<北朝鮮内部>平壌市民も経済悪化に反発 配給劣化と停電で「食べ物も電気もくれないのか」(アジアプレス)
国際社会の経済制裁の影響が、首都平壌にも現れており、平壌市民やビジネスマンから強い不満の声が上がっていることが分かった。

4月27日の南北首脳会談の直前に中国に出国してきた平壌のビジネスマンが、5月12日にアジアプレスの中国人メンバーに対し、電力事情について次のように語った。

「平壌市内でも差があるが、私の住む〇〇区域は、昨年秋まで一日8時間程度電気が来ていたが、今年に入ってからずっと3〜4時間しか来ない。親戚が市内の軍需工場のある区域に住んでいるが、ここは金正恩元帥も度々視察に訪れ、この数年、ずっと24時間電気が供給されていた。4月に入って訪ねてみると、一日7時間くらいしか来ないとのことだった」 (中略)

北朝鮮で唯一、地域として食糧配給制が維持されているのが平壌だ。他の地域は90年代に停止したままだ。その質と量は、時々で良くなったり悪くなったりするが、この5年間、職場や区域を通じて白米と雑穀が配給されていた。穀倉地帯の黄海南北道に、平壌市民対象の「首都米」を生産する農場が集中している。

取材に応じたビジネスマンは、
「3月はほとんどトウモロコシだけ、4月は中国に出て来るまでなかった。(制裁で)市場での商売が不振な上配給が悪くなり、『食べ物もまともにくれない』と不満を言う庶民層が増えた」と言う。

また、一昨年まで中国との貿易で羽振りがよかった貿易会社の社員らは、
「経済制裁で中国への輸出が止まっているのに、会社から上納金を出せという圧力が強く悲鳴を上げている」とのことだ。 (中略)

今年に入り、地方都市では住民への電気供給がほとんど途絶えた「絶電地域」が広がっており、党や軍、警察などの重要機関と産業施設に振り向けられている。北朝鮮の中でも優先順位の高い平壌でも電力事情が悪化している。
(引用ここまで)

 アジアプレスは北朝鮮内部レポートを定期的に提供しているのですね。
 で、旧来のレポートではどれほど国連(アメリカ)主導の制裁があっても北朝鮮国民の生活にはそれほどの影響が出ていないというものが多かったのです。燃料価格もそこまで上昇しないっていう状況が続いていました。
 しかし、中国が制裁に加わってからこっち、急激な生活の苦しさが語られるようになっています。
 今回のレポートでも優先地区であっても電気が止まり、貴族階級ともいえる平壌の生活すら苦しくなっているという話が見えています。
 B-1Bが朝鮮半島東岸を飛んでも、北朝鮮からのレーダー波を感知できなかったというのは実際なのでしょうね。

 平壌ですらこうであれば、利権を与え続けてくることによって政権を安定させてきた朝鮮労働党の首脳レベルでも同様に苦しくなっていると見るべきでしょう。
 だからこそ状況を変えるために、キム・ジョンウンが南北首脳会談や米朝首脳会談に出てこざるを得なくなった。

 中国が加わるまで制裁には何の意味もなかったんだとする向きもありますが、むしろ段階を踏んで最終的にはセカンダリーボイコットで中国が加わざるを得ないように仕向けたアメリカの戦略勝ちではないのでしょうかね。
 その結果として、これまで対話にすら出てこなかった北朝鮮の国家元首を引きずり出すことに成功しているわけで。
 これだけでもアメリカの本気具合が理解できると思います。

週刊ニューズウィーク日本版 「特集:統一朝鮮 本当のリスク」〈2018年5月22日号〉 [雑誌]
ニューズウィーク日本版編集部
CCCメディアハウス
2018/5/15