北朝鮮非難ビラ散布を警察が阻止、「南南対立」浮き彫りに(朝鮮日報)
 5日午前11時ごろ、京畿道坡州市の統一展望台駐車場前。警察官十数人が一列に並んで青い1トントラックの前に立ちはだかった。トラックには北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を「3代世襲独裁者」「兄・金正男(キム・ジョンナム)を毒殺した殺人鬼」などと表現した北朝鮮向けビラ約2万枚が積み込まれていた。だが、約1時間にわたり小競り合いが続いた後、トラックは引き返していった。統一展望台では同日、北朝鮮を非難するビラの散布に賛成する団体と反対する団体が一日中、「南南対立」(韓国国内の右派・左派勢力による対立)を繰り広げた。

 国内外20以上の北朝鮮人権団体は2004年から毎年4−5月にソウルと米ワシントンで「北朝鮮自由週間」という集会を開催してきた。ソウルで開催される時は坡州市内の統一展望台などで閉会式を行い、北朝鮮政権の人権弾圧を告発するビラを北朝鮮に向けて散布してきた。この日もビラをまくことで集会を終える予定だった。ところが、警察がビラ散布を阻止したのだ。警察では「会場でビラ散布反対集会を開く別の民間団体と衝突する恐れがあるため」と説明した。政府はこれまで「民間レベルでのこと」として北朝鮮向けビラ散布問題にはほとんど関与していなかった。 (中略)

文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩委員長は先月の板門店宣言で「軍事境界線一帯で拡声器放送やビラ散布をはじめとするあらゆる敵対行為を中止する」と発表した。その後、統一部(省に相当)などは「北朝鮮向けビラ散布は板門店合意に反する」として阻止する方針を明らかにしていた。同日のビラ散布反対集会に参加した野党・民衆党所属のある人物は「(北朝鮮向けビラを散布しようとする人権団体は)戦争を扇動して南北分断を維持しようとする分断積弊勢力だ」とも言った。
(引用ここまで)

 社会の変容というのは、意外とドラスティックにはこないものです。
 革命レベルの変わりかたは分かりやすいけども、そうあることではない。
 変容は社会に忍び込んでくるのです。
 最初に共産主義者を攻撃し、社会主義者を収監し、労働組合員を攻撃し……といったように。

 ただ、韓国の大統領制は5年。社会の変容を終えるには短すぎます。
 パク・クネは独裁者の娘と呼ばれるにふさわしく、その経歴を彩っていきましたが
 韓国社会がその方向に向けて変容するようなものではありませんでした。
 パク・クネは頑固者であって、自分の好むように社会を変えてしまおうというような人物ではなかったからかもしれません。

 ただ、ムン・ジェイン個人とその周辺からは常に危険な臭いがしているのです。
 「韓国社会を変えるべき、なぜなら現在の社会は間違っているから」という志向性が見えているのですよ。
 「積弊清算」を名目とした前政権、前々政権の徹底した排除。官僚の排斥。
 そして今度は言論の自由に踏み込んできたわけです。
 すべての方向性が「北朝鮮における政権維持」に向かっています。北朝鮮側の要求の丸呑みですね。
 その国家元首は実の兄を化学兵器で暗殺し、義理の叔父を銃殺し、多くの北朝鮮国民を弾圧している人間であるということを無視して。

 そして韓国社会もそれを支えるように変容しつつある。
 今回は「ビラ散布が警察によって阻止される」ていどでしたが、この次はどうなるのか。
 「板門店宣言」の精神に反することがらはすべて禁止され、板門店宣言が賛美されるような社会になるのか。
 思えば世界卓球選手権における「コリア」チーム結成もその一環であるといえますね。

一九八四年 (ハヤカワepi文庫)
ジョージ・オーウェル
早川書房
2009/7/18