文大統領「臨時政府が建国のルーツ」と宣言…「歴史の主流に据える」(ハンギョレ)
 文大統領は同日、ソウル西大門(ソデムン)刑務所歴史館で開かれた三・一節記念式典で、「三・一運動で樹立した大韓民国臨時政府の憲法は、大韓民国が民主共和制であり、国の主権が国民にあることを明白に記した」とし、「それが現在の大韓民国憲法第1条となった」と述べた。彼は「大韓民国臨時政府は、韓国に憲法第1条だけでなく、大韓民国という国号や太極旗、愛国歌という国のシンボルを後世に受け継いだ」とし、「大韓民国が臨時政府の正統性を継承していると、韓国の憲法が明らかにしているのもそのためだ」と強調した。
(引用ここまで)

 ムン・ジェインの3・1節での演説周辺のニュースを見ていて遅ればせながら気がついたことがあって、かつおそらくこれは少なくとも日本ではどこも言及していないであろうと思われるのでピックアップしましょう。 
 今回の演説が行われたのは西大門刑務所歴史館。
 韓国人の多くが「日本からの独立を記念して作られた」と勘違いしている独立門がある場所ですね。

 西大門刑務所歴史館は独立運動家を拷問している蝋人形なんかが展示されている場所です。
 その場所で3月1日に黒い外套を着たムン・ジェインが韓国国旗と独立運動家に囲まれている。
 このシチュエーション、まさに3・1独立運動を模しているのです。

 これにはふたつの意味が込められていまして。
 ひとつは「(現在の)韓国の建国はこの3・1独立運動にある」とするもの。すなわち、ムン・ジェインが推し進めている保守派の根切り政策にも関連しています。
 ムン・ジェイン政権はかねてから「韓国の建国は1919年である」という主張をしていて、これが韓国国内でそこそこ大きな問題となっているのは、保守と革新の間で認識に大きな隔たりがあるのですね。左右葛藤の一因ともなっています。
 保守派のいうところの1948年の建国は、ムン・ジェインらの認識としては「政権樹立」に過ぎない。その前の日帝強占期、その後の軍事政権も違法である。
 我々こそが独立運動の志を継いだ正統なる韓国の主であるというアピールなのです。

 もうひとつの意味は対日外交でムン・ジェインが強硬的な政策を執るという宣言。
 「加害者である日本が『慰安婦問題は終わった』などと言うな」という演説内容だけで判断してしまいがちですが。
 演説場所の選択、そしてムン・ジェインの服装といったシチュエーションも併せてみたときにより強力なメッセージとして韓国人に伝わっているのです。
 オバマ大統領(当時)の広島訪問において政治的な問題から演説の言葉に謝罪はなくとも、訪問そのもので気持ちは充分に伝わったのと同じようことですね。意味合いは真逆ですが。

 というわけで日韓関係はこれからもこじれる。そんな宣言をムン・ジェインは1日に行ったのです。
 アメリカがどこまで韓国の地政学的位置に価値を見いだすのかによって、日本が韓国から離れることのできる距離は異なるとは思いますが。
 ここ数年の感触としては、あまりにもコウモリ政策をやりすぎてアメリカからも見放されつつあるというところではないかと思われます。
 ま、その一方で韓国との距離を取りすぎると対中国の最前線が日本列島になってしまうという意味でもあるのですけどね。

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能勢 伸之
文藝春秋
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