【コラム】韓国は20年守った「為替主権」を失うのか(朝鮮日報)
 数年前の今ごろだ。当時主要20カ国・地域(G20)の次官補クラスによる会合では、加盟各国の為替市場への介入内容を公表しようという決議が成立直前まで行った。韓国だけが反対を守った。韓国代表として出席した幹部官僚は全く賛同を得られず、「なぜあなたの国だけ駄目なのか」という集団抗議にさらされた。

 その官僚は米国、ドイツなどの友好国に強く訴え、決議成立を阻んだ。官僚社会で数少ない人だけが知る秘話だ。経済官庁の元閣僚は「韓国が為替市場に介入することを阻もうとする圧力が通貨危機以降、20年近く続いてきた。逆に言えば、韓国は20年を耐え、為替市場の主導権を守ったと言える」と語った。

 10年前、姜万洙(カン・マンス)企画財政部長官(当時)は「為替主権」という言葉を口にし、世論の批判を浴びた。「為替を市場に任せる国はない。これは主権の問題だ」という姜長官の主張は「為替市場は市場の需給によって決定され、政府は急激な変動が生じたときだけ、それを緩和するために介入する」という政府の公式見解とは異なった。

 元為替当局者は「為替相場を扱った人間で姜長官のような考えを持たない人はむしろ少ない。内外の視線を意識し、本心をあらわにしないだけだ」と話す。

 キム・ドンヨン経済副首相が最近、同様の発言に及んだ。キム副首相は「為替主権は我々に厳然と存在する。為替市場介入の内容公表は韓国の必要に伴う選択であって、外部の強要によるものではない」と述べた。同じような言葉だが脈絡は全く異なる。政府は近く、為替市場への介入内容公表に向けた案を発表する計画だという。

 キム副首相は国際通貨基金(IMF)総会で、この問題について、米国などと調整を行う構えだ。米国の圧力を韓国政府はどうすることもできなかったのか。国際金融業務の先輩公務員が20年近く「命綱」のように守ってきた障壁は結局崩れた。

 今回の措置で韓国政府が為替市場に介入することは事実上不可能となった。世界的な金融危機当時、為替業務を担当していた高級官僚は「投機勢力がウォンを狙って攻撃を仕掛けてくれば、米国などから先に「介入の了承」を得なければならなくなるかもしれない。政府の手足が縛られることになる」と述べた。ある大企業の財務担当役員は「ウォン相場が今年、1000ウォン台前半まで上昇するという見通しが示されている。輸出比率が高い他社の役員も懸念が山積している」と話した。
(引用ここまで)

 鉄鋼関税を免除してもらう代償として「為替介入を自由にできる為替主権を失った」ということで韓国ではけっこうな騒ぎになっている、というのは既報。
 正直、楽韓Webでも韓国が為替市場介入履歴の開示なんてものに手を出してくるとは予想もできなかったほど。単純に鉄鋼関税をそのまま受け入れるとばかり思っていたのですが。

 外需にしか経済のエンジンのない韓国にとっては、為替への介入は生命線と言ってもいい部分だったのです。
 なにしろ、テレビのバラエティ番組の海外ロケに対して「外貨の無駄遣い」という批判がされる国です。
 記事にもあるように韓国に対してアメリカやIMF、世界銀行等々は幾度となく「透明化しろ」「恣意的な介入をやめろ」と言われ続けてきたのですが、それをはねのけてきました。
 パク・クネの訪米時にも「もう為替介入はしません」という文言を共同声明にねじこまれそうになるほどにアメリカもいらついていましたね。比較的、韓国に寛容であったオバマ政権ですらこうでした。
 さまざまな国とFTAを結んでおきながら為替介入という攻撃手段を捨てなかったことで、アメリカもついに切れたということですよ。

 この記事の記者が主張するように「韓国は他の国とは事情が違う」ということで「為替主権」とやらを持ち続ける、というのであればそれなりの代償を支払えということになったのでしょうね。
 韓国も「一人あたりのGDPが3万ドル」を達成した先進国なのですから。
 要は「同じ先進国なら、同じリングに立って同じオンスのグローブをつけろ」と言われているだけの話をそこまで主権侵害だ、みたいに言う必要はないだろっていうことです。

 この為替介入の公開、透明化についてもそうなのですが、ムン・ジェイン政権は「普通の国」を目指している部分が少なからずあるのですよ。少なくとも対外的には。
 ただ、これまでの歪みが尋常でないために「普通の国」を目指す場合の副作用が大きすぎるのではないか、という気がするのですけどね。