韓国政府、世界初の「少子化税」検討(朝鮮日報)
【社説】過去最大となった韓国の私教育費、このまま放置するのか(朝鮮日報)
 韓国政府は出生率を引き上げるために思い切った育児費用支援策が必要だと考え、これに必要な莫大(ばくだい)な財源を調達する目的税の新設を検討している。仮称「少子化克服のための目的税」(以下、少子化税)だ。実現すれば世界初の試みとなる見通しだ。 (中略)

 少子化税は地方教育税や交通エネルギー環境税のような目的税を新設し、基金(仮称:未来世代特別基金)を設ける案だ。世界には社会保障税を掛ける国があるが、少子化税の導入は例がない。用意する財源の規模や具体的な徴収方法などは関連研究を通じて具体化される見通しだ。政府のある関係者は「税金を賦課して数兆ウォン(数千億円)の特別基金を設ければ、出産・育児手当はもちろん、住居費支援などさまざまな事業にも広げられる」と語った。別の関係者は「財源の額に応じて第二子から1億ウォン(約1000万円)のバウチャー(公共サービスなどを受けられる引換券)を与える対策も可能だ」と説明した。

 政府がこうした方策も検討しているのは、少子化問題が国を揺るがしかねないほどの問題になっているためだ。韓国の合計特殊出生率は昨年、過去最低の1.05人まで低下した。これは、1人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までの間に1人しか子どもを産まないという意味で、経済協力開発機構(OECD)加盟国で最下位だ。韓国経済をけん引する生産可能人口(満15歳から64歳まで)も既に昨年から減少し始めている。

 金東ヨン(キム・ドンヨン)経済副首相兼企画財政部(省に相当)長官も4日の幹部会議で、これまでの対策を全面的に見直しし、上半期中に特段の対策を立るよう指示した。政府は「この12年間に126兆ウォン(約12兆6000億円)をつぎ込みながらも少子化問題を解決できなかった」と批判されている。
(引用ここまで)
 韓国小学生、中学生、高校生のための私教育費用が昨年1人当たり月27万1000ウォン(現在のレートで約2万7000円、以下同じ)に上ったことがわかった。これは国が調査を始めて以来最高の額だ。前年比では5.9%増で、増加の幅も過去最高だった。国は私教育費の総額が18兆6000億ウォン(約1兆8500億円)だったと明らかにしたが、おそらく実際はその数倍に達するだろう。2009年からの3年間、私教育費は一時的に減少した。学校で放課後などに様々な形の講座を設け、塾などの需要の多くを吸収したからだ。また英語ではネイティブの講師を雇い、学校で生きた英語に触れられるようにしたことも大きかった。ところが多くの学校ではこれらを継続することができなかった。クラブ活動も同じく活性化を目指したものの、派手に注目されたのは最初だけだった。皮肉にも昨年私教育費の増加幅が最も大きかったのがまさにこの体育と美術だった。いかなる政策でも忍耐強く続けていかなければそれなりの効果は得られないが、今の政府は前政権で行われた教育政策の多くをひっくり返してしまった。

 韓国では合計特殊出生率が世界最低の1.05人を記録したが、これは若い夫婦にとって子供を生めば巨額の教育費が必要になることが目に見えているからだ。子供が高校を卒業するまでに必要な教育費は平均で8552万ウォン(約850万円)と言われているが、ある金融機関の調査によると、その中で私教育費が占める割合は75%にあたる6427万ウォン(約640万円)に達するという。国は「教室革命と公教育の革新で私教育を減らす」と約束しているが、実際は何もやっていない。
(引用ここまで)
 合計特殊出生率が1.05になったことを受けて、韓国政府がふたつの対策を打ち出してきました。
 ひとつは「出生率を指標としない」というもので、なかなかの画期的な方策であるということで楽韓Webでも注目しています。
 んで、今回は対策財源として「少子化税」というようなものを設立しようということですね。

 10年間で80兆ウォン以上。2005年に出生率1.08を記録してからの12年間で120兆ウォンを費やして、その結果として1.05にまで下がっているというのは他の理由を考えるべきなのですよ。
 で、その大きな原因のひとつと韓国で考えられているのが私教育費の高さ。
 韓国では上位の企業に入るために「スペック」と呼ばれる履歴書の項目羅列が必要だと考えられているのです。日本でも同じような傾向はありますが、韓国の苛烈さは日本のそれなんか比ではないというのが実情。

 ただ、私教育費が単純に高いというのであれば、それほどの負担でもないのですよ。
 韓国の場合の問題は、どれほど高い教育費を払ったところで実際に上位企業に就職できるかどうかは分からないということなのです。正社員として就職できるのは新卒の1/3
 新卒のうち、高給とされている10大財閥が吸収できるのはおそらく1%にもならない。30大財閥で1.67%という数字が出ています。
 昨今の状況であれば、2015年のこの数字からさらに悪化しているのは間違いないでしょう。

 ムン・ジェイン政権の「最低賃金を一気に上げよう」という経済基本政策は、こういう苦しさを緩和しようという方向性ではあるのですが……実効性が……ね。
 結果としてヘル朝鮮度合いに拍車をかけているのですから、笑えない。
 こういった構造を変革するには「5年では短い」というわけで改憲したいということなのでしょうけどねー。

人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書)
河野稠果
中央公論新社
2007/8/25