間関係」「夢」「就職」は諦める七放世代として生きていかざるを得ないのですが。

 基本的にサービス業の価値というものが異様なまでに安いから、そのせいで……もしくはそのおかげで「なんとかなってしまう」のですね。
 家賃4万円のコシウォンに住んで食事は賄いでなんとかする。もしくは親元に住み続けてスネをかじり続ければなんとかなる。
 企業も内需を基本的に諦めて、外需しか見ていない。
 「ヘル朝鮮」の実情に従って、底辺経済の構造ができあがっているというべきか。
 ないしろアメリカ並の格差があって、かつアメリカンドリームがない国ですからね……。

 なので無理矢理に政府から「最低賃金上げろ!」って要求していくというのも、ありかもしれないな……とはちょっとだけ思うのですよ。
 それ以外に韓国のサービス業の価値を上昇させる方法ってないかもしれない。
 ただまあ、経済理論としてはあり得ないものなので、なんともいえないのですが。

 そもそも、これだけGDPが上がっておきながらサービス業の価値が極端なまでに低いということ自体が経済理論の埒外とも言える状況だったりします。
 じゃあ、混沌には混沌をぶつけてみるのもありかもしれない、とここのところはちょっと思っています。
 なにより、ムン・ジェインの経済政策によってなにが生まれるのかを見てみたいですからね(笑)。
 いまのところ物価が上がってしまって底辺でなら生きることのできるヘル朝鮮の構造をぶち壊してしまい、底辺経済が消失してスーパーヘル朝鮮が生じる可能性しか見えていませんけども。

「ヘル・コリア」の恐怖 Voice S
室谷 克実
PHP研究所
2016/5/6