【コラム】誤った報告が国を誤らせる(朝鮮日報)
 427年前に日本に派遣された朝鮮通信使ほど韓国の歴史で長年非難される特使団はいない。誤った報告が国を誤らせたと厳しい評価を受けている。壬辰倭乱(文禄・慶長の役)をテーマにする時代劇には必ず登場する有名な場面がある。王が日本から帰った使節に聞いた。「必ず戦争が起きる」という意見と「戦争が起きるような情勢は見られなかった」という意見に分かれた。論議の末、平和論を支持し、王もその道を選んだ。その結果、無防備で日本の襲撃を許したというストーリーだ。

 当然戦争の可能性を否定した側が罪人になった。特使団の副使として加わった金誠一(キム・ソンイル)だ。彼に対する責任追及は一時代では終わらず、情勢を見誤った無能な人物として批判された。 (中略)

 秀吉は明と戦うから、朝鮮は道案内をしろと要求した。しかし、1年もたたずに日本は明と交渉し、朝鮮八道の半分を手に入れる方向へと目標を改めた。実は本来の目標がそうだった。北朝鮮は「我々の核の手中に米国がある」と大言壮語する。それでいて、「我々は一つだ」と韓国に手招きする。北朝鮮は米国と渡り合うのに韓国に道案内しろと言っているのだ。北朝鮮も承知の上だ。彼らの目標は韓国に米国行きの案内役をさせることだ。米国との核交渉で米国を縛り上げ、次に韓国を呑み込もうとしているのだ。北朝鮮がこの目標を放棄したことはない。

 このほど北朝鮮から戻ってきた特使団が6項目の南北合意を発表した。うち北朝鮮が核兵器だけでなく、従来式兵器も韓国には使用しないと確約したとする5番目の項目に悲哀を感じる。道案内さえしてくれれば殺さないと言っているようなものだ。

 今回の特使団は同じ世界観、歴史観を共有する人たちの集まりだ。北朝鮮に対するバラ色の偏見も似ている。特使団は金正恩(キム・ジョンウン)の大歓迎を受けた。命令を受けて動いた人がその結果を報告することを「復命」という。北朝鮮への特使団の復命は昔の日本への特使団の復命と同様に歴史的に重要だ。このほど明らかになった彼らの復命は、金誠一の平和論よりも時代錯誤的だ。特使団の平和論に心が傾いていることにも昔と同様に暗うつな思いだ。偏見、派閥、おびえ、そして報告が国を誤らせるということは決して過去の話ではない。
(引用ここまで)

 秀吉に派遣された朝鮮通信使の副使であったキム・ソンイルの報告によって、李氏朝鮮はなんら迎撃の用意なしに日本軍を向かえたのでたかだか三ヶ月ほどで一気に平壌まで攻めこまれた、という説もあるのですね。
 まあ、そのせいで兵站が伸びきってしまったという側面もあるのですが。というか、その時点で満州にまで攻め入ってた隊もあるほどでどんだけ守備の用意をしてなかったんだって話なのですけども。

   この正使と副使の諍いやらなんやらが、今回の北朝鮮に派遣された特使に重なるというソンウ・ジョンのコラム。
 これ、ちょっと感じていまして。何度か書こうとしていたのです。
 それに加えて江戸時代に入ってから朝鮮通信使を招こうと必死になっていた対馬藩宗氏が朝鮮、日本双方の国書を偽造していたという事件があったのですが、それもちょっと重なる感じですかね。気になったら柳川一件で検索してみてください。
 んで、そのふたつをからめながら書いていたら、どっちつかずになったのでお蔵入り原稿になったのですけども。

 今回の特使団が韓国政府、アメリカ政府に嘘をついていないのかって部分は注目点だと思います。
 「嘘」までいかないにしても、韓国にとって都合のいい話になっていないかというところですね。
 この記事でもあるように「北朝鮮に対してバラ色の偏見」を持っているのが韓国与党の人々ですから。
 なにしろ、政権ナンバー2の大統領秘書室長は学生運動で代表を北朝鮮に送り込んで実刑判決を受けた人間ですし、天安艦撃沈は北朝鮮の仕業ではないと主張する人物までいます。
 そういった「バラ色の偏見」を持つ人間だからこそ、特使団全員がキム・ジョンウンのお言葉をメモするような珍風景が繰り広げられた、というわけです。
 今回の韓国による対北朝鮮外交、「おそろしく細い糸の上を命綱なしで綱渡りしている」という自覚がない感触があります。
 何度か書いているように米朝首脳会談さえ開催されたらすべてが解決するというように思いこんでいないか、という懸念ですね。