見た目を理由に出国が保留された1960年代の韓国社会(朝鮮日報)
 韓国の看護師のドイツ派遣史が始まった1966年1月、小さな騒動が起こった。ある新聞の報道によると「保健社会部(省に相当。保社部)が最初の派独看護師に選んだ128人のうち8人が、『顔がきれいではない』という理由により土壇場で出国保留になったため、該当者が当局に陳情して無念を訴えた」というものだ(京郷新聞1966年1月14日付)。

 一部の看護師の出国を保留したのは韓国政府の当局者ではなく、ドイツ派遣をあっせんした現地西ドイツの病院に務める韓国系医師、と記事は伝えた。こんにちの韓国では信じ難い事件だ。8人のドイツ行きが実際に挫折してしまったのかどうかは、確認が難しい。だが当時、保社部は「当該看護師の出国を引き続き推進したい」と表明し、後日の記録にも「最初の派独看護師は128人」となっているので、全員が最終的には出国したのではないかと推定される。いずれにせよこの騒動は、かつての見た目差別の断面を示す事件だと感じる。

 79年、とある大企業の秘書室長が女性秘書を1人採用するため、およそ20の大学に電話をかけた。この秘書室長は、選抜基準として「最も重要なのは容貌端正であること、すなわち美人でないといけないということです」と言った。その時代、大学生までもが不美人な女性を「ミス民主」「地方自治」などの隠語で呼び、笑っていた。目鼻立ちが勝手放題、という意味だった。 (中略)

 見た目で就職差別される問題は、現在も消えていない。少し前に、顔の片側が腫れた外見をしているという理由でコンビニの採用を拒否された人が、国家人権委員会に陳情した末、「差別に当たる」という判断を得た。人権委は、そのコンビニの代表に対し特別人権教育の受講も勧告した。

 一時は公務員を採用するときも見た目を注文していた国家機関が、今では「見た目の平等」を冷厳に宣言し、差別論者を叱りつけている。50年という歳月がもたらした大変な変化であり、発展だ。
(引用ここまで)

 50年で韓国人は見た目の平等を宣言し、発展した……か。
 まあ、それに関して発展したというのは間違いないと思うのですよ。
 少なくともパラリンピックに対して「こんなものを放送するな!」というクレームは出なくなったのではないでしょうか。
 かつてはあったとのことですし、「韓国では身障者は見当たらない、外に出ようとしないからだ」という話があったくらいの差別大国だったものが新設される駅にはバリアフリーが導入されるようにはなっています。

 ただ、それと美醜を基準とする志向がなくなったとするのは大きな間違いですよね。
 世界に冠たる美容整形大国であり、超大手企業に就職するためには男女とも整形をしなければならない
 実際に就職にどう作用するかはともかく、そういう認識があるという時点で自分の中に「美醜が得点になる」という意識があるということですからね。
 勉強、資格取得、留学、ボランティアといった「得点」を重ねた上で、まだ整形もしなくちゃいけない。


 こういった地下鉄の広告を「外見至上主義を助長する」ということで撤去する方針をソウルメトロは打ち出しましたが……。
 ちなみに書いてある内容は「自然なアイライン ワナビー整形外科で手に入れろ! 鼻先のプライドはワナビー整形外科で立てろ!」です。整形通りとして知られている狎鴎亭駅はこんな広告が山ほどあります

 美醜で表立った差別はなくなっても、より内側に入りこんでいるからこそこれほど美容整形が拡がっているのではないかと思いますけどね。
 去年の1月だったかにソウルの地下鉄で席に座ったときにほぼ同じ顔をした女性が左右に座り、かつ前にも立っていて、ホラー感とディストピア感を同時に感じたものでした。