元6カ国協議米国代表「北の非核化? 私はビール1杯も賭けない」(中央日報)
「北朝鮮はすべての核兵器を放棄する準備はできていないし、米国は段階的な見返りを与える準備ができていない。立場の違いを狭めることができなければ、米朝首脳会談はしない方がよいかもしれない」。

米国のクリストファー・ヒル元6カ国協議首席代表、元東アジア・太平洋担当国務次官補が25日(現地時間)、中央日報の電話インタビューで「北朝鮮が『完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)』に合意する可能性にビール1杯の値段も賭けない」と述べ、このように話した。

ヒル氏は北朝鮮の欺まん術策を経験した当事者だ。2005年の6カ国協議は「北朝鮮のすべての核兵器と核プログラムの検証可能な非核化と核拡散防止条約(NPT)復帰」を規定した9・19共同声明に合意したが、北朝鮮はその後、査察・検証に反発して合意を破った。 (中略)

−−会談が実現すれば完全な非核化に合意する可能性は高いと思うか。

「私はそこにそれほど多くのお金を賭けない。ビール1杯分さえも賭けない。したがって北朝鮮が会談前にまずポンペオ長官にでも誰にでも自分たちの立場が何かを米国に説明しなければいけないと考える。北朝鮮はまだすべての核兵器を放棄すると約束する準備ができていないし、金委員長がどのように出てくるかも分からない状況では、トランプ大統領は会談をしない方がよいかもしれない」

−−米朝がいかなる形であれ中間で妥協する可能性は。

「非核化に関しては北朝鮮を核国家と認めるかどうかの問題であり、中間は考えにくい。しかし我々は彼らが望む平和協定であれその他のものであれ、一定の見返りを提供することで妥協は可能だとみる。段階的な見返りもその解決方法に含まれた問題だと考える。個人的には北朝鮮が段階的な非核化に同意すれば、我々がこれを推進すべきだと考える。ただ、北朝鮮はいかなる核兵器も保有してはいけないという米国の立場は維持されなければいけない。もし北朝鮮が直ちに非核化に同意すると言えば信じてはいけない。北朝鮮はそのような準備ができていないからだ。対話に関して私がさらに心配するのは非核化に関する履行・検証など細部事項の議論だ。それは首脳会談でのことではない」 (中略)

−−会談が中止になったり失敗すれば結局、「激しい2段階」に移るのだろうか。

「私はお互い軍事的脅威をやり取りした2017年の状況に戻りはしないとみる。現在としては首脳会談を開催するための対話が進行していて、実現は可能だと考える。しかし首脳会談でいかなる結果を出せるかを判断するのはまだ早いようだ」
(引用ここまで)

 クリストファー・ヒル元東アジア・太平洋担当国務次官補が中央日報のインタビューを受けて「北朝鮮が非核化するほうに賭けるのであればビール一杯分も賭けない」と発言。
 六者協議において実際に北朝鮮と対話した人物ですから、その言葉には重みがありますね。

 さて、その一方でアメリカが今月中にも発表するのではないかとされていた「北朝鮮に対する新たな制裁」について一端保留しているとのこと。

米政府、北朝鮮への新しい制裁を延期 米紙報道(朝日新聞)

 中国、ロシアの企業を対象にしたセカンダリーボイコットを中心としたものになる予定だったそうですが、12日の首脳会談が進行していることを受けて一端保留。
 飴と鞭を使い分けている感じですかね。

 確実なのは6月12日の米朝首脳会談ですべて終わるというわけではないということ。
 たとえ北朝鮮が非核化に同意したとしても、その履行を見守らなければいけないわけです。
 そしてそれらの約束を反故にするようであれば、アメリカは次の段階に入らざるを得ない。
 でなければ「新しい制裁を用意している」なんてリークさせませんよね。

 もうひとつ注目したいのが北朝鮮が米韓合同軍事演習に文句をつけてきたこと。

北朝鮮紙「会談望むなら韓米演習中止すべき」 米国に要求(聯合ニュース)

 事前にこういうことを言い出すのが北朝鮮の常です。
 で、その後に言及せずに演習が行われてから「我々の要求を蹴ったな!」と言い出して、約束を反故にするというパターン。
 特に8月に予定されている乙支フリーダムガーディアンについて特に言及しているのは、そのあたりでちゃぶ台をひっくり返そうとしているからでしょう。
 ヒル氏が何度も体験してきた話ですね。

 まあ、ここまでが想定されている北朝鮮の行動。
 それに対してトランプ大統領がどうリアクションするか、なのですが。
 ことある毎に「我々はオバマ政権のような弱腰ではない」という話を繰り返しています。
 「過去の政権とは異なる」ということをアピールポイントにしているトランプ政権にとっては、約束違反に対して「重大な対応」をすると思われるのですが。

金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日 (講談社+α新書)
牧野愛博
講談社
2017/2/20