韓米首脳会談:相互不信深まる米朝、仲裁役を買う文大統領(朝鮮日報)
韓米首脳会談時に兆候があった米朝首脳会談中止(朝鮮日報)
 22日に予定されている韓米首脳会談は、北朝鮮の非核化を優先する米国と、体制保障を先決条件として要求する北朝鮮との間隙を埋める会談になるだろうという。韓国大統領府(青瓦台)の関係者が21日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の出国に先立って明らかにした。完全な非核化という目標と、これを具体的な結果物として引き出す方法論を巡って米朝が接点を見いだし得るよう、仲裁を行うことが今回の訪米の目的だというわけだ。 (中略)

韓国政府の消息筋は「文大統領は当初、米朝交渉の過程で最初の出会いのきっかけだけを用意する『仲介者』に役割を限定したが、このところ米朝間で不信が深まっていることから、積極的に双方を説得する『保証人』として乗り出しているというわけ」と語った。 (中略)

とりわけ文大統領は、トランプ大統領を説得するため、4・27南北首脳会談時に板門店の「徒歩の橋」で金正恩委員長と直接やりとりした対話の内容を伝えるといわれている。金委員長は当時「米国の軍事的脅しの除去を核心とする体制保障が約束されるなら、段階的な方式で非核化を進めるだろう」という趣旨の言及を行ったという。こうした金委員長の直接の発言を伝え、「北朝鮮の非核化の意思」に対して疑念を抱く米国側をなだめたいという。
(引用ここまで・太字引用者)
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は米国のドナルド・トランプ大統領に対し、6月12日に予定されている米朝首脳会談の直後シンガポールで「3カ国首脳会談」を開催する案や、北朝鮮に対する支援策を提案したが、米国側は都合の悪そうな反応を示したという。このところ北朝鮮の「非核化に向けた真剣さ」に対する疑念が高まっている中、文大統領が核廃棄ではなく北朝鮮への報償に焦点を合わせていることについて、「前のめり」という反応を示したという。

 24日に複数の外交消息筋が明らかにしたところによると、文大統領は米朝首脳会談に合わせてシンガポールを訪問する案を検討し、水面下で準備作業に入った。米朝首脳会談が成功裏に終わった場合、すぐに南北米3カ国首脳が一堂に会して「終戦宣言」を出すことを念頭に置いたのだ。文大統領は当初、「板門店米朝会談の直後に南北米3カ国会談開催」という案を念頭に置いてトランプ大統領と米朝会談の場所を話し合った。だがトランプ大統領がシンガポールを米朝会談の場所として最終決定すると、文大統領が直接シンガポールに行って3カ国首脳会談を開く案を提示したという。韓国大統領府(青瓦台)が韓米首脳会談後に「両首脳は、米朝首脳会談後に南北米3カ国が終戦宣言を一緒に行う案について意見を交換した」と発表したのも、こうした流れから来ている。

 ところが文大統領のこうした構想に対し、トランプ政権は即答しなかったという。その後、ワシントンでは「韓米首脳会談の後、ホワイトハウスはぎくしゃくした(strained)雰囲気」だという声が出ていた。金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の2度にわたる訪中の後、北朝鮮が強硬な立場へと戻ると、ホワイトハウスでは「首脳会談をやるべきなのか」という懐疑論が広がっていた。こうしたホワイトハウスの空気とは異なり、韓国側は先走った話ばかりをしたのだ。 (中略)

 これとともに文大統領が韓米首脳会談で、北朝鮮の要求している「体制保障」や経済的支援問題を説明することに焦点を合わせたことを巡っても、ホワイトハウスは都合の悪そうな反応を示したと伝えられている。文大統領はトランプ大統領に、国連制裁に抵触しない範囲での北朝鮮向け医療・農業支援案を提示したという。
(引用ここまで)

 もうひとつ米朝首脳会談中止の話題。
 今回の米朝首脳会談はアメリカが主導したわけでも、北朝鮮が主導したわけでもないのです。

 まず韓国が北朝鮮に特使を派遣し、南北首脳会談を決めてきた。
 韓国の特使らがそれぞれアメリカ、日本、中国に渡って成果を報告した。
 アメリカはその特使からの報告を受ける形で(食い気味にではあるものの)「非核化が実現できるのであれば」ということで、米朝首脳会談を発表したわけです。
 今回、常に韓国がリードしてきたのは間違いありません。

 アメリカの目標は「CVID」、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化。
 これを何度も何度も表明しています。ポンペイオ国務長官ボルトン大統領補佐官ペンス副大統領、そしてトランプ大統領までが同様に話しています。
 それに対して北朝鮮の考えはあくまでも段階的な非核化。
 南北首脳会談時にすでにキム・ジョンウンはその意向をムン・ジェインに伝えていた、とあります(上段記事太字引用部分)。
 トランプ大統領に電話会談でその意向を伝えていたとも。

 それよりも前の交渉では韓国が情報を自分の都合のいいように丸めてしまって、「北朝鮮は非核化に応じる用意がある」とだけ伝えていたということでしょうね。
 楽韓Webでは当初から「ムン・ジェインのやっていることは朝鮮通信使を招聘するために幕府と李氏朝鮮の両方に嘘をつき、国書偽造をしていた対馬藩の行動に被る」「柳川一件の経緯を思い出す」と何度も書いてきました。
 ムン・ジェインとしては「双方に齟齬があっても会談さえさせてしまえば勝ち」くらいのつもりでいたのでしょう。
 経緯はどうであれ、会談を成功させてしまえばいい。大手を振って北朝鮮への援助もできるようになると。
 でも、疑念がふくらみアメリカからキャンセルされざるを得なくなった。
 
 会談が成功していればムン・ジェインは韓国でネチズンから呼ばれている「外交天才」「外交王」の称号にふさわしい動きをしたと賞賛されていたのでしょう。
 ですが、実際には米朝間を決定的に決裂させた人物として記憶されるようになるのではないでしょうか。
 ……思えば韓国特使がアメリカに報告に行った際に、北朝鮮からの親書がなかった時点でおかしいと思うべきです。

 今回の米韓首脳会談の席でもいわゆる「人道的支援」について、一方的に語ったそうです(下段記事太字引用部分)。
 かつてトランプ大統領は過去に北朝鮮支援ばかりにこだわる韓国に対して「なんなんだあいつらは? 物乞いのようだ」と安倍総理との電話会談で語ったともされていますが。
 まさにこの一件がすべてを象徴しているように感じますね。

平気でうそをつく人たち:虚偽と邪悪の心理学
M・スコット・ペック
草思社
2011/8/12