「我われの勝利で制裁は3月に緩む」 当局が国内で根拠なき宣伝 制裁影響深刻なせい?(アジアプレス)
2月23日に中国税関当局が発表した貿易統計によると、今年1月の北朝鮮からの輸入額は約4700万ドル(約50億円)にとどまり、前年同月比で77%も減少した。

昨年8月以降に本格化した国際社会の経済制裁。石炭や、鉄鉱石、海産物などの北朝鮮からの輸入禁止、合弁事業の制限、石油製品の輸出制限などが維持されており、北朝鮮国内では経済悪化が進んでいる。

鉱山や水産業の中には操業中断に追い込まれた事業所も出ている。また、燃料価格の上昇によって物価が上がり、軍隊では物資輸送に牛車を使う部隊も出ている。

ところが北朝鮮国内では、制裁が緩和されるという話が広がっているという。22日、北部両江道の取材協力者の女性に、その内容と根拠を尋ねると、当局が住民向けの宣伝に力を入れているとして、次のよう述べた。

「女性同盟の会議で、『(平昌五輪で)南朝鮮に応援団が行き、会談までしたので、経済封鎖を受けているが、もう少しすれば我われの勝利で終わる』という講演をした。また、市の宣伝部の人が(地域を)回って情勢講演をしており、『制裁はすぐに緩まる。3月から油の値段も下がる』と説明をしている」

この女性は、当局の説明をそのまま受け取る人はいないだろうと付け加えた。
(引用ここまで)

 北朝鮮国内では燃料価格が上昇している、だけではなくもう純粋に燃料が不足している状況。
 農家から軍が食料を運搬するような場合はガソリン車ではなく、牛車や石炭車を使っているとの話。できるかぎり石油関連の消費を抑えようとしているのですね。
 これまで北朝鮮は国内への配給すら滞らせながらミサイルと核の開発を行ってきたわけですが、それももはや限界のレベルに達しようとしている。
 制裁がじわじわと北朝鮮経済を締め付けているのは間違いないようです。
 まあ、そうじゃなかったら経費を使った上で拿捕の危険性がある瀬取(海上での荷の交換)をやってまで原油を入手しようなんてやりませんわな。

 そんな中、「3月には我々は勝利する」という喧伝が北朝鮮国内で出ているという話が出てきました。
 なんかこう、聞いたことがあるような構造だなーと思っていたのです。
 今朝になって思い当たりました。

 戦中に旧日本軍が行っていた核兵器開発(F研究・二号研究)は極秘裏に行われていたものなのですが、戦況が厳しくなるにつれて軍からじわじわと「いま軍ではマッチ箱ほどの大きさで都市を壊滅させることのできる新兵器を開発している」という話が漏れ出ていたというのですよ。
 空襲が繰り返されている状況で「まだ逆転の手がある」というような形で情報が流出していたというようなことなのですが。
 まあ、その後になにが起きたかはご存じの通り。

 似たような形で「我々は○月には勝利する」という話が北朝鮮当局から流布されている。
 つまり「いまは苦しいが、我慢していれば我々は華々しい勝利を得られる」と喧伝しているわけですね。
 なかなか面白い事態ではあるなぁ……と感じました。 珍しく韓国の話題を絡めない純北朝鮮エントリでした。

北朝鮮で何が起きているのか ――金正恩体制の実相 (ちくま新書)
伊豆見元
筑摩書房
2013/9/10