【コラム】マニュアルの力(朝鮮日報)
<平昌五輪>日本の「防寒準備物」…「日本人の決定不安が完ぺき主義に」(中央日報)
 ソウル市内の新村セブランス病院火災と慶尚南道密陽市の世宗病院火災の明暗を分けたのは「マニュアル」だった。火災発生時にエレベーターを使わないのは常識だが、世宗病院ではこの常識が通用せず、エレベーター内で6人が犠牲になった。しかしセブランス病院では違った。事前に作成したマニュアルの内容を職員たちは訓練を通じて体で覚えていたため、被害を最小限に食い止めることができたのだ。

 セブランス病院の火災発生時マニュアルを見ると、病棟ごと、あるいは階ごとに避難経路を明確にし、その上で「火災発生現場の反対側にある○○に移動→連結通路の○○に移動→6階の○○に移動」という具合に具体的な指示が記載されている。エレベーターについても火災時は「使用禁止」ではなく「停止した階で直ちに下り、階段で避難」と明記されていた。複数の専門家が「韓国国内でこれほどのレベルにある病院はない」と称賛するほどだ。

 しかし「マニュアル大国」と言われる日本はこれをさらに上回る。かの有名な防災ブック「東京防災」は338ページからなり、さまざまな状況を想定して非常に詳しく書かれている。例えば「(地震発生時)エレベーター内にいるときは全ての階のボタンを押し、最初に止まった階で下りる」「飲料水は4人家族で2リットル入りのペットボトルを12−30本確保する」といった具合だ。

 災害時のマニュアルだけではない。「無印」ブランドで韓国にも進出している「無印良品」には「ムジグラム」と呼ばれる店内マニュアルがある。経営の秘訣から商品開発、売り場のディスプレー、接客などほぼ全ての分野でいかに対処し管理すべきかが2000ページに上る冊子にまとめられている。(中略)

 もちろんマニュアルにばかり依存していると、想定外の状況で臨機応変に対応できない受動型の社員ばかりになるとの指摘もある。しかしこれは少なくともマニュアル無しの状況が常態化している韓国が言うべき言葉ではない。
(引用ここまで)
「日本は準備を徹底する国か、そうでなければオーバーな国か」に対する論争は今更のことではない。

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)開幕を控えた日本は練習試合と予選第1戦が予定された京セラドーム大阪と福岡ヤフオク!ドームのマウンドやブルペン、打席を改造した。準決勝と決勝の舞台である米国サンフランシスコのAT&Tパークのような環境を作るためだった。

米国の球場の土は、日本のそれに比べて相対的に固く足が取られにくい。日本の選手が前もって米国の土を体験できてこそ優勝に近づくだろうという判断だった。日本はAT&Tパークマウンドの土と同じ質の「マウンドクレイ」を空輸した後、マウンドに深さ6センチの長方形の穴をいくつか空けて、200個の泥の塊(パック)を埋めた。

結果的に日本は第1・2ラウンドを通過してサンフランシスコ行きには成功したが、準決勝でプエルトリコに負けてしまった。「球場の土への適応」訓練まで終えたが、結局その甲斐はなかったと言える。 (中略)

日本政府は「過度に険悪な雰囲気にする」という議論の中でも、北朝鮮のミサイル発射時の待避要領をまとめた指針を学校にまもなく配布するという方針を固めた。学校別に危機管理マニュアル作成の基準になる既存の指針書にミサイル発射に備えた行動要領を大幅に追加するという。例えば、「安全確認が取れるまで待機し、身の安全を確保することが必要」などの行動要領が入る予定だ。すでに全国都道府県自治体の85.1%、市町村自治体の66.6%が個別に学校と協議してすでにミサイル発生時に備えた学生の避難方法を決めている。

これだけではない。先月22日、東京の中心で初めてミサイル避難訓練が行われるなど全国47都道府県の自治体のうち、すでに30前後の自治体で避難訓練を実施した。間もなく国会でも同じような訓練が行われる予定だ。

ミサイル避難訓練でなくても、火災・地震など災害に備えた訓練は日本人にとってはすでに日常になった。中央日報東京総局が入っている東京銀座の時事通信ビルの場合、3月初め、各事務室の消防担当者1人以上の参加が義務付けられた合同訓練が実施される。火災の発生を前提にした非常口避難訓練などが実際の状況さながらに行われる。年に1回は東京銀座の中心の大通りに集まり、消化や心肺蘇生術などの応急措置も練習する。各事務室の消防担当役割を担当する人は所定の防災教育を履修した後、資格証を取らなければならない。事務室ごとに例外は全くない。

日本人のこのような完ぺき主義をめぐっては肯定的な評価ばかりではない。生涯を「日本人研究」に捧げた南博・一橋大学名誉教授は著書の中で、日本人特有の完ぺき主義に対して「自我の不確実感や決定不安などの日本人の特徴が、結局、自分自身に一層の努力を要求する強迫的傾向として出現する」と分析した。

日本式の完ぺき主義なのか、でなければただのオーバーなのか−−。日本人をめぐる論争は現在進行形だ。
(引用ここまで)
 ちなみに冒頭のセブランス病院(延世大学病院)であった火災では88人が怪我を負ったそうですが、スプリンクラーがあって、しかもちゃんと作動したとのこと。
 ちゃんと避難経路なんかも計画にあったそうですよ。

 さて、本番前の予行演習って大事ですよね。
 以前に「LAでのBABYMETALコンサート会場に下見に行った。宿から何分かかるか、ネットで見れても実際とは異なることがあるから」というようなことを書きましたが。
 そういった集合知がマニュアルだという言い方もできると思うのですよ。

 たとえば朝鮮日報の記事にある無印良品のそれは店員としての体験が集まったものなのでしょう。
 Aという事態のときにどういう対応だったか、Bではどうだったかといったものの積み重ね。
 言ってみれば「行動の最適化手段」であって、一般的にいわれている「マニュアル」とはちょっと異なっている。
 うちの下見も、自分の中のマニュアルに従った行動ですね。

 韓国人は冷笑的に「日本はマニュアル社会だ」とか言うことが非常に多いのです。
 たとえば聨合ニュース日本支社長なんかもそうでしたし、来日当初のソンウ・ジョンなんかもそうでした。
 これは逆説的に躍動的でマニュアルなんて必要ない韓国人は優れている、マニュアルでがちがちの日本社会は硬直しているのだ、という話をしているのですけどね。

 そんなマニュアルレス社会がセウォル号を沈ませて、ビルを傾かせて、火災による死者を増やしているわけですが。
 でもま、それこそが韓国社会なので。
 これからもまったく同じような事故が起き、同じような非難があがり、「これではまるで後進国のようではないか」と嘆き、そしてのど元を過ぎてなにもなかったかのように元に戻るのです。

 お、今日の3本のエントリはちょっと韓国ウォッチャーぽいのが続いたな。