ワシントンで高まる韓米同盟への疑念(朝鮮日報)
 昨年末に会った米議会関係者から「韓国は韓米相互防衛条約における『相互』の意味を本当に理解しているのか」と質問を受けた。韓国人はこの条約に沿って、韓国が北朝鮮による攻撃を受けた際、米国が自動介入すると思っているだけで、米国が同じような脅威に直面した際、韓国も同じ対応を取らなければならないとは考えていないようだというのだ。(中略)

 韓米同盟は「公式」には問題がない。韓国外交部(省に相当)と米国務省は両国が緊密な意思疎通と協議を行っていると説明する。しかし、最近ワシントンでは「(韓米同盟が)何かおかしい」という指摘が聞かれ始めた。

 米政府の元関係者は先月、「ワシントンのコリアウォッチャーは文在寅(ムン・ジェイン)政権が親中、反日、そして若干の反米傾向を帯びていると感じている」と述べた。国務省関係者も「最近の韓国政府に対するワシントンの印象はまさしくその通りだ」と語った。

 トランプ政権は最近「国家安全保障戦略(NSS)」で明らかにしたように、中国を事実上敵同然のライバル国としてとらえている。一方、日本とは緊密な関係にある。そんなトランプ政権と韓国政府による立場の調整はどうしても困難だ。

 そんな不協和音は最近、韓米同盟の先行きを不安視する発言へとつながっている。平昌冬季五輪を控え、韓国が韓米合同軍事演習の延期を要請したことと関連し、在韓米軍のバーウェル・ベル元司令官は先週、米VOA放送のインタビューで、「万一自分が司令官在任中に北朝鮮を懐柔するために軍の準備態勢を和らげようとの提案があれば、直ちに米大統領に在韓米軍撤収と相互防衛条約破棄を勧告しただろう」と発言した。 (中略)

戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ヘイムリ所長は本紙の新年インタビューに対し、「韓米同盟は根本的に強固だが、韓国の『3つのノー』で試練に直面している」と指摘した。

 「3つのノー」をはじめ、韓国政府の「親中傾向」について、ワシントンのシンクタンクの韓国専門家は「なぜ韓国は親中をてこに米国を動かそうとするのか。同盟国である米国との関係を緊密化させ、中国に圧力を加えるほうが有利ではないか」と疑問を投げ掛けた。別の専門家は「仮に韓中首脳会談での記者暴行事件のような事件が米国で起きれば、恐らく反米デモが起きたことだろう。韓国は同盟国である米国よりも中国に寛大だ」と皮肉った。

 韓国が開城工業団地再開を北朝鮮との交渉カードとして使うならば、韓米関係を脅かしかねないとの指摘もある。エバンス・リビア元米筆頭国務副次官補は「そんな状況が生じれば、韓米関係の危機を回避する方法があるとは思えない」と語った。

 2004年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)・ブッシュ政権時代に、米政策シンクタンク、ケイトー研究所のダグ・バンドー研究員らは『韓国と離婚しろ』と題する本で、米国が経済・社会的負担を負ってまで韓国の安全保障に責任を持つ理由はないと主張した。
(引用ここまで)

 北朝鮮の開城(地名)にある韓国資本の工業団地である「開城工業団地を閉鎖したのはパク・クネによる超法規的措置であった」という統一部による積弊清算委員会からの報告がありまして。
 昨日のエントリに書いたことですが。
 それに対して北朝鮮への制裁強化を世界に呼びかけているアメリカは、即座に「我々は工業団地の閉鎖を支持している」との反応を起こしています。
 これがあったのが去年の年末。

 ムン・ジェインにとって開城工業団地は金大中が呼びかけ、ノ・ムヒョンによって操業まで持っていったという取り戻すべき遺産のようなものなのです。
 しかも、操業停止にしたのはパク・クネであり、大統領選挙中の公約としても再開を訴えていたものです。
 是が非でも再開したいというのは本音でしょうね。
 これらの事情に加えて、開城工業団地に進出していたのは多くが軽工業の中小企業であったということも、財閥大嫌いで中小企業を伸ばすという政策方針のムン・ジェインにとってマッチする部分でもあります。
 ただ、これをやったら米韓関係はノ・ムヒョン政権時代以下の状況に陥るでしょう。

 実際問題、ノ・ムヒョン政権時代には米韓関係はほぼ崩壊していました。
 ゲーツ国防長官はその回顧録で「ノ・ムヒョンはちょっと頭のおかしい人物だと思った」と語っていましたが。他国の国家元首に普通はこんなことは書きませんよね。
 で、現在のムン・ジェイン政権はそのノ・ムヒョン政権直系の後継政権といってもいいもの。
 必然的に米韓関係はよくてその当時と同等、悪くすればそれ以下の状況となるでしょう。

 「若干の反米傾向」なぁ……。
 もうブッシュ政権当時の外交ブレーンとかいないんですかね。CSISとかはこういうシーンで助言する立場にあると思うのですが。
 表に出てこないだけでムン・ジェイン政権の分析は終わっているのだろうとも思いますけどね。

イラク・アフガン戦争の真実 ゲーツ元国防長官回顧録
ロバート・ゲーツ
朝日新聞出版
2015/11/20