【社説】大統領の診断と処方は正しいのに、なぜ革新成長はできないのか(中央日報)
韓経:「韓国経済、構造的危機が深刻だが…政府の悩みは見えない」(中央日報)
【社説】所得主導の経済成長、鳴り物入りの政策はどこに消えたのか(朝鮮日報)
韓国政府の景気判断に正面から反する主張で論争を呼んだ金広斗(キム・グァンドゥ)国民経済諮問会議副議長が今回は経済チームを強く批判した。経済が構造的に墜落する危機を迎えているが、内閣と青瓦台(チョンワデ、大統領府)経済チームの悩みは見えないということだ。 (中略)

金副議長は経済チームの誤った政策のため企業が海外に本社と工場を移そうとする動きが随所で感知されていると伝えた。そして「半導体特需サイクルが終わる兆しが見え、中国の『製造2025』が津波のように押し寄せるが、我々は何をしているのか。対応が見えないのは私の無知のためだろうか」と問題を提起した。
(引用ここまで)
革新が遅いとの大統領の診断も正しいし、革新を妨げる規制をなくさなければならないという大統領の処方も正しい。にもかかわらず、革新成長はなぜ空回りしていると評価されているのか、韓国政府は悩まなければならない。地域単位で規制をなくすと2015年に発表した「規制フリーゾーン法」は、大手企業への特典だという与党の反対により、国会で却下された。「大手企業も革新成長の重要な軸だ」という金経済副総理の説明も無駄だった。さらに与党は、6月13日の地方選挙の5大核心公約に「規制のサンドボックスの導入」を再び組み入れた。遅々と進まない政策を再び公約に入れたのだ。

元大統領政策室長の卞良均(ビョン・ヤンギュン)氏は「所得主導の成長は、シュムペーターの経済政策とともに進めなければならない」と指摘した。シュムペーターの経済政策は、企業家が絶えずに革新できる環境を作ることだ。企業家が土地・労働・資本などの生産要素を新しい方法で自由に組み合わせ、創造的破壊が活発にできる企業環境を作るのが柱だ。だが「積弊清算」という名の下で さらし者にされて萎縮した企業をみると、技術の創造的破壊どころか、韓国の経済生態系が創造的に破壊されてしまうのではないか心配だ。
(引用ここまで)
 一部の左派経済学者の少数説で、いわゆる「所得主導成長論」の実験が韓国で始まって1年たった。この実験の中核が最低賃金の急激な引き上げだ。ところが、これにより雇用が減少するという悪影響を経済副首相が事実上、認めた。雇用状況の悪化を証明する統計が相次いだため認めざるを得なかったのだろう。飲食店やコンビニのように最低賃金に敏感な小売業や飲食・宿泊業の雇用が激減している。雇用現場では人件費の負担に耐えきれず、従業員を辞めさせる零細自営業者が続出している。あらゆる統計情報と現場の状況が一貫して最低賃金引き上げのパラドックス(逆説)を物語っている。

 最低賃金だけではない。労働時間短縮と非正規職の強制正規職化で費用負担が増した雇用主たちは採用を敬遠している。政府が労働改革を撤回するや、企業が新規雇用を減らす動きが始まった。雇用を創出し、労働所得を増やすと言って強行した急進的・親労働政策が逆に仕事を減らし、雇用条件を悪化させている。そうした問題を招いておきながら、副作用が明らかになるたびに国民の税金で取り繕う。最低賃金引き上げの補完策に3兆ウォン(約3000億円)、労働時間短縮対策には5年間で4500億ウォン(約450億円)を使うという。やっとのことでためた雇用基金も使い果たしそうだ。あきれて物が言えない。

 「所得主導成長」実験の副作用が製造業と産業の競争力を落とし始めた。3月の製造業稼働率はこの9年間で最低になり、工業生産はこの5年間で最大の減少を記録した。設備投資がマイナスに転じ、在庫が増えている。経済協力開発機構(OECD)の景気先行指数調査ではほとんどの加盟国が上昇傾向を示しているが、韓国だけは9カ月連続の下落を記録した。韓国銀行総裁は「今後の経済状況を楽観するのは難しい。特に雇用が心配だ」と述べた。全世界が好況を享受しているのに、韓国だけが低迷を懸念する身の上となった。 (中略)

1年前、政府が鳴り物入りで所得主導成長論を掲げた時から「失敗が見込まれる実験」という声が多かった。現代経済史で所得主導成長に成功した例はない。(中略)

経済が成長している世界の国はすべて「投資と技術革新、生産性主導」の成長戦略を取っている。その主体は企業でしかない。企業が生産性の革新を遂げて盛んに投資してこそ良質な雇用が生じ、持続可能な成長も達成できる。このような成長の方程式から外れた国は今、地球上に1国もない。いつの間にか政府内からも「所得主導成長」という言葉はほとんど聞こえなくなった。所得再分配は社会福祉分野で行い、経済成長は「企業の投資と技術革新、生産性向上」という基本に立ち返るべきだ。
(引用ここまで)

 3月に「雇用ショック」とまで呼ばれた失業率4.5%という数字が出てました。高い失業率と同時に2ヶ月連続で雇用増加数が10万人台になったことも大きく扱われていましたね。
 韓国では「安定した雇用増加数」は、これまでおおよそ30万人とされていました。前年同月比で。
 いわゆる人口ボーナスが終了している=生産年齢人口が減少しはじめているとはいえ、一気に就業者増加数が10万人台にまで落ちこむというのは非常事態であるという認識でした。

 にもかかわらず、韓国政府は「いや、まだ雇用の動静は分からない」としていたのですよ。
 その理由は「良質な雇用である製造業の雇用数は増えている」というものだったのですね。
 「最低賃金の引き上げがどのように影響を及ぼしているかは半年ほど分析する必要がある」とか静観していたのは、これが原因だったのでしょう。
 確かに製造業の雇用は3月までは増えていました。
 ですが、4月の雇用統計が出てついに製造業の雇用も減少。そして3ヶ月連続の10万人台。失業率も4.1%
 キム・ドンヨン経済副首相兼企画財政部長官もさすがに「最低賃金引き上げが雇用・賃金に影響がある」という最低限度の言及をせざるを得なくなったとのこと。
 大企業を「積弊」として罰するような政策ばかりしているんですから、そりゃ製造業の雇用も減るでしょうよ。

 ……最初からこうなるって分かりきっていた政策を実行したのだから、とことんまでやればいいと思いますよ。
 民主労総は先日、「大統領候補は全員、最低賃金1万ウォンを公約にしていた。2020年といわず即座に最低賃金を1万ウォンにすべきだ」との見解を述べていました。
 最低賃金が1万ウォンを達成する予定の2020年にはとてつもない経済状況になっているかもしれませんしね? 財閥を悪として認定しているうちに、とんでもないスタートアップ企業が山ほど出てくるかもしれませんし。
 というか、もう小手先の経済政策でどうにかできるレベルを超えていますわ。一般的な経済政策に戻ろうったって、そんな人材いないんだし。
 「突き抜けろ!」あるいは「死ねば助かるのに」ってヤツです。突き抜けた先はウルトラクイズ名物の泥プールだと思いますが。

アカギ−闇に降り立った天才 1
福本伸行
フクモトプロ/highstone, Inc.
2013/7/18