韓米間で主張の食い違いが続く「為替合意」(朝鮮日報)
韓米FTA:凱旋から一転、苦しいの言い訳を並べる韓国政府(朝鮮日報)
 米国の鉄鋼関税免除と関連づけられる形で韓米自由貿易協定(FTA)の改定が原則合意に至ったが、韓米両国の為替問題を巡る発言が食い違っている。米ホワイトハウス、通商代表部(USTR)は、鉄鋼と韓米FTA、為替問題が「パッケージ」で議論されたとの立場だ。しかし、韓国政府は韓米FTA改定と為替関連の協議は全く別個であり、米国が不必要な誤解を呼び起こしていると主張している。 (中略)

USTRのライトハイザー代表は同日、CNBCに出演し、「鉄鋼、為替、韓米FTAの3分野でそれぞれ合意した。3つの合意は独立した問題のように見えるが、全体として韓米の通商関係を規定するものだ」と発言した。

 一方、韓国政府は韓米FTA改定交渉と為替関連の協議は別個だとする立場を繰り返した。企画財政部関係者は29日、「米国が今年初めから韓米FTA改定交渉と為替をリンクさせようとしたが、強く拒否した」とし、「米国が韓米FTAの交渉結果発表過程で不必要な誤解を呼び起こしたことに強く抗議する」と表明した。同関係者は「為替は多国間の問題であり、米国との二国間交渉で扱う問題ではない。USTRが米国内でFTA交渉の成果を誇示しようとしたのではないか」との見方を示した。
(引用ここまで)
 韓米自由貿易協定(FTA)改正交渉後、「米国には見た目はいいが使えないものしか与えなかった」「祝い酒を飲もう」と自画自賛していた韓国政府が、米国と為替問題で合意したという事実が明らかになると、言い訳を始めた。

 金鉉宗(キム・ヒョンジョン)通商交渉本部長は29日、大統領府のインターネット放送に出演し、「26日(の交渉の結果)記者会見で為替レートに言及しなかったのは事実だ。しかし、サッカーをしに来た選手に『なぜ野球について話さないのか』と尋ねる質問のようだ」と言った。金鉉宗本部長はこれより前、今回の交渉を、契丹(きったん)と渡り合って高麗の領土を広げた賢臣・徐熙(ソ・ヒ)の交渉になぞらえていた。 (中略)

 企画財政部は28日と29日の二日間弁明し、米国に不必要な誤解を招いたことについて強く抗議したしたという。大統領府関係者も30日、「鉄鋼とFTA改正交渉はサッカーの試合をしたもので、為替レートの問題は全く別の時期に別の競技場で野球の試合をしたものだ」と言った。

 梨花女子大学の崔炳鎰(チェ・ビョンイル)教授は「FTA交渉と為替交渉が、産業部と企画財政部がそれぞれ米通商代表部と財務省を相手に行った『サッカーの試合』と『野球の試合』だったとしても、結局は韓国代表チーム対米国代表チームの総合競技だ。凱旋(がいせん)将軍のように成果を吹聴した政府の説明は苦しい言い訳に過ぎない」と批判した。
(引用ここまで)

 韓国政府は鉄鋼関税を避けるために、アメリカから求められていた米韓FTAを改定したわけですが。
 FTA改定自体は自動車輸入規制緩和と韓国国内の保険での国内製薬企業優遇の取りやめくらいで終わっていて、交渉担当者は「これで鉄鋼関税を回避できた。韓国の大勝利だ」といった物言いだったのですね。
 下の記事にあるように自らを「徐熙のように交渉をしてやった」と自画自賛。

 徐熙は契丹(遼)が攻めこんできたときに単騎で敵陣に向かい交渉した将軍で「契丹に対して服従するように見せかけ領土を広げた」という交渉のやり手であるとされています。
 「恭順したいのだが我らの国境付近には蛮族が多く、皇帝にお会いするにも危険が多い。その蛮族を掃討する資格をもらえるなら恭順いたしましょう」という建前で契丹側から領土を割譲してもらった……だったかな。
 契丹としても宋と高麗という両面作戦を避けたかったことから、そのていどの割譲であればということで合意ができたという歴史的な事実があります。

 交渉結果がFTA改定だけであれば、まさに徐熙の交渉手腕のごときと謳われてもおかしくないと思いますが。
 実際には鉄鋼について過去3年間の輸出実績の平均70%までしか輸出を認めないクォータ制導入がありました。
 さらに韓国政府の為替介入について透明性を確保するというアメリカがかねてから求めていた結果を差し出してしまった。
 アメリカからしてみれば海老で鯛を釣るどころではない大成果といえるでしょう。

 楽韓Webでは米韓関係の状況から見ても関税免除にはいかないと予想していましたが、それ以上の成果を上げることになったわけです。
 外需依存が高い韓国において、為替介入は通商の命綱ともいえる存在です。
 これまで「やっていない」と建前上は表明していましたが、数字の動きを解析しているところから見れば一目瞭然
 アメリカから見れば120点の出来といえるでしょう。

 韓国政府は「米韓FTAと為替合意については別個のものであって、FTAの付帯文章であるというように発表したアメリカには正式に抗議をした」という声明を出しているのですが。
 別個だからなんだってんでしょうね。
 それが今回、米韓FTAに付随して発表しなかった理由になったとしても、為替介入の透明化についてなんらアナウンスがなかった理由にはならないと思いますが。
 本質は米韓FTAにパッケージングされているかどうかではなく、為替介入に対する透明化を約束したか否か、ですよね。
 だんまりを決め込んでいたのも、韓国にとってとてつもなく不利になるからだという自覚があったからに他ならないのですが。
 ……もしかすると、今回の為替介入へ透明化の約束で将来的には米韓通貨スワップができるようになるかもしれません。
 であれば災い転じて福となるともなり得ますが……それであったとしても、韓国経済にとっては害が多すぎませんかね。

室谷さんの新刊が出たようですねー
なぜ日本人は韓国に嫌悪感を覚えるのか
室谷克実
飛鳥新社
2018/3/29