韓経:【コラム】韓国経済はなぜこの有り様なのか(韓国経済新聞)
【時視各角】経済は「精神勝利」で不可能=韓国(中央日報)
「革新成長」1年だ。「所得主導成長」という政策基調に首をかしげていたのでまだ幸いだと考えた。だが正体不明の所得主導成長と革新成長が調和するだろうか。大統領就任1年の経済過失は落第点だ。 (中略)

企業の足を引っ張る政策は休む暇もなくあふれ出た。親労組政策に反大企業政策、反市場政策が相次いだ。それも超高強度な政策だ。

賃金体系改編のない非正規職の強制正規職化はもちろんだ。急激な最低賃金引き上げに対策のない52時間労働制も施行が続き企業は気が抜けている。硬直化した労働市場はそのままにして雇用を作るという政府だ。少数の大企業労組だけ調子に乗り企業は先を争って海外に飛び出す。韓国国内に工場を作るという企業はない。青瓦台(チョンワデ、大統領府)の雇用状況板に何が記されているのか気になるところだ。 (中略)

「為替相場は主権」という当然の主張を無視した学者が経済政策ラインを掌握するので為替相場急落に翼はない。輸出ができる訳はない。中国が無差別的THAAD報復に出ようが米国が自由貿易協定(FTA)再改定を切り出そうがただ平壌(ピョンヤン)ばかり見つめる韓国政府だ。企業だけが死ぬ思いだ。

不動産市場は押さえ込むばかりなのでいつでも跳ね上がれるばねの態勢だ。移動通信やフランチャイズ市場には原価公開を叫び、企業秘密であろうがなかろうが半導体工程まですべて見せろというとんでもない政府だ。 (中略)

経済がなぜこの有り様なのかと問うな。政府が所得主導成長という虚像に酔い市場に逆らう方法がない。国民は残った4年もそのように行くのかと怖くなるばかりだ。
(引用ここまで)
考えと現実が異なる時に現実を否定する心理、かの有名な「認知的不協和」理論だ。最近の流行語では「精神勝利」程度になるだろう。執権1年を迎えた文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済政策がまさにそうだ。馬の前に馬車を置く「所得主導成長」は一年中きしんでいたが、変える考えはなさそうだ。むしろさらに強く押し通す態勢だ。

最低賃金1万ウォン(約1000円)から見てみよう。当初から副作用は大きいと予想した。3兆ウォンの血税を準備したのもそのためだ。実際に施行してみると衝撃は大きかった。年初から雇用が減ると、統計庁は「(1、2カ月間ほどで)最低賃金の影響とは断言できない」と主張した。3月にはさらに悪化した。サービス業種が直撃弾を受けた。1−3月期の国内総生産(GDP)は1.1%成長したが、卸・小売業と飲食・宿泊業は0.9%のマイナスとなった。就業者数も昨年より11万6000人減少した。金東ヨン(キム・ドンヨン)経済副首相は「6カ月ほど経ってこそ最低賃金の影響を分析できる」と一歩さらに退いた。これほどになると反省の声が出てくるものだが、一歩さらに踏み込んだ。法務部が国家人権基本計画で「最低賃金1万ウォン」と釘を差した。人権計画に1万ウォンという具体的な金額を明示したのは初めてだ。誤った行動を正当化する「認知的不協和3段階」まで進んだのだ。 (中略)

精神勝利のピークは通商だ。金鉉宗(キム・ヒョンジョン)通商交渉本部長は3月、韓米自由貿易協定(FTA)改定交渉を終えた後、「米国に特に内容のないものばかり譲歩してきた」と話したという。その内容が鉄鋼70%クオータに関税は関税で賦課されるというものだった。クオータ制は自由貿易の基本を揺るがすものであり、世界貿易機関(WTO)がタブーとしている。関税は時間が経過すれば生産性の向上などで克服可能だが、物量は一度決まれば動かない。カナダ・メキシコが関税爆弾を受けてもクオータ制を拒否する理由だ。さらに通貨主権までも譲歩することになった。にもかかわらず「内容のないもの」ばかり与えてきたというのだから、まさに精神勝利の最高峰に違いない。

経済は精神勝利で可能なものではない。結果が出ている。1年を迎えた文在寅政権の成績表のうち経済分野が最も悪い。10大経済指標のうち昨年より良くなったのは小売り・消費者心理指数の2件だけだ。輸出・輸入増加率、製造業・サービス生産など8件の指標は一斉に悪化した。上昇・回復傾向の景気が1年で鈍化・下降へと明確に方向転換した。間違っていることに気づけば止めなければいけない。経済ではそれを埋没費用という。さらに進めば帰れなくなる。
(引用ここまで・太字引用者)

 ムン・ジェイン政権成立から1周年ということで、先日には1年目の成績表とも呼べるものが報道各社から出されていました。
 その中でも経済は落第だという評価が多かったのですが、今回はそのあたりの社説。
 保守派の韓国経済新聞からはもう酷評とかそういうレベルではない叱責。
 中道左派になったともされる中央日報からですら「もう無理」と評価。
 朝鮮日報は今年になってすぐくらいに「いい加減にしてくれ」という社説を出してますね。

 そしてムン・ジェイン政権の味方と言ってもいい左派系のハンギョレ。
 韓国版の社説一覧をここ一ヶ月ほど遡ってみたのですが、経済政策についての言及はありませんでした(笑)。
 あえていうなら、3月の雇用統計に対する社説は経済政策について言及しているものですが。

[ハンギョレ社説]雇用不振、「零細自営業者急減」に注目しなければならない(ハンギョレ・朝鮮語)

 まあ、経済政策に直接言及したくもない気分は理解できますかね。

 世界経済はゆるやかですが回復基調にあります。2017年の経済成長率は3.8%でした。
 ですが、外需主体のはずの韓国経済の成長率は3.1%と世界経済の伸び率に追いついていない。
 失業率に至ってはここ数年で多くの国が回復しているのに、韓国だけは逆行している
 むしろ、半導体のスーパーサイクルによって半導体産業が伸びた分だけ、実際のひどさが隠されてしまっているというレベルではないかと思われるほど。

 でもまあ、太字にしたように韓国の企画財政部長官は「6ヶ月ほど経たないと最低賃金引き上げの影響は不明だ」って言っているので、少なくとも6月の雇用統計が出る7月半ばまでは動かないのでしょうね。
 来年の最低賃金は7月には決めなければいけなかったはずですが。
 ついでにいうなら「最低賃金引き上げの混乱は数ヶ月で収束する」はずだったのですが。
 まあ、経済副首相兼企画財政部長官様がそういうのですから、見守るしかないのでしょう(笑)。
 あ、4月の失業率は来週発表でした。ま、楽しみにしておきましょうかね。

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2013/4/22