【社説】雇用状況表示板まで掲げたが最悪に進む青年失業=韓国(中央日報)
韓国政府も避けられなかった最低賃金のアイロニー…外国人相談員7人解雇(中央日報)
新政権が発足した昨年、韓国の青年たちは最悪の就職氷河期を経験していたことがわかった。「働き口政府」を標榜して青瓦台(チョンワデ、大統領府)に雇用状況表示板まで掲げた画、きのうの統計庁によると昨年の青年失業率は9.9%を記録した。2000年から現在の方式で統計を作成し始めてから最悪だ。新政権発足から8カ月は決して短くない期間という点から急激な最低賃金引き上げと非正規職の正規職化などを掲げた既存の雇用政策に深刻な問題があることを表わしている。

だが軌道修正の可能性は見えない。最低賃金急上昇の後遺症は大きくなっているが、現政権が「混乱はあっても必ずやらなければならない」として既存の政策を固守しているためだ。文大統領はきのうの新年辞で「一時的に一部限界企業の雇用が減ることはあるが、定着すればむしろ経済が回復し雇用が増えるのが大筋の傾向」と話した。それとともに「(最低賃金1万ウォン政策は)低賃金労働者の生活の質を保障し、家計所得を高めて所得主導成長の基盤になるだろう」と強調した。

現実は異なる。韓国は1360万人の賃金労働者の88%が従業員250人未満の中小事業所に雇用されており、600万人の自営業者の相当数は家族労働に頼ってどうにか事業をしている。最低賃金が急上昇するので雇用凍結や減員を通じて生存を模索している。政府も例外ではない。雇用労働部傘下の外国人材支援センターは最低賃金引き上げで人員を維持するのが困難になり相談員7人を解雇したことが明らかになった。
(引用ここまで)
タイから移住したAさんは地域外国労働者支援センターで働きながら国内滞留中であるタイ国人勤労者と移住女性の生活相談をしてきた。だが、Aさんは新年に入って突然職を失った。最低賃金の引き上げにより雇用労働部が一部のセンター相談員に対する支援を減らしたからだ。2010年から働いてきたAさんは「多くない給与を受けて働きながらもやりがいを感じた」として「賃金の引き上げは望まなかったが、なぜ職を失わなければならないのか納得できない」と話した。

最低、賃金の引き上げを押しつけた政府もその逆風を避けられずにいる。最低賃金の引き上げに人件費負担が大きくなると、雇用人員を縮小した事例が初めて確認された。9日、雇用労働部によると、全国34外国労働者支援センター(小地域センター)で働く相談員のうち国庫支援対象者が昨年59人から今年52人に7人縮小された。
(引用ここまで)

 賃金が高騰して、雇用が細る。
 特に弱者の雇用が細る。

 これ、ヨーロッパでも同じようなことが起きていまして。
 一定以上のスキルを持っている人材はすいすいと就職、転職を繰り返してキャリアを積み上げることができるのですよ。
 企業でスキルアップしてさらに上を目指すなんてことも可能。
 新卒でも一定以上の学歴を持っている人物は採用してもらえる。
 逆にそうでない人材はとことん就職難。

 Twitterとかで「ヨーロッパの職場は給料たっぷり、残業なし、さらに長期休暇もたっぷり。それに比べて日本は……」なんて書かれているのは上澄みの部分だけ。
 スペインの失業率は25%前後で安定っていうとんでもない状況から20%を切るくらいには収まりつつあるのですが、若年層失業率はいまだに44%。
 同様に経済が立ち直りを見せつつあるイタリア、フランスあたりも若年層失業率は高いまま。
 これが大きな社会不安要素のひとつとなっているのです。
 フランスはとにっきでも「スリが多い!」って描かれてましたね。持ってたiPhoneを強奪されそうになってクレープがおいしかったと。
 少なくない人間がそのまま就職という経験ができないまま20代を過ごすなんてことも珍しくないという状況。どこかで聞き覚えのある話ですね。
 ちなみにフランスも世界で指折りに労働組合が強い国として知られています。

 さて、翻って韓国の「青年層失業率」は9.9%。
 これ、数字のトリックがありまして。
 若年層失業率は15-24歳のそれを扱うのが標準なのですが。韓国の場合はなぜか15-29歳の「青年層失業率」にしているのです。
 危なかった、国際標準として扱われている15-24歳の若年層失業率にしていたら2桁に突入して死んでいたところです。
 なお、もはや求職すらしていない人数等を含めた実質失業率は去年の7月で23.4%の模様

 記事によれば韓国の賃金労働者の88%は中小企業で働いている。
 ここの範疇にいる大半の労働者にとっては、くじ引きで馘が決まるようなもの。
 逆にいえば12%の大企業で働いている労働者にとっては利益があることなのでしょうね。最低賃金が1万ウォンになったらもう、そりゃウハウハでしょうねぇ……。
 ただ、大企業でも人手が必要となる軽工業では、京紡のように工場設備もろとも海外脱出が続くでしょうが。ウォン高も進んでいることですし。

 ちなみに韓国政府も対策はしていまして。
 「経営が苦しいからといって解雇するのはよくない」とか「海外脱出は自制してもらいたい」とか言っています。
 ……言ってるだけね。
 「多少の解雇はあっても全体の賃金は伸びるはずだ」とかムン・ジェインも新年会見で言っていて、来年も恐らく1000ウォン前後の伸びを見せるのでしょうが。
 まあ、支持層には受ける政策だからよいんじゃないですかね?

フランスはとにっき 海外に住むって決めたら漫画家デビュー (RYU COMICS)
藤田里奈
徳間書店(リュウ・コミックス)
2016/7/31