【社説】北朝鮮版マーシャル・プラン、費用は誰が出すのか(朝鮮日報)
韓経:【社説】「北非核化」進んでもいないのにあふれ出る韓国の経済協力構想(中央日報)
 米国のポンペオ国務長官は13日、米フォックスニュースとのインタビューで「北朝鮮が核を完全に廃棄すれば、米国の民間企業による投資を認めるかもしれない」という趣旨の発言を行った。米ホワイトハウスのボルトン国家安全保障補佐官も「われわれはできるだけ早期に北朝鮮に対して貿易や投資を開放する準備ができている」と述べた。ポンペオ長官はインフラ、エネルギー(電力)、農業の三つの分野に具体的に言及した。北朝鮮にとって今最も必要なのがこの三つというのがその理由だ。この発言を受け、米国が第2次大戦後に欧州の経済復興を後押しするため実施した「マーシャル・プラン」のような北朝鮮向けの大規模経済支援が可能になるとの解釈も出始めている。北朝鮮が本当に核を完全廃棄し、経済に目を向けるようになれば、韓国はもちろん国際社会全体がこれを支援すべきだろう。

 問題はそれに必要となる天文学的な費用だ。例えば韓国政府は2014年、北朝鮮の鉄道開発だけで773億ドル(現在のレートで約8兆5000億円、以下同じ)が必要との試算結果を公表している。高速鉄道を建設するとなればその費用は当然さらに膨れ上がる。道路の改修や補修に必要な費用も莫大(ばくだい)だ。 (中略)

 ポンペオ長官が言及した中でわれわれが注目すべきは「米国国民の税金は使わない」という点だ。ボルトン補佐官も「米国政府による経済援助はないだろう」と明言した。トランプ大統領は「メキシコとの国境に壁を建設する」と何度も言及しているが、その費用も「メキシコ政府に出させる」と言うような人物だ。また在韓米軍でさえ費用という観点からのみ判断しようとしている。トランプ政権のこのような考え方を見ると「北朝鮮版マーシャル・プラン」に米国政府はおそらく一切金を出さないだろう。

 ポンペオ長官が言及した米国の民間企業も、多大なリスクを考慮しどこかに保証を求めてくる可能性が高い。アジア開発銀行(ADB)のような国際金融機関がどこまで負担に応じるかも不透明だ。そうなると最終的には1994年のジュネーブ合意のように、韓国がその費用の大部分を負担するしかない状況となるだろう。当時、北朝鮮に建設された軽水炉発電所建設にかかった費用の70%は韓国が負担した。

 4月27日の板門店宣言に明記された北朝鮮への支援に必要な費用は、11年前の時点でも16兆ウォン(約1兆6400億円)と試算された。今月末には大統領直属の北方経済協力委員会が「新北方政策」のロードマップを発表する予定だが、そこには鉄道や航空路線、さらに電力やガスなどを南北で連結する事業が網羅されているという。ただしどれも数十兆から数百兆ウォン(数兆円−数十兆円)は必要だ。北朝鮮が投資を望む分野もかつてのような衣料や縫製などではなく、ハイテク産業や造船所などになるとの見方もある。もちろん北朝鮮への投資はうまくいけば南北双方に「ウィンウィン」の結果をもたらすだろう。またあまりにも劣悪な北朝鮮のインフラに対する整備も統一に備えて支援しなければならない。ただしどれも「韓国にとって可能な範囲内」とし、さらに「北朝鮮の政治的リスク」や「韓国国内における政治的意図を持った情報操作」などのない形で合理的に行われてこそ可能になるだろう。
(引用ここまで)
北朝鮮の核兵器廃棄に向けた対話がいままさに始まったが、あらゆる対北朝鮮経済協力プロジェクトが洪水のようにあふれている。バラ色の青写真に費用計算もないものが大部分だ。

与党「共に民主党」が6月の地方選挙に合わせて出した公約には23件の対北朝鮮事業が盛り込まれている。直接的な経済事業ではないものもあるが、費用が伴うものが多い。開城(ケソン)工業団地再稼働と金剛山(クムガンサン)観光再開のように韓国政府が「圧迫カード」として使わなければならないものから豆満江(トゥマンガン)地域の南北中ロ共同開発計画のようにさまざまな国の同意を得なくては始められない事業まで混ざっている。

与党が北朝鮮の非核化に対し強力な意志で政府を支援し、国会レベルで後押しするというものならば良い。だが北朝鮮の核廃棄の試金石となる米朝首脳会談はまだ開かれてもいない。南北間でも原則的水準の「非核化原則」にだけ合意したとみるのが冷静な判断だろう。北朝鮮と米国だけでなく、中国や日本まで外交安保力を総動員する「巨大なチェス盤」がようやく動き始めるところに政府与党が「蓋馬(ケマ)高原観光」「白頭山(ペクトゥサン)直行路開設」のようなものまで「希望公約」のように明示したことが適切なのかは疑問だ。 (中略)

だれもが皮算用をするだけで天文学的費用をだれがどのように負担するかはだれも話さない。「北朝鮮の核放棄代価、10年間で2兆ドル」というフォーチュンの分析を見ると、海外でさらに真剣にこの問題を考えているようできまりが悪いほどだ。韓国政府の今年の南北協力基金は1兆6182億ウォン(約1654億円)、そうでなくとも急膨張する福祉費用に表面化する「非核化費用」まで考えれば目がくらむ。「感性的平和論」と「統一至上主義」が過度になり続けないか心配だ。与党の公約も、自治体の動きもあまりに軽いのではないか。
(引用ここまで)

 現在の韓国には南北首脳会談からこっち、なにもかもすっ飛ばして北朝鮮が開国して韓国にとてつもない利益をもたらすであろうというような論調にあふれています。
 先日の「南北鉄道接続計画で韓国の未来はバラ色!」もそれですね。
 南北鉄道接続計画も含めてムン・ジェインがかねてから主張してきた「韓半島新経済地図」とやらをUSBメモリに入れてキム・ジョンウンに手渡したとのことで、そのすべてが実行されるというような話になっているのです。
 で、「統一された国は膨大な地下資源と、すぐれた人材を兼ね備えた夢のような国になるのだ」だの「人口7000万人を超える強大国となるだろう」みたいな予測もいくつか出ています。

 問題はどこから金を出すつもりなのって話なのですが。
 記事にもあるようにアメリカはもとより税金を使うつもりは毛頭なし。
 先日語ったように拉致問題に対して日本の求める満額回答を出すことができない北朝鮮に対して、日本政府は巨額の援助をすることはできないでしょう。
 中国は影響力を持続させるために、AIIB等も含めてあるていどの援助をするでしょうけども。

 というか、そもそもの前提が「北朝鮮が普通の国になれば」ということなのですが、それ自体があり得ないことなのですよね。
 北朝鮮は政権存続を求めるでしょうが、政権存続なら当分は開国はない。ただし、元駐英北朝鮮公使が語っていたように開城工業団地のようなものが複数できるかもしれません。でも、それは「強大な統一国家」とはかけ離れた姿。
 政権を潰して「普通の国」とするのであれば、おそらく焼け野原になってからの立ち上げ。まあ、いっそこっちのほうがさっぱりしてよいかもしれませんけども。
 どっちを向いても「すぐそこにバラ色の未来」はないような気がしますがね。